K.23 「魔族の娘」(AIが要約)
片腕を失い、膝をつく乙女の棺。その絶望的な光景を前に、暁の城から響くユウ・ゲの声は、慈母のように、しかし有無を言わせぬ響きを持っていた。
「我が肉親アリスよ。こちらに来い」
その言葉に、アリスは一瞬、ぽかんとした表情を見せた。肉親?誰が?何のこと?
しかし、すぐに我に戻ると、ユウ・ゲにその言葉の意味を訪ねた。
「アリス、お前はコ・イカゲの娘。私の家族だ。共に創造主オトギゾウシに仕えよう」
ユウ・ゲからの突然の発言に、アリスは激しく混乱した。ユウ・ゲと、自分の父親が親族。それだけでも十分に衝撃的だった。自分の知らない、血の繋がり。
(ああ、そうなっちゃうかー)
と、隣で弱者太郎が心の中で呑気につぶやいたが、アリスの耳には届いていなかった。
「さあ、手を取れ。この世界を、その秩序を、根底から書き換えよう」
暁の城から数本の腕が、まるで誘うかのように、乙女の棺の操縦席部分へと伸びてきた。
しかし、アリスの返事は、揺るぎない拒絶だった。
「私、いけないわ」
交渉決裂、とばかりに暁の城は腕を引っ込めた。そして、先程までの誘いが嘘であったかのように、間髪を入れずに乙女の棺へと腕の鞭が襲い掛かった。
もてあそばれるように、今度は乙女の棺の足が引きちぎられる。もはや、ただの動かない鉄の塊。もうだめか、とアリスがそう思ったとき、弱者太郎は、彼女の心の悲鳴に応えた。
「クイックボーグのヘルメットは、伊達じゃない!――チェンジスタイル!」
弱者太郎がそう言うと、彼の被るヘルメットの目が、内側からカッと赤く光った。同時に、満身創痍だった乙女の棺もまた、まばゆい光を放ち始める。
その光は瞬く間に巨大な炎の柱となり、やがてヴェールを脱ぐように、その真の姿を見せた。
乙女の棺は、純白の色を燃えるような深紅へと変え、まるで炎そのものをまとったかのような姿に形を変えていた。
失われた腕も足も再生し、以前よりも遥かに力強く、巨大で禍々しいオーラを放っている。
アリスは、眩しさに閉じていた目を開けると、隣に弱者太郎の姿がないことに気づいた。「キュービー!」と、思わず彼の名を呼んで探す。すると、すぐ隣の座席に、うっすらと弱者太郎の横顔が見えた。いつの間にか、乙女の棺は複座型になっていたのだ。
「今まで黙っててごめん。キュービーは仮の名前、本当の名前は弱者太郎(仮名称)なんだ」
弱者太郎はアリスにそういうと、これから二人でユウ・ゲを倒すことを、簡潔に説明した。
アリスは一瞬、ためらいの表情で沈黙したが、何かを振り払うように「うん」と、一言だけ弱者太郎に返事をした。
「アリスはできるだけ魔力を貸してくれ。その他全部、俺。行くぞ!」
弱者太郎がそういうと、生まれ変わった乙女の棺は、暁の城に敢然と立ち向かった。
ユウ・ゲは、目を疑った。胴体だけだったはずの小さな魔具人形が、いつの間にか巨大な炎の巨人に変貌していたからだ。
「どんな魔術を使ったんだ……!」
「魔族がそれを言うのかい」
弱者太郎は、思わず突っ込みを入れずにはいられなかった。
ユウ・ゲは「そんなことはどうでもいい」とばかりに、無数の腕を炎の魔具人形へと浴びせた。
しかし、その魔具人形は背中にまとったマントで巨大な壁を作ると、その攻撃をいともたやすく防いでしまった。
「いったい、何者になった……」と、驚きを隠せないユウ・ゲ。
それに呼応するように、魔具人形はマントをおろし、その威容を完全に露わにした。そして、弱者太郎は高らかに宣言した。
「説明しよう!この姿こそ、『乙女の棺 2nd』――勇者の化身だ!」




