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大宮ふとん店、本日もたぶん営業中  作者: スパイク


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54/108

上尾ミステリー:パン屋の男、国家の闇に落ちる(全部大宮ふとん店のせい)

ベーカリー中村の修さんは、

ただ平和にパンを焼き、静かに暮らしたいだけの男だった。

しかし——大宮ふとん店と関わったその日を境に、

彼の人生は“ヒッチコック映画型巻き込まれ地獄”へと変貌した。


 


上尾ミステリー:パン屋の男、国家の闇に落ちる(全部ふとん店のせい)



きっかけは、町内で囁かれていた噂だった。


「大宮ふとん店は公安の隠れ蓑らしい」


もちろん事実ではない。

“看板の字が消えかけてる”“電話番号が昭和のまま”“祖母が動きだけスパイ”

ただそれだけだ。


だが、その噂は何故か突然こう進化した。


「協力者はベーカリー中村」


修さん

「なんで!?パン屋に何を求めてんの!?」


しかし、噂は止まらなかった。



配達中。

修さんは背後の視線に気付いた。

振り返ると、黒帽子の男(自称ジャーナリスト)が電柱の影にいる。


「……見たぞ。パン屋の男……“あの店”と密接だ……」


修さん

「密接じゃなくて、ただ単に距離が近いだけ!!」


だが男は勝手に深読みしていく。


「パンという“日常の仮面”を使い機密の受け渡し……あるな……」


修さん

「やめて!ウチのアンパンは平和利用!!」



道を変えても——

路地に入っても——

角を曲がると必ずそこに現れる影。


「……修ちゃん……」


声の主は、ふとん店の祖母だった。

夕日の逆光で顔が真っ黒。

この世とあの世の境目に立っているようだ。


修さん

「ひゃあああああ!!……って、おばあちゃん!?

なんで!?どこから!?いつ!?」


祖母

「修ちゃんがねぇ……近くにいる“気がした”んだよ……」


その“気配GPS”やめてほしい。


そして祖母は深刻なトーンで言う。


祖母

「FAXが……止まっちゃったんだよ……」


黒帽子

「くっ……合言葉だ……!」


修さん

「違う!ただの故障!!なに暗号扱いしてるの!!」



別の日。

また背後に影。


祖母

「修ちゃん……ハエ取り紙が……また誰かに……」


「ハエ取り紙……秘密の粘着装置……!」


修さん

「秘密でも装置でもない!ただの罠!!」


さらには老人ホーム前でも影。


祖母

「修ちゃん……紙が……切れたんだよ……」


「“紙切れ”……機密文書の隠語……!」


修さん

「なんで全部を国家規模の陰謀にするんですか!!」


 

ネットは勝手に盛り上がる。


・大宮ふとん店=公安本部説

・ベーカリー中村=情報部門

・クロじい=スパイ猫

・ハエトリガミ=秘密アンテナ

・麗奈のノボリ=暗号旗


修さん

「……俺、もう普通のパン屋に戻れない気がする……」


逃げても逃げても影は迫る。

角を曲がれば祖母。

少し歩けば黒帽子。

気づけばクロじいが見ている。


修さん

「(なんで……なんで俺だけ……)」


祖母

「修ちゃん、今日もパンちょうだい」


修さん

「……はい。(もう抗えない)」


黒帽子

「ふっ……やはりこの町には“何か”がある……」


いや、何もない。

全部誤解である。


しかし——


疑惑は深まった。

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