大宮ふとん店再び大パニック──反逆のPOS 第二波襲来
大宮ふとん店に、
再びあの恐怖がやってきた。
税務調査の際、税務署員が涙を流しながら言った。
「……お願いです。POS入れてください……」
大宮一家は素直に頷いた。
(※普段は全く素直じゃないのに、こういう時だけ素直)
こうして先日に導入したものの、
30分で使用を断念したPOSシステム が
再び店内に降臨したのである。
POS端末が置かれた瞬間、
店内は緊張に包まれた。
麗奈
「今回はちゃんと使おうね、おばあちゃん」
祖母
「任せなさい。わしの指の動きをなめるなよ」
その気合いは認める。
だが問題は“方向性”だった。
祖母、慎重にボタンへ指を伸ばし——
ピッ ピッ ピッ ピッ(全部違うボタン)
麗奈
「おばあちゃん!? なんで“返品”“値引き”“部門9”“開局”を!?」
祖母
「近くにあったから押したんだよ」
麗奈
「押しやすさで判断しないでぇぇぇ!」
画面には
「エラー:理由不明」
とだけ表示されている。
理由、不明。
POSも困っている。
続いて父が登場。
父
「ふん。機械なんてよぉ、慣れればすぐよ」
そう言って、POSの上に
競輪新聞をビタァァァ!
と広げた。
麗奈
「なんで!? なんでPOSの上に新聞広げるの!?」
父
「だって今日の9レースがよ……」
麗奈
「今それ関係ないから!!」
まるで呪文のように新聞を広げたため、
POSの光学センサーが反応しなくなる。
POS
ピッ……ガガガ……(完全に沈黙)
麗奈
「反応しない……! お父さんの競輪が……POSを殺した……!」
父
「POSは鉄火場に耐えられん」
母は母で、使い方を“楽しんでしまった”。
母
「これ、登録する時に名前入れられるのねぇ」
麗奈
「うん、商品名を……ね?」
母
「登録完了〜」
麗奈
「……なんて入れたの?」
母
「“クロじいふとん”」
麗奈
「猫の名前ぇぇぇぇ!!」
さらに母は調子に乗り、
・“ミケセット”
・“トラ丸の枕”
・“しっぽクッション”
など、
全商品を猫の名前で登録 してしまった。
POS画面
「クロじい ¥14,500」
「ミケ ¥8,800」
麗奈
「これもう何売ってるか誰にも分からない!
クロじいを14,500円で売る店なの!?」
猫本人であるクロじいは、
布団の上でゴロゴロしながら
「ニャ(ワシはそんなに安くない…)」
と鳴いた。
麗奈は一番まともに使えるはずだった。
だが祖母の誤操作、
父の競輪、
母の猫会計が積み重なり、
POS画面は阿鼻叫喚。
「返品処理→返品処理→返品処理(無限ループ)」
麗奈
「なんで!? なんで返品処理しか受け付けないの!?」
POS
ピッ……(諦めた音)
もうPOSも心折れていた。
店内は人間も猫もPOSも混乱。
祖母
「わしのそろばんのほうが早いねえ」
父
「やっぱ電卓だな」
母
「暗算でいけるわよ〜」
麗奈
「全員……結局それなの……?」
結論:
POS第二波、導入失敗。
その日の夕方。
POSは静かに倉庫へ運ばれた。
祖母はそろばんをポンポンッと鳴らし、
母は暗算し、
父は押し間違いだらけの電卓を叩きながら、
店はいつもの速度に戻った。
麗奈
「……なんか、このほうが落ち着く……」
POSのモニタは、最後にこう映しているようだった。
『大宮ふとん店システム:使用環境に適していません』
麗奈
「うん。知ってた」
こうして今日も、
大宮ふとん店は
アナログ全開で、マイペースに營業中である。




