12話 ローセル邸
※クーレ視点の話です。
―――……そして、令嬢と会う日が来た。
僕はあの人に用意してもらった馬車でローセル邸に到着した。
馬車から降りると少し遠くに
茶髪で緑色の瞳の男性が立っているのが見えた。
あの人から聞いていた話からすると、この人がローセル公爵だろう。
僕は公爵のそばに寄るとすぐにお辞儀をした
「お初にお目にかかります、ローセル公爵様。私はクラウデレ・センテと申します。」
「あぁ、よく来てくれたね。君がクラウデレか。聞いていた通り仮面をしているんだね」
「......はい。初対面で失礼かとは思いますが、お見苦しい姿を晒す訳には まいりませんので。どうかご了承ください。」
僕は公爵様に向かって軽くお辞儀をした。
―――僕は仮面を外したくない。
―――仮面の下は ” 傷跡がある事にした ” ―――
この事はあの人も了承してくれている。
だから、公爵様と僕の件で連絡をする時に
”顔に傷跡がある為仮面をしている”から了承して欲しい事を記してくれた。
つまり、それを知った上でローセル公爵は僕をご令嬢と会わせると決めたようだ。
「騎士達には傷のある者も多いし
貴族も今は比較的平和だが、兵を率いて戦う事もある。傷がある者も少なくは無い。気にする事はないよ。」
「――!......ありがとうございます。」
公爵様はこの仮面を見て悪態をつくことも無ければ、顔を顰める事もなかった。
事情を知っているあの人を除いて
そんな人と出会ったのは始めてだ......。
「うちのレイデと仲良くしてくれると嬉しいよ。早速行こうか、レイデが庭で待ってるからね」
ご令嬢をお待たせしていたなんて......
あの人の話では今丁度時間ぴったりくらいのはずだが......
「お待たせして申し訳ございません。」
「あぁ、いやいや。レイデにはわざと早めの時間を伝えたんだ。心の準備をする時間が必要かと思ってね。」
「......そうでしたか。」
心の準備とは?
まるで公爵令嬢が緊張しているかのような言い方だ。
ご令嬢は僕と同じ歳だと聞いているが
公爵令嬢ともなればその歳で常に沢山の人と会っているだろう。
そんな方が緊張なんてするのか?
......まぁ、それ程の時間を待ってはいないと言う意味の公爵様なりのフォローだったのかもしれないな。
そうして僕達は
ご令嬢の待つ庭に向けて歩き始めた。




