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大宮ふとん店、本日もたぶん営業中  作者: スパイク


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上尾ねこ議会、開幕──観光地と猫の未来をめぐる大激論

上尾中央商栄会は、今日も静かで平和だった。

……いや、かつては静かだった。


大宮ふとん店がSNSでバズり、

誤字POP、旧字POP、「インスタバエ看板」、

麗奈の“世界一ダサいノボリ”が観光客を呼び寄せてからというもの——


休日になると、

シャッター通りが観光客で渋滞する異常事態 が続いていた。


問題が起きたのは、ついに地域猫が声を上げた時だった。


大宮ふとん店の前で日向ぼっこしていたクロじいが、

観光客に列を作られ、写真を撮られまくり、

ついにこうなった。


クロじい

「ニャアアアア(限界だわこれ)」


ミケ

「ニャ(ほんまや)」


トラ丸

「ニャニャ(今日なんて頭撫でられすぎて毛逆立っとる)」


観光客

「わー!寝心地チェック団のクロじいだ!」

「“猫が寝た布団=あたり”って本当ですか?」

「触っていいですか?」


クロじい

「ニャ(距離感〜〜っ!)」


ついに、シャッター通りの路地裏で

地域猫臨時集会(上尾ねこ議会) が開催されることになった。


議場は、商店街の裏にある空き地。

人間は誰も入れない。

なぜなら、

地域猫たちは“にゃん語議事録”しか理解できないからである。


円陣に集まった猫たちの中心で、

クロじいが尻尾をピンと立てて登壇する。


クロじい

「ニャー(議題はただひとつ…商店街オーバーツーリズム問題だ)」


ミケ

「ニャニャ(観光客多すぎ)」


白黒

「ニャ(寝る場所がない)」


三毛

「ニャッ(勝手に写真撮られるのプライバシー違反やで)」


トラ丸

「ニャーーン(それと、勝手にうちらの名前で布団売るのやめさせろ)」

※母が“猫の名前でレジ登録”事件の後遺症。


猫議員たちは真剣だった。

議会は白熱した。


クロじい

「ニャ(対策案を出せ)」


ミケ

「ニャ(猫限定エリアを作る)」


白黒

「ニャ(観光客に“猫税”を取る)」


トラ丸

「ニャ(いっそ商店街を買い取る)」


クロじい

「ニャ(言うだけタダだな)」


結局まとまらず——

「人間側に意見を届けよう」という結論に達した。


だがその役割を誰に託すか。


猫議会の全猫の視線が、ある人物に向けられる。


麗奈母である。


麗奈母は、昔から地域猫に囲まれていた為か

なぜかにゃん語が分かるという噂があった。


麗奈

「お母さん、猫の言ってること分かるの?」

「分かるというか……雰囲気で?」

麗奈

「雰囲気かい!!」


しかし猫たちは信頼していた。


クロじい

「ニャ(頼んだぞ)」

「わかったわ〜、伝えてくるねぇ」


この瞬間、

上尾中央商栄会の未来が、麗奈母の雰囲気翻訳に託された。


翌日、商栄会の店主たちが集められ、

麗奈母が猫議会の要求を伝え始めた。


「えー、まず猫たちからの意見なんだけどね……

 “猫専用ひなたぼっこエリアを作ってほしい”

 って言ってるわ〜」


商店街の八百屋

「ほー、猫にも安全地帯か」


「それと、“勝手に写真撮られるのはイヤ”だそうよ。

 “撮るなら一声かけてから”ですって」


床屋

「猫も今はコンプラ意識高ぇんだな……」


「あとね、“クロじいを勝手に商品名に登録しないでほしい”って」

麗奈

「ごめんなさい!!それは確かに!!」


「それと最後に……

 “商店街を買い取りたい”って言ってたけど、

 これは流していいらしいわ」


全員

「流していいんだ……!!」


議論は意外にも建設的に進み、

・猫専用エリア

・写真撮影OK/NGゾーン

・地域猫ウォッチングルール

などが決まり、

商店街は“猫と観光客が共存する商店街”に生まれ変わることになった。


その日の夕方。

商店街の新設“猫ひなたぼっこ区”で

クロじいがご満悦に寝そべっていた。


クロじい

「ニャ〜(平和っていいな)」


ミケ

「ニャ(観光客、距離守るようになったわ)」


トラ丸

「ニャニャ(ひなたぼっこエリア最高)」


麗奈

「お母さんのおかげで猫たちご機嫌だね」

「猫の気持ちはねえ……伝えようとすれば伝わるのよ〜」


「猫が商店街を動かす時代が来たな」


こうして、

上尾中央商栄会は日本初の

猫主導型シャッター通り復活プロジェクト として

全国の“猫好き観光客”の聖地となった。


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