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【魔力3の魔女】潜入先のエリート魔法学園がレベル低すぎて絶望した〜無能と蔑むエリートたちを究めすぎた魔法技術で圧倒!〜  作者: ケロ王


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第13話 悪役令嬢、七日会わざれば刮目して見よ!

 特訓開始から6日目の朝。昨日の放課後で多重操作ができるように


「ルミナさん。次は何をするのでしょうか?」

「そうですね。今は二重までできるようになったと思いますので、とりあえず100くらい重ねられるようにしましょうか」

「えっ?」

「フェイリアさんは魔力量が7万以上あるので、理論上7万くらい重ねることもできますけど――いきなり、そんなことは言わないので安心してください」


 次の課題を聞かれたので、正直に答えたところフェイリアが固まってしまった。2ができれば100は意外とすぐなのだけど、ここにきてマカロンイメージ法の問題点が浮かび上がった形だ。


「マカロンが100個……そ、そんなに持ちきれませんわ!」

「自分の周りに浮かんでいると考えては?」

「マカロンが飛ぶなんてありえませんわ!


 100種類は当然として、マカロン100個など両手に持ちきれるはずがない。かといって、マカロンが空を飛ぶなどありえるはずもない。今のフェイリアは両手いっぱいのマカロン――多重操作が限界ということだった。


「うーん、それなら5重くらいあればひとまずはOKということにして、先に次のステップに進みましょうか」

「で、できれば。そうしていただけると助かりますわ」


 フェイリアも方向転換は厳しいと思っているらしく、私の提案に思いっきり食らいついてきた。もっとも、次のステップがちゃんとできれば、多重度はそこまで重要ではなくなる。


「次は安定化ですね。魔力、あるいは魔法というのは、特に意識しないと数秒で消滅してしまうのは知ってますよね?」

「ええ、だからストックするのは難しいと聞いたことがありますわ」

「そのストックを可能にするのが安定化です」


 先ほど難しいと言われた内容を、あっさりと可能にする技術を出してきたことに、フェイリアは驚きを通り越して、乾いた笑いを浮かべていた。


「ははは、そんなことができるはず……」

「うーん、じゃあ聞きますけど、私の魔力量が3というのは知ってますよね?」

「ええ、本当かどうかはわかりませんが」

「普通に魔力量3だと魔力を分割する関係で3重が限界になるんです。でも、安定化を使えば、魔力が霧散しなくなりますので、いくらでも重ねられるようになるんです」


 それを聞いたフェイリアが目を輝かせる。多重操作の限界を超える可能性であることを理解したのだろう。これがあれば、マカロンイメージ法のまま、限界を超えられると。


「それを使えば多重操作を頑張らなくても、よくなりません?」

「なりませんよ。まず、時間がかかります。それから、安定化は多重操作より難易度が高いです」

「そうですか……」


 予想通りの質問に予定通りの回答をすると、フェイリアはガックリと肩を落とした。私が試験の時などに使った石を飛ばす魔法。時間がかかったのも安定化を使ったからに他ならない。


「それでも使えた方がいいのは変わらないからね」

「そうですわね。さっそく教えていただけますか?」

「イメージを強固にして意識をしなくても魔力が霧散しないようにすればいいのですけど。理想は物質化することですね」

「土属性みたいな感じですか?」


 物質化と言うと、土属性を真っ先に連想する人は多い。例にもれずフェイリアもそう考えたようだ。だけど、実際には違う。


「ちょっと違うかな。土属性魔法とか氷属性魔法なんかは物質化しているように見えるけど、実際には魔力が土という性質に変化しているにすぎないんだ」

「それって、物質化と何が違うんでしょう?」

「土属性魔法――例えば石弾のような魔法をたくさん使えば敵を埋められたりする?」

「それは……難しいですね。そういうことですか」


 土属性の魔法でも、撃ったあと霧散してしまう。そのため、小さい魔法を何発撃っても敵が埋まることはない。もちろん、一度の魔法で埋めてしまえるような大規模魔法がないわけじゃない。フェイリアも気付いたようで、納得していた。


「それからもう一つ。軌道修正。こっちは撃った魔法の軌道を変更するものだね」

「そんなこともできるんですか?」

「もちろん、こっちも多重化を違う形で応用したものだから、どっちから進めてもいいけど。フェイリアさんなら、こっちの方が有用かもね」

「そうですか。では、こちらの方から練習します」


 ひとまず安定化の方は後回しにして軌道修正の練習を始めていく。学園では撃ったあとの魔法について意識することはない。そのため、軌道を変えることすら難儀していた。


「うまくいきませんわね」

「そうだなぁ。将来的に使えるわけじゃないけど、まずは作り出した魔法に細い紐が付いているようなイメージにするといいかな」

「なるほど。その紐で操作するということですか?」

「そうそう、複雑な動きをさせられないけど、最初のとっかかりとしてはいいと思う」


 紐のイメージで特訓を続けた結果、7日目の朝には簡単な軌道修正くらいはできるようになっていた。


 この日も魔法実技の授業が行われた。クビになったベテラン教師の代わりに、シャルルが教師としてついているけど、やっていることは変わらなかった。


「また的当てですか……」

「ルミナさん。見てください! ちゃんと魔法が使えるようになりました!」

「そりゃあ、そうだろうけど」


 さすがに多重化まではしていないけど、無詠唱でガンガン魔法を的に当てていた。散々魔法を撃っているのを見てきたせいで、これと言った感動はない。だけど、フェイリアとしては長年、授業で無能扱いされてきたこともあって、少しだけ誇らしげに見える。


「ふん、魔法が使えたくらいでいい気になりやがって!」


 そんなフェイリアに突っかかってきたのは、先週同様スーフェンだった。


「また、私たちに難癖付けるつもり? 戦いたいなら相手してあげてもいいけど」

「ふん、お前は見逃してやる! 今日の相手はお前の方だ!」


 自信満々にフェイリアに指を突きつける。先週の件で、痛い目にあったせいで、矛先をフェイリアに変えたようだ。


「いいですわよ。受けて立ちます」

「ククク、バカめ。そんな急ごしらえの魔法で俺に勝てるとでも思ってるのか?」

「もちろんです。負ける気がしませんわ」

「無能が粋がりやがって!」


 お互いが同意したことで、対人演習の最初のカードがスーフェンとフェイリアで申請され、シャルルもあっさりと同意した。


「あの、私の相手は?」

「ルミナさんは対人戦禁止です! そもそも、誰も相手してくれないでしょ!」


 態度が軟化したのだと思って、さりげなく対人戦に入ろうとしたら速攻で却下された。振り返って、相手してくれる人がいないかと思ったけど、誰も目を合わせてくれない。解せぬ。


「あの、先生でもいいですよ?」

「お断りです! そんなバカなことを言っていないで、始まりますよ!」


 授業に真面目に参加しようと思ってやる気を見せたのに、バカなこと呼ばわりはひどいのではないだろうか。


「ふん、こちらから行くぞ! うわっ!」


 杖を持って詠唱を始めたスーフェンに向かって、フェイリアは小さい水球を放つ。しかし、ただの水球ではない。軌道修正するための紐が付いていた。


「はっ、ビビらせやがって。全然当たらねえじゃねえか!」

「ほぅ……」


 当てる気のない魔法を無数に放つ。そのすべてに紐が付いているのだけど、結節点が手元でないことに気付いて、ため息が漏れた。


「バカにしやがって。当たらなきゃ意味がねえ――うわっ!」


 フェイリアが手元の紐を手繰り寄せる仕草をした途端、放たれた魔法が不規則に軌道を変えた。背面から襲い掛かるもの、左右から迫るもの、逃げ道を塞ぐような軌道を描くもの。まるで意思を持ったかのような動きを見せて、スーフェンに迫ってきた。


「そんなバカな!」

「やれやれ、この程度ですか?」

「ふざけるなぁぁぁ!」


 怒りに任せて、スーフェンは長々と詠唱を始める。防御魔法頼みの戦法ゆえに、実戦には向かないが、授業の演習程度であれば有効な戦法と言えよう。


 一方、フェイリアの魔法は次々と数を増やしていく。多重操作であれば、すでに30を超えていて、マカロンイメージが通用しないはず。


「いったいなぜ――ま、まさか」


 フェイリアの動きをよく見ると、マカロン――ではなく魔法をただ投げているだけ。そこから紐を使って軌道修正をしているだけだった。


「考えたなぁ。手に持ちきれないなら、どんどん放り投げてしまえばいい。軌道修正ができるようになったからこそできること」


 一発逆転に気を取られ、長い詠唱を始めてしまったスーフェンは、そのまま詠唱を終えることができず、無数に襲ってくる魔法によって防御魔法を削り切られた。


「まさに無限のマカロンとも言うべき恐ろしい魔法。これで発展途上というのだから、やっぱり才能も大事だよね」


 最後に防御魔法を削り切られたスーフェンに魔法が直撃。壁際まで吹き飛ばされて勝負ありとなった。


「終わり! 勝者フェイリア!」


 よろよろと立ち上がったスーフェンの顔は怒りに歪んでいた。フェイリアをにらみつけながら指を差す。


「くそ、卑怯だぞ! あんなの魔法じゃない!」

「確かにありえないわね」

「そ、そうでしょう! きっと卑怯な仕込みを――」

「だが、ちゃんとした魔法であることは間違いない。だから、結果は覆らないよ」


 シャルルにまで言い切られて、スーフェンは膝から崩れ落ちた。

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