復活の“昭和ポイント”──大宮ふとん店、伝説のポイントカード狂騒曲
大宮ふとん店の昼下がり。
祖母がそろばんを弾き、父が競輪新聞を熟読し、母が猫のクロじいに煮干しをやっている。
そんな平和な午後に事件は起きた。
「すみませ〜ん、このカードって……まだ使えます?」
差し出されたのは、
色あせた黄土色の紙切れ。
大宮ふとん店
電話 六二−XXXX
ポイントカード(粗品贈呈)
祖母
「いや……あんた……これ、どこで……?」
客(地元の知人の孫)
「ばあちゃんが昔もらったやつ、押してくれるって」
祖母は目を細めてカードを裏返したり透かしたりして言う。
祖母
「……これ、ウチがやってたやつかい?」
父
「初めて見たな……」
母
「これポイントの基準とか何も書いてないよ?」
麗奈
「そもそも電話番号“六二”って…?」
祖母が思い出した。
「これはね、じいさんが昭和50年代にノリで作ったやつだわ……」
麗奈
「ノリで……?」
祖母
「なんか当時“ポイントカードが流行るらしい”って聞いてね……
深く考えずに作ったのよ。ポイント基準は“気持ち”だったと思う」
麗奈
「気持ちで決めるカードって何……?」
亡き祖父のカオスな遺産である。
基準が分からないので、
祖母はなんとなくスタンプを押し始めた。
「ポン……ポン……なんか楽しいねぇ」
父
「そのスタンプ、何ポイント分とか決めてないの?」
祖母
「知らないから、とりあえず3つ押しとくわ」
母
「適当すぎる……」
そして——
麗奈
「あっ……全部貯まった……」
祖母
「……ほんとだ……やっちゃったねぇ……」
客
「全部貯まったら粗品って書いてます!」
麗奈
「書いてはあるけど……何も考えてないのよ!!」
祖母
「ちょっと倉庫見てくる」
祖母は薄暗い倉庫へ。
昭和の匂いがむわっと広がり、
ほこりを払って段ボールを開けると——
“昭和50年代の寝具メーカーのノベルティ”
・赤い湯たんぽカバー
・変な笑顔の布団キャラクターシール
・昭和の会社のロゴ入りタオル
・謎の「寝具祭」バッジ
麗奈
「何これ!?レトロすぎる……」
祖母
「粗品って書いてるから、これでいいねぇ」
客に渡すと——
客
「最高です!!レトロで可愛い!!」
麗奈
「えっ?これ喜ぶの!?ほんとに!?」
──SNSにアップすると→大炎上(良い意味で)
客がアップした写真が瞬く間に話題に。
「昭和の超レア布団ノベルティ!」
「謎の“昭和ポイントカード”すごい!」
「復活希望!!」
「全国で5人しか持ってなさそう!」
「電話番号“六二”がエモすぎる」
祖母
「なんでこんなに騒ぎになってるの……?」
父
「復活希望だってよ。ポイントカード」
母
「どうするの?」
麗奈
「え、やるの?この昭和の遺物を??」
そこに、なぜか店の入り口から顔を出す修さん(ベーカリー中村)。
修さん
「なんか……うちにも“ポイントカード復活しないんですか”って客が来たんだけど……?」
麗奈
「修さんが巻き込まれるのも、もう日常です」
祖母
「まぁ………とりあえず発行する?」
麗奈
「しないって!!」
・“昭和ポイント”は幻のカード
・世界に5枚しかないレアカード
・粗品は“戦後の遺産”
・ポイントは“長年の徳”で貯まる
・ポイント発行元は公安当局?(なぜ)
全部嘘である。
全部ただの祖父のノリである。
しかし、大宮ふとん店の混沌は、
またひとつ新たな伝説をつくってしまった。
麗奈
「うちって……なんでこんなにバズるの……?」
祖母
「時代が追いついてきたんだねぇ」
父
「次は“ポイント2倍デー”だな!」
麗奈
「絶対やらないからね!!」
こうして——
大宮ふとん店“昭和ポイントカード”狂騒曲は
今日もまた、地域に混乱と笑いを撒き散らしながら続いていくのであった。




