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微熱の道化師  作者: だぶまん
微熱の道化師(異世界編)
2/15

2.「もしも、世界が変わるのなら」

家に帰った弱者太郎に衝撃が走った。

衝動買いの為に頭部(ヘルメット)以外の衣装を用意できていなかったのである。

太郎は形から入るタイプなのである。


太郎は慌てて衣装を作成した。

防具は段ボールで作った。

防具以外の部分は本来タイツのようなスーツだったが、

無地の洋服を利用して何とか色だけは合わせた。

武器は通販で買った大剣の模造品を手に持った。

なぜそんなものが家にあるのかって?だって太郎、男の子だもん。


何とか取り繕って着た自作の衣装は学芸会以下の出来だった。

しかし、太郎は思い出補正もあってかそれで満足だった。

そして、太郎は満を持して念願のヘルメットを装着する。


太郎はいざヘルメットを装着しようとしたがふと考えた。

"何だったっけあの掛け声"と記憶からあこがれのヒーローが

変身するときに発する決め台詞を思い出していた。


「そうだった。固着っ!」


太郎は突然思い出した決め台詞を慌てるように発するとガバッとヘルメットを被る。


「パワー オン」


パチモン風の電源のついたことを示す言葉がの女性の声でヘルメットに搭載されているスピーカーから聞こえる。

太郎は"え、パチモン?"とか口に出しつつヒーローになれた気がして感動した。

その瞬間、ヘルメットが首を絞めつける。太郎は一瞬焦ったが、

そのあと首へ圧迫がちょうど良い圧力になったことを感じた。どうやら装着の自動調整もしてくれるらしい。


とりあえず、変身できた自身の姿を早速鏡に映してみると何とも言えない高揚感を太郎は感じた。

そしてヘルメットの目やセンサー部分が光っていることに太郎は気付いた。しかも口も開く。


いろいろとポーズをとって一通り満足した太郎だったが、飽きた。

着替えて買い物にでも行こうかとヘルメットを取ろうとするが、様子がおかしい。

首から上がピクリとも動かないのだ。無理に取ろうとするたびに"1% ダメージ"と女性の声で

ヘルメットに損傷が起きていることを説明する。


太郎はまたも焦りネットでヘルメットの脱ぎ方を調べるがこの製品自体がヒットしなかった。


「マジかよ、超やべぇじゃん」


思い出せ弱者太郎。ヒーローが変身を解くときなんて言っていたかを。太郎は焦りに焦った末に

きっと変身ヒーローの解除呪文を詠唱することでヘルメットが脱げるかもしれないと呪文を思い出してみることにした。

しかし、いくら思い出しても解除呪文が思い出せなかった。


落ち着け弱者太郎。明日病院に駆け込めば、解決できるかもしれない。

明日職場へはSENGOKU SUIT(作中登場予定)のヘルメットはかぶれないかもしれないけど、

それ以外は何とか着用できるから大丈夫だろう。

とりあえず今日はすべてを諦めて太郎はヘルメットを買うときにグッドポーズをしていたおじいさんの顔を思い出して

急に腹が立ってきた。とはいえ腹もすいた。

太郎は放心状態だったため何も考えずコンビニへ向かう。変身したままの状態で。


太郎の自宅とコンビニとの距離が少しあるが、その間におじいさんの質屋がある。

ちょっと寄ってみるかと思い太郎は店に行くがやはり店のシャッターはしまっている。

大きなため息をつきながら向かいにある川に反射する自分の姿を見た太郎だったが、

そこで初めてコスプレしたまま外に出てきていたことに太郎は気付いた。


「お困りのようですね」


聞きなれた声の方向に太郎は振り返るとあの時購入を迷っていた太郎を覗いていた時と同じように

ニヤニヤとおじいさんが太郎を見ていた。


「何か知ってるの?!」


突っかかる太郎。それからおじいさんは口を開く。


「君は選ばれたようだ。おめでとう。これから異世界を、ヘルニア国を救ってほしい。」


太郎は( ゜д゜)。


「時間がない、早く行くんじゃ。まずは旧国王に会え。」


弱者太郎は抵抗したが、彼をつかむとおじいさんは老人とは思えない力で川へ投げ入れた。


太郎は満月のような光を目蓋に残して気を失ってしまった。

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