3話 自由崩壊の危機
――今日は家族全員で夕食をとる事になった。
最後に全員で食事をしたのはいつだったか......
それも思い出せないくらい私達家族はまとまって食事をしない
領地の経営に加えて、王宮で財務大臣としての仕事もしている激務の父
将来、父の跡を継いで財務大臣となる事が期待され勉強に明け暮れる兄
領地経営を手伝いながらお茶会やパーティに参加し公爵家としての体裁を保つ母
それぞれの理由があり常に忙しくしている
だから全員で集まれるような機会は少ないのだ
なので集まる時には大抵の場合大事な報告がされたりする。
「レイデに専属の執事を付ける」
ん?聞き間違い?
「そろそろ流石に話し相手くらい必要ですし、いいんじゃないかしら」
待機しているメイド達に話しかけるだけでも大丈夫ですよお母様......
「良かったねレイデ!」
お兄様まで......
冗談だよね?それか、相談よね?そうするのはどうかって言う事よね?
嫌な予感がするのはきっと気の所為......
「お父様......それは相談と言うことでしょうか......でしたら必要ございませんよ?今の使用人の数でいいです」
「しかしお前も一人はつまらないだろう私達が構ってやれる時間もほとんど無いからなぁ」
その言葉に兄と母がうんうんと頷く。
お父様......それは余計な気遣いです......
逆に私を気遣えて無いまであります!!
......なんて、私を心配し想う3人に言える程
非道にはなれなかった。
「まぁ......お会いしてみるだけなら......」
気乗りはしないが、仕方がない。
貴族の専属側仕えなんてある程度家柄の良い者しかいないし、貴族の遊び相手なんて貴族しかいない。
きっと下級貴族の次男次女くらいの誰かなのだろう。
一度会うだけ会っておいて、話が合わないとでも言おう。そうしたらこの話も無くなるか先送りにできるはずだ。
「そうか!丁度お前と同じ歳の良い者に話を既に通しているんだ!明後日辺りに連れて来る事にしよう」
明後日!?早くない!??
下級とは言え貴族の子よね?
そんなに早くは無理じゃない?
ずっと前から連れて来る気だったって事?
だとしたら、元々私の拒否権ゼロじゃない!
「はぁ......」
私は3人に気づかれないくらいの小さなため息をつきながら食事を完食した。
―――今思えば、父のこの言葉にはもっと違和感を感じるべきだったのかもしれない―――……




