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微熱の道化師  作者: だぶまん
微熱の道化師(異世界帰還編)
50/50

K.26 「微熱の道化師(異世界帰還編)」(AIが要約)

「おーい。誰かいませんかー」


暗闇の中、いつまで経っても明るくならない景色に、弱者太郎は絶望していた。コ・イカゲの影の攻撃に近いが、どこか違う。もっと根源的で、逃げ場のない完全な虚無。その違和感に、じわじわと恐怖が心を蝕んでいく。

「本当に、閉じ込められたのか」

それは、あらゆる手段を使ってこの暗闇から抜け出そうとした結果、弱者太郎から絞り出された答えだった。

アリスはどこに行った。ゼン・ニン兄弟は。飛行艇は。考えが、ぐるぐると頭の上を回っていた。

「これじゃあ、俺はいったい何のために戦ったんだ……」

神にあらがった結果、誰も救うこともできないどころか、すべてを失った。オトギゾウシの言葉通り、この異世界が終わってしまったことに、弱者太郎は絶望を感じていた。

彼は、初めて異世界で泣いた。声を上げ、嗚咽を漏らし、涙が枯れるまで。それでも、弱者太郎は一人だった。


そんな時、ふと、なぜ自身はいなくならないのかということに気づいた。世界が終わったのなら、自分も消えるはずだ。

少しだけ希望を持った弱者太郎は、ポケットの中に何か硬いものがあることに気付いた。掴んでみると、それはオトギゾウシの持っていた本の切れ端だった。確か、オトギゾウシは本に何かを書いて姿を消した。

もしかすると、これに書けば、状況が変わるかもしれない。しかし、弱者太郎には書く物がなかった。

「……やってみるか」

太郎は覚悟を決めて、自分の親指の皮膚を強くかみちぎった。じわっと現れる少量の血。それをインク代わりに、切れ端に一筋の線を描いた。

すると、切れ端からポンッと音を立てて、一本のペンが現れた。予想が的中した太郎は、この書いたものを具現化できる本そのものを増やそうと、震える手で「本」と書いてみる。

確かに本は出来上がるのだが、その複製された本に何度書いても、書いたものは具現化しなかった。どうやら、オリジナルはこの切れ端だけのようだ。

誰か、頼りになる者はいないか。そう思った太郎の頭に、ふと、現代に残してきた二人の魔法少女、雲母と咲が浮かんだ。

残り少ない余白に、彼は祈るように彼女らの名前を書き込んだ。すると、目の前の空間が光り、二人が現れた。

「マジかよ、超やべぇじゃん……」太郎は驚いた。

「私たち、どうしてここに……?あなた、誰?」雲母と咲も驚いていた。

「かくかくしかじか」太郎の説明に、ようやく状況が理解できた彼女たちだった。


「この本、ちゃんと名前があるんじゃない?」そう言ったのは咲だった。

太郎はハッとした。どうしてもその本の名前がわからないので、彼女たちに魔法を使ってこの本を復元できないかとお願いした。

「多分、クアンタム☆ブロッサムになればできるかも」雲母がひらめいたように言った。

雲母と咲はクアンタム☆ブロッサムに変身すると、呪文を唱えた。

「TM風呂敷き!」

魔法の風呂敷きで本の切れ端を復元すると、名前のない立派な本が現れた。太郎がその本でまず暗闇を消し去ると、誰もいない異世界が戻ってきた。

咲が面白がって落書きをすると奇妙な動物が現れ、太郎は慌てて本を取り返す。雲母が「なぜ魔物まで?」と尋ねると、

太郎は「人も魔物も一緒だ。共存してほしい」と答え、思い出せる限りの人々と魔物を世界に書き戻していった。


誰が、この異世界の秩序を守れる者になるのか。後継者を指定した方がよいと考えた太郎は、少し悩んだ。

「あいつがいるじゃん」

示し合わせたようにニタニタと笑う雲母と咲は、本に「タイヨオウ」と書き込んだ。

「ここは……ラーメン食ってたのに。誰だお前!」

「かくかくしかじか」太郎の説明に、タイヨオウもようやく状況を理解した。そして、太郎の「本物の異世界の王になる覚悟はあるかい」という問いかけに対して、

「うん」と、深くタイヨオウはうなずいた。


「それじゃ、元に戻したんで、元の世界に戻ります」と帰ろうとした太郎は、タイヨオウに「みんなに言っておくことがあるんじゃないか」と引き留められた。

それもそうだなと、太郎は出会った仲間たちをこの場所に来るよう、本に書いた。


再生した世界に仲間たちを呼び戻した太郎は、アリスとの感動の再会にヘルメットの下でニヤつくが、復活したパパ(コ・イカゲ)の登場でラブコメは即終了。

皆の前で、まるで自分が新世界の神にでもなったかのようにドヤ顔で世界の未来を語り、後継者にアリスとタイヨオウを指名した。


「じゃ、俺おうち帰るわ」とあっさり別れを告げると、「帰らないで!」の大合唱が。気を良くした太郎は「それじゃあ……」と、

ここぞとばかりにヒロインたちに公開プロポーズを敢行!


結果は、ヨーツー姫に「嫌です」、アリスに「それはちょっと」、ジョロウに「きもっ」、JKに「通報する」と、怒涛のコンボで即答フルボッコに。

最後の頼みの綱(?)のタイヨオウにまで「俺はノンケだ」と勘違いされ、彼の婚活は盛大に爆死したのだった。


一夜が明けようとしていた。日が昇る光景に、全員が見とれた。

「すごいきれい……。ねえ、太郎?」

アリスが振り返ったが、そこにはもう太郎の姿はなかった。


――スマホの着信音が鳴った。寝ぼけたように、太郎は通話に出る。

「お前、何約束の時間遅れてんだよ。遊ぶ約束だったろうが」

聞き慣れた親友の声に、太郎は応えた。

「ああ、ごめん。実は夢でさぁ……ちょっと、異世界救ってたんだよね」

「ばっかじゃねぇの」


魔族の王として「タイヨオウ」が誕生していた。傍らにはアリスもいた。この異世界の秩序のために、二人は今日も頑張っている。

キン・ニク2はリン国を真の共存の国にすることを目指し、今までと少し違って、人間・魔族の国同士の連携をし合うようになったようだ。

ゼン・ニン兄弟はデ・キールと和解した後、未来の発明に勤しんでいるようだ。

クイックボーグとウルティマヘヴンは、兄弟で今日もどこかの悪と戦っている。

雲母と咲は、やっと弱者太郎エキスの回収に成功して、普通に現代でJKしている。


誰も知らない異世界の森で、ひっそりと一つの墓が立っていた。その墓には誰もいない。ただ、魔法の本が静かに置いてあるだけ。

墓石には、こう書いてあった。


「世界を救う微熱の道化師、ここに眠る」


【完】

おしり

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