麗奈ちゃんクリアファイルの逆襲 〜どけちのん、まさかの愛用宣言〜
上尾中央商栄会の悪ノリで誕生した、
祖母お手製の 「麗奈ちゃんクリアファイル」。
麗奈本人の許可も取っていないうえに、
祖母がデザインしたので、相変わらず昭和テイスト満載。
セーラー服でウィンクする麗奈(※麗奈はセーラー服の制服を着用歴はない)、
背景には意味不明の桜吹雪、
横にはなぜか “必勝” の鉢巻をつけた猫(なめ猫?)。
もう何を応援しているのか分からない。
だが、それがまたバズってしまうのが
大宮ふとん店と商栄会の恐ろしいところだ。
時を同じくして、
戦隊ヒロインプロジェクト推進室(ヒロ室)の経理担当、
谷口佳乃(通称:経理の妖怪・どけちのん)が
この騒動の噂を耳にした。
どけちのんは眉をひそめ、
端正なスーツ姿でクリアファイルをチェックする。
「……これ、商標権、怪しくありませんか?
麗奈ちゃんの肖像を勝手に使用して……」
職員「せやけど、それ麗奈さんっぽいけどちゃうで?麗奈ちゃんっていう別もんやて」
どけちのん、もう一度じっくり見る。
「……確かに……
麗奈ちゃん……というより、
“昭和のキャンディーズの誰か” みたいですね。」
戦隊ヒロイン要素ゼロ。
もはや誰のものか分からない。
その瞬間、どけちのんは悟った。
「……パテント料取れない……」
経理担当としての期待が折れた音が、
ヒロ室全体に聞こえた気がした。
ところがどっこい。
どけちのんは突然、
麗奈ちゃんクリアファイルを胸に抱きしめ、
「でも……デザインは好きです。
書類の分類にちょうど良い大きさですし」
と気に入り始めたではないか。
その後、ヒロ室の風景は通常運転に戻った――
どけちのんがヒロイン達の経費精算伝票の誤記を見つけると、
容赦なく返却するのだが返却に使うのが例の
“昭和ウィンク麗奈” がどっしりプリントされた
「麗奈ちゃんクリアファイル」。
杜撰な伝票記入で突っ返された美月が叫ぶ。
美月「……なんで麗奈ちゃんクリアファイルで突っ返すんや。このウィンク、なんか腹立つねん」
どけちのん「これがいちばん丈夫なので」
麗奈「いや、私じゃないってば!」
そして麗奈の伝票はいつも間違いだらけ。
どけちのんチェックが入りと大体
不備があるので戻ってくる。
「これで返さないで!!
恥ずかしいからぁぁぁ!!」
どけちのんは冷静そのもの。
「実用性重視ですので」
ある日、美月が愚痴混じりに
そのクリアファイルをSNSにアップ。
『ヒロ室で使われてる書類ファイルこれやねんけど。
麗奈、毎回これで返されて泣いてる』
数時間後――
いいね爆増。
「昭和麗奈ちゃんファイルかわいい!」
「これ商品化して!」
「祖母の画力、天才では?」
麗奈「……私、もうどうすればいいの……?」
美月「お疲れやで。まあ、どけちのんが気に入っとるから諦め」
どけちのんは淡々と今日も手に取る。
「では、このクリアファイルで伝票を戻しておきますね」
麗奈の叫びがヒロ室に響き渡った。
こうして、
祖母作「麗奈ちゃんクリアファイル」は
予期せぬ形で戦隊ヒロインプロジェクトの業務に浸透し、
令和の職場に昭和の風を吹かせ続けるのであった――。




