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微熱の道化師  作者: だぶまん
微熱の道化師(異世界帰還編)
37/50

K.13「それぞれの剣の形」(AIが要約)

「そんな、馬鹿な……」


センキの声は、雷鳴の余韻にかき消されることなく、静かに響いた。 彼の手に握られていた大剣──かつて誰にも折られたことのない誇りの象徴── それが、目の前の“乙女の棺”によって受け止められ、砕かれた。


「何者なんだ、お前は」


センキは、棺の中にいる操縦者に問いかける。 その声には、怒りでも憎しみでもない、ただ純粋な驚きがあった。


「彼女を守りたいだけの、正義の味方だ」


答えたのは、キュービーだった。 その言葉は、まるでかつてのセンキ自身が口にしていたような、懐かしい響きを持っていた。


センキはしばらく沈黙した後、ふと笑い出した。


「フハハ、笑っちゃうね……俺の名前も落ちぶれたもんだ。なあ、お前ら」


彼は背後にいるはずの街の仲間たちに声をかけた。 だが、誰も応えなかった。


──その沈黙が、すべてを物語っていた。


「もう、俺らが人間じゃなくなってたことぐらい……知ってたさ」


センキの守っていた街は、すでに魔族の支配下にあった。 そして、センキ自身も、知らぬ間に魔族へと変貌していた。


それでも彼が戦ったのは、かつての仲間たちが魔族となっても、 まだセンキを“仲間”として認めてくれていたからだった。


「魔具人形の操縦者……最後に、お前の名前を聞こう」


センキは、乙女の棺の操縦者に向かって静かに言った。


「私の名前はキュービー。──またの名は、“弱者太郎”だ」


その言葉に、センキは目を細めて笑った。


「面白れぇ名前だな」


そして、彼は折れた大剣をゆっくりと掲げた。 その刃に、かつてないほどの雷が纏う。


「雷鳴斬──!」


稲妻が空を裂き、戦場を照らす。 乙女の棺は、これから来る攻撃に耐えきれないと直感した。


キュービーは焦った。 だが、そのとき、ふと“ウルティマ・ヘブン”の力について思い出す。


──その力の原動力は、悪を憎む心。


もしかすると、乙女の棺の力も、搭乗者の心に呼応するのではないか。 キュービーはそう考えた。


「今は何でもいい。やれるだけ、やろう」


彼は心の奥で叫んだ。


「私は、彼女を守る──!」


その瞬間、雷鳴斬が乙女の棺に触れた。 そして、そこを中心に爆発が起こった。


飛行艇は爆風に押し出されるように、魔具人形たちから離れていく。 戦の城は、爆炎に包まれた。


──その中で、センキは静かに呟いた。


「みんな、終結の園で、会おう」


彼の言葉は、誰にも届かないまま、炎に飲み込まれていった。


爆発が収まり、静寂が戻った戦場。 そこに立っていたのは、右腕を高く突き上げた姿の乙女の棺──ただ一体だけだった。


その姿は、まるで“守る力”の象徴のように、空へと拳を掲げていた。

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