5話 常識
―――それぞれの挨拶が終わった後、父が口を開いた。
「レイデ、伝えておくがクラウデレは平民だ。だから他と同じように接しなさい。」
―――えっ......平民......?
......いや、よく考えてみれば分かる事だったかもしれない。
父は今回の話を私にした時、「明後日に連れて来る」と言った。
平民の子供であれば相手の予定など気にする必要がない。身分のある者が「面会は明日だ」と無理を言っても断る事ができないからだ。
だいぶ前から執事を付ける話が進んでいて、
元から私に断らせるつもりが無かったのだと思っていたが―――……
......実際は違ったのかもしれない。
―――まぁ、断らせるつもりがないのは合っているだろうけどね
私の気が変わらないうちに会わせたいって事だろうから。
私の父はちょっとだけ策士だなと思った―――
それに、父は今日来る執事候補である子供との面会場所として客間ではなく庭を選んだ。
貴族の子供だったら最初は客間で挨拶だけして庭や温室に移動するのが普通だろう。
客間は相手敬う場合に使用される事が多い。
相手の身分が自分より低くても多少なりとも権力のある人物であれば客間に通す。
多少でも権力のある人物をもてなさ無かったとなれば今後の関係に響くからだ。
平民だとしたら身分が低い上に権力もない為、
客にはなれない。
だから、平民である仮面の少年が良い部屋に通される事は無い―――
当然、父が言った同じようにとは他の使用人達と同じように敬称は不要と言う意味だ。
―――敬称かぁ......
使用人の中でも平民である使用人の地位は特に低く、爵位の高い家に仕える平民ほど周りからの扱いは酷いものになる傾向がある。
出かけた先で他の貴族が平民出身と思われる使用人をぞんざいに扱っているのを見た事がある。
親の爵位によって産まれてからずっと優遇されてきた私だが、使用人のこの扱い方は好きでは無いし 理解出来なかった。
貴族としてはこの扱いこそが当たり前で、それを出来ない私は貴族失格なのかもしれない。
だが、使用人達がいなければ私は朝支度もできず、食事もとれないだろう
出来ない私の代わりにやってくれているのだ。ここに敬意があっても良いんじゃないだろうか。
―――何故身分によって対応が変わるのか。
―――何故対等に話してはダメなのか。
―――何故同じテーブルで食事してはいけないのか。
私はこの5歳という幼い年齢で既にマナーを学び始めていた
しかし、マナーや常識として理解はしていても
納得は出来ていなかった―――
―――だが、
「分かりました」
私の考えと父からの指示が違い、どうしていいか分からず未熟な私はこう答えるしかなかった。
「今日は二人で温室を見てくると良い。今の時期は花が沢山咲いて綺麗だよ
メイド達にレイデの好きな紅茶とお菓子も準備するように言っておいたから」
「......ありがとうございます、行きましょうか」
私は複雑な気持ちを引きずったまま
クラウデレとメイド達、騎士を一人連れて温室に向かった―――
書く予定だった文章が抜けていたので修正しました。
前、書いている時に何か文が少ないなーって思ってたんですよ(ーωー;)




