“まぁまぁ”って何!? 大宮ふとん店・混沌ポップ大全
大宮ふとん店には、専門店の常識を軽やかに打ち破る“名物”がある。
それが、店内に点在する雑すぎる手書きポップだ。
まず目に飛び込んでくるのが、祖母の堂々たる筆致で書かれた大判ポップ。
《ふつうの布団》
控えめに言って情報ゼロである。
隣にはもっと雑なやつがある。
《まぁまぁ》
客が思わずつぶやく。
「何が? 何を基準に?」
しかし、さらに上を行く伝説級の雑ポップがある。
■祖母の感情が書かれているポップ
・《わりと良いよ》
→主観でしかない。
・《誰か買って》
→悲痛な布団のSOS。
・《ちょっと重い》
→情報としては正しいが、雑。
・《猫が寝たので当たり》
→推奨の基準が猫。
■恐怖の“誤字ワールド”
祖母は字は味わい深いが、とにかく誤字が多い。
冬場の人気商品・ゆたんぽの棚には、こんなポップが貼られた。
《ゆたぼんあり〼》
買い物に来た若夫婦が固まった。
「え、なんで急に反骨の気配…?」
「ここ、ふとん屋だよね? たたかう少年いないよね?」
さらに店の奥にはこんな衝撃作。
《羽毛ぶとん ふわふわ(当社ひかく)》
※「比較」がなぜか「ひかく」
客「比較じゃなくてヒカクさん?」
祖母「人名じゃないよ」
■カオスは続く
・《たぶん新品》
→“たぶん”が恐ろしい。
・《夏用?かも》
→疑問符の乱用。
・《洗える(はず)》
→もはや賭け。
・《令和の品》 → 実際は平成初期
→母「令和に貼ったから令和の品」
客「概念すぎる」
■なぜか人気が出る
巡礼に来た戦隊ヒロインファンたちは
この雑ポップを写真に撮ってSNSへ投稿する。
《#大宮ふとん店 #雑ポップ聖地 #誤字ハンター》
大宮ふとん店の雑さは、もはや芸術の域に達していた。
麗奈は顔を覆って叫ぶ。
「だから来なくていいって言ってるでしょ~~!!」
しかし父母祖母は誤字を直す気ゼロ。
祖母
「間違えるのも味よ」
父
「競輪予想のほうが忙しい」
母
「猫が読めれば大丈夫」
こうして今日も大宮ふとん店では、
布団よりポップのほうが注目を集める日々が続いていく。




