真夜中の黒塗り来訪──大宮ふとん店に潜む“公安の影”?
上尾市の深夜0時。
住宅街はしん、と静まり返り、虫の声だけが響く。
だというのに——
大宮ふとん店だけが 異様に明るかった。
もちろん営業しているわけではない。
ただの 電気の消し忘れ である。
しかし、この夜は違った。
店の前に、一台の 黒塗りの車 が滑り込んできたのだ。
ヘッドライトが路地を切り裂き、
ダークスーツの男が降り立つ。
その姿はどう見ても “公安の幹部” にしか見えない。
通りすがりの住民A
「み、見た!?黒塗りが来たぞ!」
住民B
「やっぱりここは公安の拠点だったんだ……!」
——だが、実際は父の“競輪仲間”である。
埼玉県警の偉い人だが、目的はただひとつ。
競輪トークである。
父
「いや〜昨日の宇都宮の11Rよ!
あれは本命だったよな!?本命だよな!?」
警察幹部
「おまえ、あんな穴目買うから負けるんだ。
あれは完全に捲りの流れだったろう!」
祖母は猫に餌をやり、
母はその横で猫用の毛布を畳んでいる。
誰も“国家機密”なんか話してない。
猫のゴハンと競輪だけ。
しかし外から見ると——
・黒塗りの車
・ダークスーツの男
・真夜中の明かり
・ふとん店の不穏な静けさ
全部が 意味深すぎる。
コンビニ帰りの青年が見て言った。
青年
「うわ……あれ絶対公安だ……
この店マジで何やってんだよ……」
商店街の噂好きのおばちゃん
「この前のハエ取り紙事件も何かのサインだったんじゃないの……?」
老人
「“ろくじゅうにの…”って電話番号も暗号なんだよ……」
全部違う。
全部大宮ふとん店の日常である。
・「大宮ふとん店=公安工作拠点説」
・「黒塗りの車が出入り」
・「深夜会議は国家機密」
・「クロじいはスパイ猫」
完全に都市伝説化。
麗奈
「いやいや!ただの父の競輪仲間だから!
なんで国家レベルの話になってんのよ!!」
父
「昨日の課長、車新しくしてたな。
黒塗りでカッコよかったわ〜。」
麗奈
「その“課長”が紛らわしいのよ!
警察幹部が黒塗りで来れば、そりゃ疑われるよ!」
・深夜の黒塗り=公安
・ふとん店の明かり=秘密会議
・父と幹部の低い声=作戦会議
・祖母のゆっくりした動き=裏の指揮官
・猫の影=暗号係
・ハエ取り紙=監視装置
すべて誤解だが、
尾ひれはつき、翼まで生え、
空を舞う勢いで拡散されていく。
そして町内はざわつきながらこう囁く。
「昨夜のは……公安の定例会議らしいぞ……」
すべては誤解で、
すべては日常だが——
疑惑は更に深まった。




