7話 二つのクッキー
―――「戻りました」
クラウデレはそう言いながら私の方に歩いてきた
―――よし、作戦開始ね。
「ね、ねぇ せっかくだし二人でお話したいんだけど いいかしら?」
「…分かりました。」
よし!クラウデレの良い返事が聞けた!
まずは第一段階クリアね!
次に、私は騎士達に向かって声を掛けた
「ねぇ、二人きりで遊びたいから皆入口付近で待っていてくれる?」
「えっと......そうですねぇ......危険な事はしないとお約束していただけるなら......まぁ......
花にはトゲのある危ない種類もありますし、
花瓶や植木鉢は割れやすいので触れたり近づいたりせずに お二人で見て回るだけでお願い致します。
......では向こうで待機しておきますので、何かあればすぐにお声を掛けてください。」
「私達もあちらで待機しておきます。紅茶のポットは熱いのでお手を触れないよう、お願い致します
飲み物が必要になりましたらお声掛けください。」
「分かったわ。二人で奥の方を見てくるだけだから大丈夫よ」
「かしこまりました。では失礼致します。」
騎士とメイド達は私に向かって一礼してから入口付近に向かって歩いて行った。
やったわ!完璧ね!
まぁ、でもここからが一番大事なんだから!
......おっと、忘れるとこだったわ
私はテーブルにあった使っていない紙ナプキンにチェック柄のクッキーを二枚包んでドレスの横ポケットにそっと入れた
お菓子の準備も完了!
「行きましょうか」
「はい。」
私はクラウデレと一緒に温室の奥に向かって歩き始めた―――
「い、いい天気ね......」
「そうですね、雲一つ無い快晴ですね。」
「えっと.........ここ!このお花!ガーベラと言って色の種類が多い綺麗なお花でね?
私が好きなお花だから、近くにベンチを置いてもらっているの。
いつもここで見てるんだけど......
今日は一緒にお花を見たいから......
あなたも一緒に座らない?」
「僕は平民ですから...お嬢様のお隣に座るなんて......
それに 他と違って仮面もしていますし......
僕は気味が悪いでしょう?......
気を悪くされたのでは......」
「そ、そんな事ないわ!いいのよ!そんなの気にしなくても!」
......いや、仮面はめっちゃ気になるけどね!
聞くのも怖いからスルーするって決めたし!
それに、本人も仮面を気にしてるのに外さないって事はそれなりの理由はあるって事じゃない?
まぁ、仲良くなればもっと気軽に聞けるかもしれないし。
相手の触れられたくなさそうな話題は話さない事も会話の練習のよね!
それに、いつまでも同じ歳くらいの子達と
まともに話さないでいられないもの!
あなたには会話の練習台になってもらうんだから!
「ほら、お菓子も持ってきたの!あなたと一緒に食べたくて......
私もまだ食べてないから一緒に食べない?」
「僕と......一緒に......?
......よろしいのですか?」
「もちろん!ほら、あなたも早く座って!」
失礼します。とクラウデレも私の隣に座ってくれた
「はい、これあなたの分ね!」
クッキーを一枚枚手渡した後
私はもう一枚の方を一口食べた
「クッキー美味しいよ!」
私にそう言われて、あの子も一口クッキーを食べた
「はい すごく......とても美味しいです
えっと......お嬢様......レイデ様...はこのクッキーがお好きなんですか?」
―――!
初めてあの子の方から話かけてくれた!
それに挨拶の時以外でも名前で呼んでくれた......!
お菓子のおかげでちょっとは仲良くなれたって事かな?
「ええ!そうなの!」
「そうなんですね 」
初めて誰かと一緒にお菓子を食べたな......
両親は忙しいし、兄も勉強があるから
私に構ってくれる事は本当に少ないし。
私は残りのクッキーを口に放り込んだ。
「―――………です。」
―――「......ん?今何か言った?」
小さな声で何か言ってた気がしたんだけど......
「いえ、何も。」
そう言うと、クラウデレも食べかけだったクッキーを口に入れた。
「そう?」
風の音とかで勘違いしたのかな?
気のせいだったみたい。
こっそり二人で食べたクッキーの味は
いつもより特別美味しい気がした―――




