表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大宮ふとん店、本日もたぶん営業中  作者: スパイク


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/37

潰れぬふとん屋、噂の公安支部説

上尾中央商栄会の七不思議のひとつ――

「なぜ大宮ふとん店は潰れないのか?」


レジは壊れ、釣り銭は不足し、在庫は時空の彼方。

営業時間は天気次第。

これでどうやって経営が成り立つのか、

商店街の誰もが首をかしげている。


その謎の答えとして、最近囁かれているのが**“公安隠れ蓑説”。

噂の発端は、麗奈の父の不審な行動だ。

彼は大宮ふとん店のロゴが色あせたワゴン車(※「大宮 とん店」に見える)で、

週に何度も埼玉県警本部**に出入りしている。


「見たことあるぞ。県警の裏口から入ってた!」

「いや、正面から入って幹部と握手してた!」

「まさか公安関係じゃないか?」

――噂は瞬く間に商店街を駆け巡った。


ある日の午後、県警本部の会議室。

麗奈の父と県警幹部が机を挟んで向かい合う。

部屋の外では、職員たちがひそひそと囁く。

「また大宮ふとん店の人が来てる…今日も機密会議だ」


だが、実際の中身は――

「昨日の最終12R、◎のライン切れたのが痛かったなぁ」

「いやぁ、オレは単騎の△狙ってたんだよ」

「おっ、それ渋いねぇ!」


――ただの競輪トーク90分である。


一応、最初の2分だけは商談がある。

父が台本のように言う。

「貸し布団、次の警察学校の研修で20組よろしくね」

「はいはい、じゃあ次のレース、2車単で3-7どう思う?」

そこからは国家機密よりも車券作戦。


商店街では噂が噂を呼び、都市伝説化。

「大宮ふとん店は公安の出先機関」

「麗奈の父は公安のエージェント」

「布団の中に盗聴器が仕込まれている」

――そのどれもが嘘だが、当の父は否定しない。

「まあ、言いたい人には言わせとけばいい」

とニヤリと笑うその顔が、また疑惑を深めている。


――今日も大宮ふとん店は、のんきに店を開けたり閉めたり。

潰れない理由? それはたぶん、

布団の神様が「この店は面白い」と思っているからだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ