K.10「止まり木」(AIが要約)
風が止んだ。 それは、飛行艇にとって死を意味する。空を駆けるための生命線が、突如として断たれたのだ。
「エネルギーが……消えた?」 艇内に緊張が走る。操縦士たちが慌ただしく計器を操作するが、風は戻らない。 やむを得ず、飛行艇は敵領土の上空で不時着を余儀なくされた。
謎の少女Qは、窓の外に広がる異世界の景色を見つめていた。 久しぶりの外の空気。未知の街並み。彼女の胸は、恐怖よりも好奇心で満ちていた。
「外に出たいのか?」 デ・キールが目を細めて言った。 「逃げるつもりじゃないなら、これを持っていけ」 そう言って渡されたのは、腕時計型の発信機だった。 「逃亡防止用だ。……まあ、爆発はしないけどな」
その発信機には、キュービーが封じられていた。 「やれやれ、主人公の役じゃないぜ」 キュービーはぼやきながら、Qの腕に装着された。
外に出たQは、目を見張った。 そこには、人間界で見慣れたレンガ造りの建物が並び、活気ある街が広がっていた。 魔族の領土とは思えないほど、人間たちが普通に暮らしている。
「……人間?」 Qは首をかしげながら、街を歩いた。 空腹を感じた彼女は、ふと目についた酒場に足を踏み入れる。
店内は賑やかで、笑い声とグラスの音が響いていた。 どう見ても、魔族の世界ではない。店主も客も、みな人間だった。
「お客さん、後ろ詰まってるから適当な席につきな」 店主の声に促され、Qはカウンター席に座る。 その瞬間、目の前に一杯の水が差し出された。
「……?」 「運がよかったね。あっちのお客さんからだよ」 店主が指差した先には、青年が座っていた。
「俺の名前はセンキ。世界の半分を手に入れる予定の男だ」 青年は笑いながら自己紹介した。
Qは戸惑いながらも、水をくれた理由を尋ねた。 「つい、下心が出ちゃったのさ」 センキは少し照れたように言った。
Qはさらに問いかける。 「どうして世界の半分を手に入れる予定なの?」
センキは、グラスを傾けながら語り始めた。 かつて彼は勇者だった。人間の世界を救うため、魔族の王・オトギゾウシに挑んだ。 だが、力の差は歴然だった。センキは敗北し、命を落としかけた。
──そのとき、オトギゾウシは意外な提案をした。 「世界の半分を人間に統治させる。その代わり、我が軍に加われ」
センキは悩んだ末に、その提案を受け入れた。 「人間が存続するためには、これしかなかった」 彼は苦虫を噛むような表情で呟いた。
Qはその言葉に、少しだけ同情を覚えた。 センキの選択は、裏切りではなく“妥協”だったのかもしれない。
──そのとき、センキがふと顔を近づけてきた。 「ところであんた、なんで魔族の匂いがするんだ?」
Qは息を呑んだ。




