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大宮ふとん店、本日もたぶん営業中  作者: スパイク


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昭和20年代の幻影!?──大宮ふとん店、まさかのロケ地抜擢大騒動

大宮ふとん店の前に、

ある日突然「○○テレビ制作部」と書かれたワゴンが現れた。

スタッフが店構えを見て、ざわつきながらこう言った。


スタッフ

「ここだ……“昭和20年代の生活感”が完全に残っている……!」


祖母、そろばんを片手に出てくる。


祖母

「昭和20年代? ウチはそこまで古くないよ?

昭和40年代からだからねぇ……」


監督

「いや、もう見た目が“戦後まもなく”なんです!完璧です!」


祖母

「褒めてるのかい?バカにしているのかい?」


監督

「褒めてます!あの“消えかけた看板”、

“謎のハエトリガミ”、そして“猫”!!

舞台そのままなんです!!」


昭和20年代=“戦後の混乱期”を描くドラマだという。

しかし大宮ふとん店は ただの昭和の店 である。

祖母は一度拒否するが、

お茶を出したあたりでなぜか了承していた。


祖母

「まぁ撮ってもいいよ……別に減るもんじゃないしねぇ……」


麗奈

「おばあちゃん、なんで承諾してるの……?」


そしてロケ当日――


撮影隊が到着すると、

店の雑然とした雰囲気に監督は感動する。


監督

「小道具いらない!この店そのままでいい!!」


スタッフ

「えっ、特に装飾もしないんですか?」

監督

「何もいらん!!この“自然なボロさ”が最高だ!!」


祖母

「自然なボロさって……そんな大げさな……」


しかしスタッフは本気だ。


「この看板、昭和20年代の空気そのまま……」

「このハエトリガミ、当時の生活感がリアル……」

「この猫……戦後の象徴……?」


全部違う。

全部今の大宮ふとん店の通常営業である。


 

監督

「エキストラお願いできませんか?生活感が完璧なんで!」


「いいよ。今日は競輪ないし」


「いいですよ〜、買い物帰りの人ですか〜?」


ベーカリー中村の修さん

「なんで俺まで!?パン屋だぞ!?

戦後すぐのパン配達ってあったの!?」


監督

「細かいことはいい!!雰囲気です!!」


修さん

「雰囲気で昭和20年代を撮るな!」


祖母は出演しないと言っていたが——


猫の餌をやるため画面の端を横切る。

がっつり映っている。


監督

「……素晴らしい……“戦後を生き抜く老婆”感が完全に出ている!!」


祖母

「違うよ、ただ猫のごはん……」


修さんはパンを運ぶ役にされ、

戦後の闇市の雰囲気を出すために走らされた。


修さん

「オレ……なんで走ってるの……?」


父は「終戦直後の男A」、

母は「近所の奥さんC」として自然に画面に馴染む。


監督

「本物すぎる……」


麗奈

「本物の昭和の人じゃないんですけど!!」


 

ドラマは予想以上の反響を呼んだ。


視聴者たち

「ラストの布団屋のシーン、リアルすぎた」

「戦後の雰囲気が完璧に出てる」

「猫の演技が自然」

「あのパン運んでる人、最高に哀愁あったな」

「看板の“ふ”が欠けてるのが歴史を感じる……」


麗奈

「看板は今現在あれなんです!!

戦後の遺物じゃないの!!」


そして視聴者が押し寄せる。


「ここがドラマのロケ地ですか!?」

祖母

「いやぁ……そんな古くないんだけどねぇ……」



そして新たな都市伝説が――


・昭和20年代の店が現存している

・猫はドラマのために訓練された

・パンを運ぶ男は劇団俳優

・そろばんの音は演出

・看板はセット

・ハエトリガミは美術が作った小道具


全部嘘。

全部、ただの “今の大宮ふとん店” である。


しかし近所ではこう囁かれる。


「大宮ふとん店……あれ実は戦後すぐから営業してたらしいぞ……」


祖母

「違うよ、40年代からだよ……」


麗奈

「訂正しても誰も信じない!」


修さん

「なんで俺も“戦後のパン屋”にされたんだ……?」


「次は朝の連続テレビ小説だな!」


麗奈

「出る気満々!!」


そして今日もまた、大宮ふとん店は

昭和でも戦前でも戦後でもないのに、

なぜか“歴史的存在”として脚光を浴び続けるのであった。


疑惑は更に深まった。

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