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大宮ふとん店、本日もたぶん営業中  作者: スパイク


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昭和横断幕、まさかの圧勝! 〜麗奈 vs 商店街、世紀のダサさ大決戦〜

上尾中央商栄会――昭和の空気を色濃く残し、

「時代遅れ? そうかも知れないけど…」

と胸を張る奇跡のシャッター通りである。


その商店街が、麗奈人気に乗じてまた悪ノリを始めた。


ある朝、麗奈が大宮ふとん店の前を歩いていると、

見慣れぬ巨大布が、無駄に元気よく風にバタついていた。


「祝★れいなチャン 活動がんばれ!!」


昭和の絵文字(☆ と!!)だけで構成された狂気の応援。

背景は意味不明の虹色グラデーション。

そして貼られている写真は

「どこで撮ったの!?この変な顔!」

と叫びたくなる微妙ショット。


麗奈、完全に固まる。


「え……これは……悪夢……?」


悪夢ではなかった。

商栄会の理事長(70代・昭和レトロの化身)が

胸を張って言い放った。


「いいだろ? 若い子はこういうの好きなんだろう?」


誰だよ、それを吹き込んだのは。


しかし、理事長の自信は揺らがない。

麗奈が震える声で抗議しても、


「せっかく作ったから外さないよ。結構評判いいんだよ」


――どこでだよ。


このままでは麗奈のイメージが、

謎の昭和応援アイドルにされてしまう。

ついに麗奈は決意した。

対抗してオシャレな横断幕を制作すると。


芸能活動のツテを使いプロのデザイナーに相談。

黒地に金ライン、爽やかな宣材写真を添えた、

超スタイリッシュ横断幕が爆速で完成した。


商栄会の“昭和”横断幕と並ぶと、

令和と昭和がケンカ別れして物理的に距離を置いているようだった。


しかし理事長は、


「なんかオシャレすぎて落ち着かんなぁ〜」


落ち着く落ち着かないの問題ではない。


もう仕方がない。

準レギュラーとして出演している地元FM局(FMさいたま)の

ラジオ番組で麗奈は

勝手に「横断幕総選挙」を開催した。


「上尾中央商栄会が勝手に制作した“昭和横断幕”と、

私が制作した“令和横断幕”、

どっちが良いか投票お願いします!」


DJもノリノリ。


『面白くなってきましたよ〜!皆さん投票くださーい!』


――次回の出演時

寄せられたリスナーコメントがまたひどい。


RN:昭和は心のふるさと

「ダサい方が逆に芸術。あれは神の造形」


RN:平成生まれのレトロ狂い

「麗奈の横断幕は洗練されすぎて近寄りがたい。

商店街のは“友達になれそう”」


RN:浦和のジョン・レノン

「麗奈は令和、商栄会は昭和52年。時空が違う」


そして結果は――


昭和横断幕 312票

令和横断幕 105票

(トリプルスコアで昭和の勝利)


麗奈、膝から崩れ落ちる。


DJ大爆笑。


『昭和、強ぇぇぇーー!!』


理事長はしてやったりの笑顔。


「ほら見ろ、やっぱうちのが人気じゃん」


その日の商店街は、

昭和横断幕と記念写真を撮る若者で行列ができた。


令和のオシャレは負け、

昭和のダサさだけが勝った。


麗奈は深くため息をついた。


「……なんでこうなるの?」


理事長は胸を張って言い放つ。


「これが上尾の実力よ!」


父も母も祖母も、なぜか誇らしげ。

通りすがりのベーカリー中村・修さんまでもが、


「まあ、ダサいのが一周回って強いんだよね」


と謎のフォロー。


クロじいをはじめとする地域猫たちが「ニャーニャー」と合唱し、

麗奈は空を見上げ、静かに悟った。


「……負けた。昭和に。」


その瞬間、風が横断幕をバサァッと揺らし、

「祝★れいなチャン 活動がんばれ!!」の

昭和風横断幕だけが 妙に“勝ち誇った音” を立てた気がした。


こうして上尾中央商栄会はまた一つ、

本人たちだけが誇らしい伝説を増やしたのであった。


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