8話 愛称と替え
―――ちょっとはお菓子のおかげで 仲良くなれたかもだし、勇気を出してもう少し話してみようかな......?
「ねぇクラウデレ、好きなお菓子はある?」
「特には......なかったですね」
「......じゃあ!何して遊ぶのが好きなの?」
「......仮面を磨くとか......?」
「え......そ、うなんだ。仮面を大切にしてるのね」
「......毎日使っている物ですから」
「ねぇクラウデレ?」
「はい 」
「クラウデレって呼ぶと長いからクーレと呼んでもいいかしら」
家族や仲良くなった人を愛称で呼ぶ事もあると聞いたことがある
私は名前が短い方なので
家族からも(友人など居ないので除く......)
変わった呼び方はされないが
クラウデレは少しだけ長い。
幼い舌足らずなこの口ではいつか呼ぶ時に噛んでしまいそうだ
「―――!…… 」
いきなり呼び方変えるのは
ちょっと馴れ馴れしかったかな?
「......はい、どうぞお好きにお呼びください」
「良かった、そう呼ばせてもらうわね」
......よく考えたら、「いいか」と聞かれた所でこの子は拒否出来なかったかもしれない
相手が「はい」としか答えられない質問をしても意味がない。
私はもっと会話の練習が必要みたいだ。
出来る事ならこの子には
もっと練習台になってもらいたいな
少ししか話せてないし
表情仮面で読めないし
この子の事まだ全然分からないけど
お菓子も食べてくれたし
仮面の事で私が嫌ではないか心配してくれていた
多分悪い子じゃないと思う。
私もまた何回か会ってみても良いかなと思うくらいだから
―――「クーレ、そろそろ戻りましょうか」
「はい、レイデ様」
そろそろ戻らないと
花を見て話すだけで時間かかりすぎって思われて怪しまれるかもしれないし
あまり長い時間騎士達から目の届きにくい場所
にいるのも良くないからね
様子を見に来られて隣に座っているのがバレたらこの子が大変だろうから
こーゆーのはこっそりとしか出来ない
―――……正直残念だ。
もっと話してみたいのにな......。
知らないことばかりだし、この子は気になる事も多いから
仮面の事とか もう少し聞いてみても良かったかも
好きな遊びは?って聞いて
仮面磨くとか言ってたし......。
......変わり者よね。
私はそんな事を思いながら
二人で騎士達がいる入口付近まで歩き始めた―――
「そういえば仮面磨いて毎日してるって言っていたけど、替えは無いの?壊れちゃったら大変じゃない?」
「それは......あまり考えた事がありませんでした」
「そう......上手く使ってたのね」
大事にしてたから壊れるような事が今まで無かったのかもしれない
多分大人しいタイプだから
はしゃいで遊んで壊すとか無さそうだしね
―――……「替えの仮面か......」
私のすぐ後ろで
そう呟くような声が聞こえた気がした―――




