表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
微熱の道化師  作者: だぶまん
微熱の道化師(異世界帰還編)
28/50

K.4「師弟の刃」(AIが要約)

チュ・コイノ部隊の支援によって生まれた、ほんの束の間の安堵。それを嘲笑うかのように、機械仕掛けの神は戦場に降臨した。

『出臼・まきな』――その機体から響く声は、紛れもなく先ほどQたちを蹂躙したデ・キールのものだった。

「ワシの操る武装は、魔力で稼働する人造の義体。すなわち『魔具人形』。名は"出臼・まきな”。貴様らの魔具人形モドキに、ワシが倒せるじゃろうか」

その言葉は、乙女の棺に向けられたものでありながら、通信回線の向こうにいるであろう元弟子たちへの、明確な挑戦状だった。

戦いの火蓋は、再び切られた。Qは乙女の棺の全霊を以て、出臼・まきなに組み付く。純粋なパワーでは、乙女の棺がわずかに上回っていた。ギチギチと音を立てて敵機を締め上げる。勝てる!――その確信は、次の瞬間、絶望に変わった。

出臼・まきなの背部装甲が開き、隠されていた四本の腕が、蛇のように伸びて乙女の棺を強打する。不意を突かれた純白の巨人は、凄まじい勢いで吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。

「くっ……!」

体勢を立て直そうとするQの目に、六本腕の異様な姿で迫りくる出臼・まきなが映る。乙女の棺の攻撃も、この距離では決定打にならない。何か、何か立ち向かう武器は――!

『まずい!このままではやられる!何か、何か対抗する術は……!』

操縦席で明滅するキュービーの思考が、猛烈な速度で回転する。『クイックボーグ』。そうだ、彼の技――『ダイセイオン(大声)』は、超音波カッターに匹敵する周波数を生み出せる!

「これじゃ、負けちゃう……!」

Qが悲痛な叫びを上げた、その瞬間だった。目の前のコンソールに、一つの文字列が浮かび上がった。

【超震動斬】

それは、キュービーが咄嗟に考え出した、超音波を腕部に集中させ、触れるものすべてを切り裂く手刀の技。乙女の棺のシステムが、キュービーの思念を即座に技として実装したのだ。

Qは、藁にもすがる思いでその文字をタップした。途端に、乙女の棺の挙動が変わる。右腕が、まるで空間そのものを震わせるかのように、激しく振動し始めた。

『フン、搭乗者の恐怖が魔具人形にも現れるとはな。震えが止まらんようじゃ』

デ・キールは呆れたように言い放つ。『一発で終わらせてやるぞい』

出臼・まきなは、先ほどとは打って変わったような神速で、乙女の棺との距離をゼロにした。

「キュービー、行くよ……うおりゃああああ!!」

Qは雄叫びを上げ、震える右腕を突き出した。それは恐怖の震えではない。勝利を掴むための、力の震えだ。

超震動を纏った乙女の棺の拳が、出臼・まきなの頭部を捉える。ガラス細工のように、敵機の頭部が砕け散った!

その衝撃的な光景を目の当たりにした魔族の大軍団は、自分たちの神が敗れたと悟り、蜘蛛の子を散らすように一斉に逃げ出していく。

だが、出臼・まきなはまだ倒れてはいなかった。

『……少しはやりおるわい』

頭部を失った機体から、デ・キールのはしゃいだ声が響く。まだ動く六本の腕が、再び乙女の棺を抱き寄せるようにして、その身動きを完全に封じた。

『どうじゃ。これで抵抗はできんじゃろう』

デ・キールがほくそ笑む。しかし、Qは冷静だった。乙女の棺は再び拳を震わせると、今度は円を描くように手刀を振るう。まるで熟練の職人が竹を両断するかのように、超震動斬は出臼・まきなの六本の腕を、付け根から鮮やかに切り裂いた!

衝撃で、出臼・まきなの胸部装甲が剥がれ落ち、内部の操縦席が露わになる。

『『デ・キール・ウ・デマエ!!』』

母艦のブリッジで、ゼン・ニン兄弟が同時に師匠のフルネームを叫んだ。

『Q!搭乗者を捕まえろ!』

ゼン・ニン(兄)の指示を受け、Qは器用に乙女の棺の掌で、気を失ったデ・キールをそっとすくい上げた。

捕縛されたデ・キールは、飛行艇の医務室で目を覚ました。ベッドの脇には、ゼン・ニン兄弟が神妙な面持ちで立っている。久々の再会だった。

「……やはり、お前たちの魔具人形じゃったか」

デ・キールは、心底がっかりしたように呟いた。

「やはり、師匠の機械でしたか」

ゼン・ニン(弟)が静かに返す。しばらくの沈黙の後、デ・キールは吐き捨てるように言った。

「……弱すぎる」

その言葉は、医務室にいた兄弟、そして通信で聞いていた飛行艇のクルー全員の胸に突き刺さった。

「私たちの力が、あなたに勝ったのです。デ・キール師匠」

ゼン・ニン(兄)が、誇りとわずかな怒りを込めて反論した。だが、デ・キールはそれを鼻で笑う。

「勝った?このワシにか?笑わせるな。ワシはただの偵察じゃ。お前たちが本当の恐怖を知るのは、これからよ」

デ・キールは、恨めしそうな、それでいてどこか哀れむような声で語り始めた。

「魔族の王が操る『真の魔具人形』は……お前たちの創造を、遥かに超える出来じゃ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ