12.「哀、奴隷の主」
町にヨーツー姫を担いだもう一人の太郎がいた。
太郎は一瞬何が起こっているのか理解できていなかったが、我に返りとりあえず気を失っているヨーツー姫を助けなければともう一人の弱者太郎の前に立ちふさがった。
「待てい、もう一人の自分。ヨーツー姫を離すんだぁ」
太郎は呼びかけたがもう一人の弱者太郎は気にも留めずに城の門を目指して歩いていた。
もう一人の自分に何度も止まるように呼び掛けた太郎だったがついにもう一人の弱者太郎は口を開いた。
「何度も何度も同じことを言うな。おでは“愛”の称号を持つメンヘラ(ヘラ)だ。
ヨーツー姫とは昔恋人同士だったけど、運命のいたずらで離ればなれになっちまったんだぁ。
そして今度こそヨーツー姫をおでの嫁にして本物の愛を手に入れるんだぁ。」
太郎はヘラの説明に少し違和感を覚えた。しばらく考えてちょっと前に太郎自身が妄想していたことがヘラの言っていることと完全一致していることに気付いた。
太郎はなぜ自分と同じ姿をしているのかをヘラに尋ねたが
「お前の腕をコ・イカゲに付けてもらったからかな」
とヘラは答えると同時にヘラ自身がイカゲのペットであることを吐露した。
太郎は話を理解した様子でヘラが話していたヨーツー姫と恋人同士の下りはすべて妄想だということをヘラに説明したが、
ヘラは聞く耳を持つことなくヨーツー姫を担いで城を出ようとした。
このままでは本当に連れ去られてしまうと感じた太郎はいまだに戦闘機のままになっていることを活かしてヘラに体当たりをした。
体制を崩したヘラはヨーツー姫から手を放してしまった。その隙に太郎はヨーツ一姫をキャッチするとそこらへんにいた兵士に身柄を渡した。
ヨーツー姫が奪われたヘラは再び取り戻そうと兵士に攻撃を仕掛けるが太郎の戦闘機部分が盾になり何とか兵士に当たらずに済んだ。
太郎はヘラに振り返るとヘラの姿がチェンジスタイルしてレッドフォームになっていることに気付いた。
「無詠唱だと・・・」
太郎は自身が呪文を必要とするチェンジスタイルに対してヘラは無詠唱で同じことができることにへこんだ。
そして次にヘラが太郎に向かってキャノンボールキックを放ったがとっさにマジックハンドを盾にすることで命だけは助かった。マジックハンドの腕がもげた。
「まだ遊んでいたのか」
ヘラにそういいながらコ・イカゲが空から降りてきた。
ヘラは「あいつなんかむかつくんだよね」とイカゲに言うとイカゲは「やってしまいましょう」とお互いに相槌を打った。
太郎メンヘラとコ・イカゲの二人共と同時に戦うことになった。
イカゲの釜を振るような鋭い攻撃の後にヘラのキャノンボールキックが波状攻撃となって弱者太郎を襲った。
弱者太郎の体は戦闘機に覆われていたためかろうじて致命傷は避けることができたが、機体はボロボロになりやがて表面が元の段ボールの姿に戻った。
太郎はもうだめかと思った時ゼン・ニン兄からもらった卵が1の表示でまだ残っていることに気付いた。
助けを求めるように太郎は叫んだ。
「ミマモーレ」
すると太郎を包むように光が現れしばらくするとマジックハンドだった腕がロックバスターになった。
ヘラは太郎の腕が変化したことに少し驚いたがそれならばと自身の腕を鍬に変化させて太郎に力強く振り下げた。
太郎はとっさに前転をしてヘラの攻撃を避けられたがこれはカタコリ国での戦闘訓練が実った瞬間だった。
ヘラの攻撃が当たった建物はスパッと切れて破壊力のすさまじさを太郎は感じた。
ヘラの動きの鈍さに我慢できなかったイカゲは太郎の体を掴んで身動きが取れないようにした。
「動きは止めた。早くやれメン・ヘラ」
そういわれたヘラはスタイルチェンジでレッドフォームになった。
ヘラが高く飛び上がり太郎にとどめを刺そうそしたとの時、ヨーツー姫が叫んだ。
「やめてー」
ヘラはその声のする方に振り返った。その隙に太郎はダイセイオンを放ちイカゲの拘束を緩めた。
「〇ックバスター」
太郎の〇ックバスターはヘラの胴体を貫いた。
ヘラはヨタヨタとヨーツー姫に近づいて目の前で倒れた。
「おでお前好き」
ヘラはヨーツー姫に息絶え絶えに言った。
「違う形で会えたなら仲良くなれたかもしれません。」
ヨーツー姫の言葉を聞いたヘラはニコッと笑って灰になった。
一方太郎はイカゲに〇ックバスターを当てるがイカゲの陰に吸収されるばかりでいまいち攻撃が通用しない。
「この単調な攻撃はクイックボーグに似ているな」
イカゲは太郎に言うと太郎はなぜヒーローの名前を知っていると聞き返した。
イカゲは以前にクイックボーグと戦ったという。そしてイカゲは太郎に言った。
「クイックボーグは私の見せた絶望に勝てなかった。お前も同じように私の絶望で消えてしまえ。」
太郎はヘルメットのエネルギーが尽き掛けていることに気付いた。イカゲから出る影が太郎を包み込む。
「もうだめだ。」
そう思ったとき、影の中に誰かの腕が見えた。太郎はその腕を必死で掴んだ。
掴んだ腕の方向に向かって飛び出すとその腕の先にヨーツー姫が現れた。
ここは危ないと太郎はヨーツー姫に諭した。
「私も戦っています。あなたも負けないでください。」
ヨーツー姫が太郎を励ました。このことにより太郎にある正義の心が灯った。そしてエネルギーも回復した。
イカゲは太郎が自身の影から脱したことに動揺していた。そんなイカゲに太郎は言った。
「この世に悪がある限り、正義の味方は現れる。クイックボーグ、参上。今度は私が貴様を倒す番だ。」
太郎はイカゲに〇ックバスターを放った。それに負けじとイカゲも黒いバスターを放った。
お互いの力は互角化に見えたが、イカゲの力がやや強くじりじりと太郎が押されていた。
これは負けてしまいそうだ。そう思ったその時、ヘルメットから「叫べ」と声が聞こえた。
太郎は新しい呪文を叫んだ。
「ボーグバスター」
太郎のバスターの威力が増してイカゲの力を飲み込んでイカゲ自身も光に包まれた。
「そんな技知らない・・・」
終息した光から残ったイカゲは最後にそういうと爆散した。
「クイックボーグ、正義完了」
〇ックバスターを構えた状態で弱者太郎はコ・イカゲの最後を見届けた。
一緒に戦ってくれたヨーツー姫に感謝を伝えようとした太郎だったが、ヨーツー姫はそこに居なかった。
空から声が聞こえた。
「フッハー。クイックボーグよ。ヨーツー姫は預かった。返してほしければリン国へ来い。」
空を見上げた太郎はリン国の国王らしき人物がデカデカと現れていた。ヘルニア国の兵士たちはこれに弓やマシンガンやミサイルで攻撃したがすり抜けまただけで
そこで初めてげんじゅちゅであることが分かった。
後にヘルニア国内で協議の結果、唯一リン国の主要な兵士を倒しているということとヘルニア国の危機から一応救った功績から形だけ国王として太郎が就任した。
弱者太郎は国を手に入れた




