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大宮ふとん店、本日もたぶん営業中  作者: スパイク


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霞が関を侵食する昭和の妖精──麗奈ちゃんクリアファイル、まさかの官庁制圧

それは、上尾中央商栄会の悪ノリ・スタンプラリーの景品として、

祖母が「なんとなく可愛く描いた」一枚のイラストから始まった。


祖母デザインの「麗奈ちゃんクリアファイル」。

セーラー服姿でウィンク、背景に謎の桜吹雪、片隅には猫。

麗奈本人は一切関与していないが、

なぜか“昭和の安心感”だけは完璧に宿っていた。


そして、このクリアファイルに

経理の妖怪・どけちのん(谷口佳乃)が目を留めたのが運の尽きだった。


どけちのんは言った。


「……丈夫ですね。

紙が折れない。無駄がない。

そして、見る者の心を油断させる」


その日から、

経費精算の不備伝票はすべて麗奈ちゃんクリアファイルで返却

という新ルールが、誰の承認もなく発動した。


美月「なんでこれで返すんですか」

どけちのん「実用性です」


麗奈「……それ、私の顔……」


やがて使用範囲は広がる。


・経費伝票

・重要な会議資料

・極秘扱いの内部文書

・なぜか“至急”の赤スタンプが押された書類一式


すべて、麗奈ちゃんクリアファイル。


しかも増えている。


誰も発注していない。

誰も持ち込んだ覚えがない。

当然、麗奈でもない。


棚を開けるとある。

引き出しを開けるとある。

コピー機の横にもある。


美月「……増えてへん?」

どけちのん「再利用の循環です」


循環ではない。増殖である。


事態はさらに一線を越えた。


財務省向けの資料。

内閣府の決裁文書。

防衛省に提出する極めて重要な報告書。


それらが、

すべて麗奈ちゃんクリアファイルに挟まれて受け渡されるようになった。


霞が関の某省庁で、若手官僚がひそひそ話す。


「この……ファイル……なんですか?」

「知らない? 最近よく回ってくる」

「セーラー服の……?」

「“麗奈ちゃん”らしい」


省庁内で噂が立つ。


“あのファイル、書類が通りやすいらしい”

“中身より外側が強い”

“昭和の守護霊では?”


ついに、

霞が関で「麗奈ちゃんクリアファイル」が

ちょっとした都市伝説になり始めた。


当の麗奈は、いたたまれずに抗議した。


「もうやめて!

それ私をモデルにしてるだけで、私じゃないから!!」


すると、どけちのんは一言、静かに頷いた。


「理解しています。

これは**“麗奈ちゃん”です**」


麗奈「……何が違うの……」


麗奈は深呼吸して、こう締めくくった。


「麗奈ちゃんは私じゃなくて、

私をモデルにした“昭和の妖精”なのよ……」


ヒロ室には今日も、

妖怪どけちのんと、

正体不明の昭和妖精が、

静かに書類を守っていた。

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