表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大宮ふとん店、本日もたぶん営業中  作者: スパイク


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/110

いんすたバエと布團の乱──ふとん戦線異常あり

ほぼシャッター通りと化した上尾中央商栄会の片隅で、

ひっそりと、しかし妙に元気な声が上がっている。


大宮ふとん店だ。


店先には麗奈の父が作った、

「戦隊ヒロイン大宮麗奈の店」のノボリ がはためき、

その隣には祖母が張り出した例の名物。


「いんすたバエ」看板。


ハエ取り紙の横にでかでかと描かれた文字は、

今日も全国から笑いを引き寄せている。



観光客が増えたことで、

店内のPOPにも注目が集まるようになった。


しかし、そのPOPが問題だった。


いや、問題ではない。

店の味である。


たとえば——


●『あたゝかい 布團』


麗奈「おばあちゃん、“團”て……」

祖母「昔はこうだったんだよ。あったかい感じが増すだろ」

客「なんか歴史ある……!」


●『すゝめ やはらか まくら』


麗奈「“すすめ”が時代をまたいでる!」

祖母「若いころはこう書いたんだよ」

母「すゝめって可愛いのよねぇ」

客「写真撮っていいですか!?」


●『ふかふた ふとん』


祖母「“か”と“た”が仲良くしすぎたねぇ」

客「ふかふた……新しい響き……」

麗奈「もはや概念……」


●『せんたく けます』


麗奈「“で”! “で”がいない!」

祖母「猫が手をぶつけたんだよ」

クロじい「ニャ(多分私です)」


●『本日 營業中』


父「戦前の名残みたいだな」

麗奈「字の格が強いのよ!」

祖母「氣合が入るだろ」


若者がPOPを撮影し、

“#インスタバエの後ろに布團がある店”

と投稿した瞬間、世界は変わった。


コメント欄は大騒ぎ。


「布團て書く店、初めて見た」

「旧仮名遣いの“すゝめ”が尊い」

「ふかふた……癒し」

「なんで営が“營”なのか説明して」

「大宮ふとん店の祖母、文豪説」


そして、今日も新しいPOPが貼られた。


『新入荷 ふとん 出來ました』


麗奈「“出来”が“出來”……また旧字に戻った!!」

祖母「こっちのほうが書きやすいからね」

母「趣があるわねぇ」

父「まぁ、店の格が上がる」

麗奈「格いらないってばぁぁぁ!」


しかし客は拍手。


「逆にこれを求めて来てる」


祖母のゆるい誤字、

旧仮名遣い、

旧字、

脱字、

そして麗奈のダサノボリとインスタバエ——


全部合わせて、

大宮ふとん店の味 なのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ