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大宮ふとん店、本日もたぶん営業中  作者: スパイク


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上尾中央商栄会 “売れるなら何でもやる” ―麗奈人気に全員が乗っかりすぎた商店街の逆襲―

上尾中央商栄会は、昭和の風情を残したシャッター通り。

しかし“麗奈ファンの巡礼ブーム”によって、

思わぬ形で復活の兆しを見せていた。


商店街の店主たちは、麗奈と地元の顔なじみ。

幼い頃から“あの大宮さんとこの娘さんねぇ”と見守ってきたものの、

今はもう完全にこう思っている。


「売れるなら、なんでも麗奈ちゃんに乗っかろう」


──この姿勢が暴走する。


薄暗い古本屋に、突如コーナーができた。


『麗奈ちゃん応援特設コーナー』


麗奈の写真集や記事があるわけではない。

並んでいるのは、


・昭和のアイドル雑誌

・ビジネス書

・全集モノ

・なぜか昔の学習参考書


買おうとする巡礼者に店主は平然と言う。


「麗奈ちゃんも勉強家だからねぇ。こういうの読むよ、たぶん」


完全に“たぶん”。

だが巡礼者もノリで買うので売れる。

※麗奈はほとんど本は読まない


店主は言う。


「売れれば正義だよ」


◆◆八百屋:深谷ねぎを“麗奈ねぎ”に改名


深谷ネギの札が突然こう変わった。


『麗奈ねぎ』


巡礼者

「麗奈さんの好きな食べ物ですか?」

八百屋

「いや知らん。でも売れるからいいの」


堂々たる断言。

商売魂の方向性が昭和。


だがネギは飛ぶように売れ、

農協も微妙に褒めてくるので八百屋は気を良くする。


◆◆喫茶店:たった一言を“看板メニュー化”


テレビ番組のロケのついでに立ち寄ったとき、麗奈が軽く言った。


「ここのナポリタン、美味しいですね」


たったこれだけ。


にもかかわらず——

翌週には喫茶店の前に巨大な看板が立つ。


『麗奈セット(ナポリタン+アイスコーヒー)』

『麗奈さんが一度だけ“おいしい”と言ったナポリタン』


巡礼者が押し寄せ、店主は大喜び。


「麗奈ちゃんの言葉は金言だねぇ!」


言ったの一度だけなのに、である。


◆◆文房具店:本人の利用実績“ゼロ”でも“御用達”


商店街の端の文房具店には、

突然こんな垂れ幕が登場。


『戦隊ヒロイン大宮麗奈 御用達の店』


巡礼者

「麗奈さん、ここで買い物したんですか?」

店主

「ノートとエンピツを買いに来たよ⋯多分」


巡礼者

「じゃあ買います!」


店主

「ほらね、売れればなんでもいいんだよ」


開き直りの極致である。


巡礼者から“商店街が完全に麗奈商法で暴走してる”と聞きつけ、

麗奈がひっそり様子を見に来た。


古本屋

「あっ麗奈ちゃん! 特設コーナー見た?」

八百屋

「麗奈ねぎ、今日も完売だよ!」

喫茶店

「麗奈セット、今月300食突破!」

文房具店

「御用達、もっと大きく書こうか?」


麗奈

「……あの……何これ全部……許可してないんですけど……?」


店主全員

「地元の子なんだから良いじゃん!

売れるなら何でもやるのが商店街だよ!!」


麗奈

「……(もう何も言わない)」


結局、呆れて黙認するしかなかった。


——商店街はこうして復活した


気がつけばシャッター通りだった商店街は、

連日巡礼者で大にぎわい。


・ネギは売れすぎ

・ノートは売れすぎ

・ナポリタンは作りすぎ

・古本はなぜかレア化


商店街の理事長は夕方の通りを見ながらつぶやく。


「……いいねぇ。売れるってのは、正義だよ」


麗奈は遠くで頭を抱えつつも、

どこか嬉しそうに笑っていた。


こうして上尾中央商栄会は、

“麗奈人気便乗商法ストリート”として再び脚光を浴びた。


そして次の便乗ネタを考える店主たちの背中を見ながら、

麗奈のぼやきが静かに響く。


「……もう好きにして……」

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