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微熱の道化師  作者: だぶまん
微熱の道化師(異世界帰還編)
35/50

K.11「予感」(AIが要約)

♥そして歯車は回り始める♥

「ところであんた、なんで魔族の匂いがするんだ?」


センキの言葉は、謎の少女Qの胸に冷たい針のように突き刺さった。 酒場の喧騒の中、彼の声だけが妙に静かに響いていた。


Qは一瞬、言葉を失った。 だが、代わりに反応したのは彼女の腕に装着された発信機(キュービー)だった。


「私はここに観光に来ただけよ」 キュービーの声が、腕時計から流れるように響いた。


センキは目を丸くしたが、すぐに状況を理解したように頷いた。 「なんだ、おもちゃか。喋る奴ってのはあるんだよな」 この異世界では、魔力を封じ込めた翻訳機が存在する。 腕時計型のそれが、まるで生き物のように話すことも珍しくはなかった。


「魔族の匂いはこのおもちゃからだったらしい。あんたはどうやら観光客のようだな。疑って悪かった」 センキの言葉に、Qはほっと胸を撫で下ろした。


──だが、安心するにはまだ早かった。


「俺はオトギゾウシから命令を受けてる。飛行艇を探して、破壊しろってな」 センキはグラスを傾けながら、さらりと告げた。


Qはその言葉に、内心で警鐘を鳴らした。 この街に降り立ったのは偶然ではない。 彼女の存在は、すでに誰かの“目的”に触れてしまっているのかもしれない。


「観光なら、この街を少しぶらついてみるといい。人間の文化ってのは、案外面白いぞ」 センキはそう言って、笑顔を見せた。


Qは礼を言い、水を飲み干した。 その一杯は、彼女にとって“止まり木”の温もりだった。


──だが、酒場を後にしたその瞬間。 センキは静かに呟いた。


「あいつらをつけろ。飛行艇の奴だ」


街は夕暮れに染まり始めていた。 Qは建物や店、小物に目を奪われながら、異世界の文化に触れていた。 それは、彼女にとって新鮮で、どこか懐かしい感覚だった。


だが、日が暮れかけた頃。 Qはさらに新しいものを求めて、路地裏へと足を踏み入れた。


──そして、ぶつかった。


「お嬢ちゃん。いけないなぁ」 現れたのは、長身で粗暴な男たち3人。 その目は、獲物を見つけた獣のように光っていた。


「これはお詫びが必要だよなぁ」 男の一人がニヤつきながら言う。 それにつられるように、残りの二人も口を開く。


Qは謝った。だが、彼らは聞く耳を持たなかった。 その場の空気が、じわじわと冷たく、重くなっていく。


キュービーは焦った。 何とかしようと考えたが、今の彼には力がない。 Qの怯える姿に、彼はただ、無力さを噛みしめるしかなかった。


──そのとき。


「こいつらは、でぇ奴らだなぁ」 陰から現れたのは、センキだった。


「観光客にオイタはまずいぜ」 彼の声は、路地裏の空気を一変させた。


「なんじゃい、わりゃりゃ!」 男たちはセンキに襲いかかる。 だが、センキはまるで風のように、彼らの攻撃をすり抜けた。


一歩、また一歩。 彼は歩きながら、男たちの拳を華麗に避けていく。


そして、Qの前に立ち、彼女を抱きかかえながら言った。


「大丈夫かい、お嬢さん。王子様が迎えに来ましたよ」


その言葉に、Qの頬はほんのりと赤く染まった。 キュービーの色は、真っ赤だった。

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