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大宮ふとん店、本日もたぶん営業中  作者: スパイク


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管理者不在──それでも今日も賑わう麗奈ちゃん通り

麗奈ちゃん通りは、ある日ふと気づかれた。


――誰も管理していない。


上尾中央商栄会の寄合で、

誰かが何気なく聞いたのが始まりだった。


「……で、通りの責任者って誰だっけ?」


沈黙。


理事長が天井を見上げ、

副理事長が湯呑みを置き、

古株が腕を組んだまま首をひねる。


「最初に言い出したの、誰だ?」

「看板付けたのはウチじゃない?」

「いや、あれは隣の店だ」


結論はこうなった。


よく分からないが、もうある


それで話は終わった。


結果、

麗奈ちゃん通りは完全放牧状態に突入した。


各店は自由だった。


八百屋は

「麗奈ちゃん通り・朝市」を勝手に開催。


喫茶店は

「麗奈ちゃん通り限定ブレンド」を勝手に命名。


古本屋は

「麗奈が読んだかもしれない本コーナー」を設置

(根拠なし)。


当然、

麗奈本人の許可は一切ない。


だが誰も気にしない。


「細かいことはいいんだよ」

「雰囲気が大事」


あの問題の看板も健在だった。


大宮ふとん店 → 200km


誰も直さない。


理由は簡単だ。


「もう写真撮られすぎてる」

「直したら“あの看板”じゃなくなる」

「間違いだけど、名物」


間違いだと全員知っている。

しかし、直す理由がない。


こうして通りは、


・管理者不在

・ルールなし

・責任所在不明


なのに、

なぜか今日も人が歩き、

迷い、

笑い、

写真を撮る。


唯一、全体像を把握している存在がいた。


クロじいである。


昼は通りの中央で寝そべり、

夕方は巡礼者の流れを観察し、

夜は看板の前で座り込む。


「……にゃ」


クロじいの一声で、

地域猫は動き、

イベントが始まり、

いつの間にか終わる。


誰も指示していないのに、

誰も困っていない。


後日、麗奈が通りを歩きながら呟いた。


「……これ、誰が責任取るんですか?」


祖母は即答した。


「取らないよ」


その方がうまくいくからだった。


こうして麗奈ちゃん通りは、

管理されないまま、定着した。


計画も、統括も、正式な承認もない。


あるのは――

昭和のノリと、

誰も止めない優しさと、

クロじいの沈黙。


今日も看板は間違ったまま。

イベントは勝手に始まり、

責任者はいない。


それでも通りは、

確かにそこにある。


これが、

上尾中央商栄会式・街づくり。


そしてもちろん、

これもまた――

麗奈ちゃん案件。

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