封筒が滅びた日──大宮ふとん店・紙資源サバイバル戦争
大宮ふとん店に積み上がる現金書留の山。
発送する“麗奈ちゃん枕カバー”の数も右肩上がり。
しかしその裏では、誰も気づかない致命的な問題が進行していた。
母
「……ねえ、今日の発送分って、封筒どこ?」
麗奈
「え?いつもの封筒の箱に……」
祖母
「からっぽだねぇ」
麗奈
「えぇぇぇぇ!?!?」
ついに、創業以来使い続けてきた
昭和の化石封筒(郵便番号5桁)
が在庫ゼロになったのである。
◆文房具店に駆け込む
父
「よし、近所の文房具店に頼むぞ!」
文房具店店主
「すまんねぇ大宮さん、ちょっと今品切れでね。
入荷には数日かかるよ」
麗奈
「じゃ、じゃあ通販はその間ストップ……」
父
「ストップしたら現金書留がさらに積もるぞ」
麗奈
「それは嫌!!」
意気揚々と戻ってきた父が抱えてきたのは、
なぜか無駄にバリエーション豊富な封筒の山。
麗奈
「お父さん……これ、通販用?」
父
「そうだ。使えるものは全部使うぞ」
麗奈が確認する。
■1:祝儀袋(豪華な金銀の水引つき)
麗奈
「高級すぎる!!
枕カバー入れたら結婚祝いみたいになるじゃん!」
祖母
「めでたいじゃないか」
■2:香典返し用の封筒
麗奈
「もっとダメ!!
どんな感情で開封すればいいのこの枕カバー!?」
■3:子ども向けの動物柄の封筒
母
「猫のイラスト可愛いねぇ」
クロじい
「ニャ(却下)」
■4:役所の窓口でもらう“穴あき明細封筒”
宛名部分に小窓。枕カバーの柄がチラ見えして逆に不気味。
麗奈
「これは完全にダメでしょ!!」
■5:A3書類用の大型封筒
祖母
「なんでも入るから便利だよ」
麗奈
「枕カバーが迷子になる!!」
しかし、発送は止められない。
父
「でもな……お客さんをこれ以上待たせるわけにはいかねぇ」
麗奈
(こういうところだけ、妙に真面目……)
母
「じゃあ、あるもの全部使っていくよ」
祖母
「風呂敷でも巻けるよ?」
麗奈
「いや、せめて封筒で!!」
こうして大宮ふとん店史上初の
“何でも封筒発送” が始まった。
客に届いた実例:
・水引つき祝儀袋に入った枕カバー
・香典返し封筒で届いて困惑する九州のファン
・巨大A3封筒の端っこにちんまり入っている枕カバー
・封筒の動物柄を見て「猫のおまけが入ってる?」と期待する人
その度にSNSには謎の投稿が溢れた。
「大宮ふとん店から結婚祝いが届いた」
「なんで香典返し封筒で枕カバー?」
「届いた封筒のほうがレア」
「祝儀袋版、保存用にします」
ついにタグまで生まれる。
#封筒ガチャ
麗奈
「なんで“ガチャ”扱いなの!?」
クロじい
「ニャ(まあ楽しいならいいだろ)」
麗奈
「猫に慰められる私って……!」
数日後。
文房具店から電話が来た。
店主
「大宮さん、封筒入ったよ〜!」
父
「遅ぇよ!!」
麗奈
「お父さんが一番遅いよ!!」
こうして大宮ふとん店は、
祝儀・弔事・年始・役所手続き……
あらゆる用途の封筒を武器に、
通販を乗り切ったのであった。




