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微熱の道化師  作者: だぶまん
微熱の道化師(現代編)
16/24

G.1「運命の出会い」

魔法少女としての才能を持つ者を探しているキュービーは、ぬいぐるみの姿でひたすらその時が来るのをじっと待っていた。彼が潜んでいたのはゲームセンターのクレーンゲーム台。

その日、一人の女の子がやってきた。名前は☆ノ雲母きらら、16歳。真剣な眼差しでコインを投入すると、手慣れた動きでクレーンを操作し、狙ったぬいぐるみを次々と獲得していく。

キュービーも彼女の手に取られることを期待していたが、クレーンは彼の頭上を通り過ぎるばかり。周囲のぬいぐるみたちが袋に詰められていく中、キュービーだけが台に取り残されていた。


「これはいかん。このままでは物語が始まらぬ!」


焦ったキュービーは、彼女が次に取るぬいぐるみにしがみついて一緒に取られようと機を伺った。

しかし、そのチャンスはついに訪れず、彼女は満足げな表情でクレーン台を後にしようとしていた。

仕方なくキュービーは直接行動に出ることを決意し、出口から這い出ると尻尾を伸ばし、タイミングよく彼女の袋の中に潜り込むことに成功した。


袋の中は所狭しとぬいぐるみで埋め尽くされており、キュービーは周囲を見回してほっと胸をなでおろした。


「俺より可愛いぬいぐるみがいなくてよかった」。


しかし、そんな安堵もつかの間、家に帰った雲母は袋を開けるなりキュービーを見て「きっしょ」と一言。容赦なくキュービーをゴミ箱に投げ捨て、そのままゴミ置き場へ持っていった。


だが翌朝、捨てたはずのキュービーが玄関先に戻ってきていた。それを見た雲母は鳥肌を立てながら再びゴミ置き場に持ち込むが、翌日になるとまた戻ってきている。

何度捨てても戻ってくるぬいぐるみに不気味さを感じた雲母は兄に相談し、最終的にごみ処理場へ直接持ち込むことに決めた。


雲母の兄は少し年が離れており、彼女の頼みには基本的に応じてくれる優しい性格だ。

今回も彼女の不安を和らげるように、「抜かりないでござる」と言って車を用意し、ごみ処理場まで付き添ってくれることになった。

しかし、道中で渋滞に巻き込まれてしまった。兄が「あまり見ない混雑ぶりだな」とつぶやく中、雲母は窓の外に目をやった。

すると、彼らの進行方向とは逆に必死で逃げ惑う人々の姿が見えた。その先には巨大なカエルのような怪物が立ちはだかり、街を破壊していた。


「俺の名はフロッグマン。この町で最強のソルジャーだ!」


黒いハードスーツを身にまとったその姿は、人間のようでありながら怪物そのものだった。

フロッグマンは右腕から強力なパンチャーを発射し、次々と車を横転させていく。

「ヒット!ヒット!」と叫ぶ声が響く中、ついに雲母たちの車の目の前に立ちはだかった。


「最悪……」と呟く雲母をよそに、兄は「妹には指一本触れさせない!」と叫びながら車を降り、フロッグマンに立ち向かう。

しかしその勇気もむなしく、フロッグマンは兄を軽々と持ち上げると、右腕のパンチャーで吹き飛ばしてしまった。


震える雲母の視界に、袋から這い出すキュービーの姿が映る。ピンク色のそのぬいぐるみは、まるで彼女を守るように前に立ち上がっていた。

状況が飲み込めないまま、雲母は目を見開いた。「君に話がある」と口を開くキュービー。その言葉が、この先の運命を大きく動かしていく――。

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