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大宮ふとん店、本日もたぶん営業中  作者: スパイク


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17/50

ここにふとん店あり、抱き枕あり

インスタバエ騒動から始まった大宮ふとん店の狂乱ブームは、

ついに危険水域へ突入していた。


SNSでは

「上尾の聖地」

「日本一ゆるい映えスポット」

などと投稿され、休日は遠征組まで来る始末。


店先では祖母がせっせとハエ取り紙を交換し、

母は地域猫に餌をやりながら「今日も繁盛ねえ」と他人事。

父だけはなぜか鼻息が荒く、

大宮ふとん店の歴史で初めて“やる気”を見せていた。


その“やる気”の方向が、例によっておかしい。


◆父、禁断の“麗奈抱き枕”を作る


ある日、帰宅した麗奈は衝撃の光景を見る。


店内の一角に、ど派手なポップが貼られていた。


『新商品!戦隊ヒロイン大宮麗奈 等身大抱き枕 5,000円』

『麗奈ちゃん枕カバー 1,000円』


写真は、麗奈の戦隊ヒロイン制服姿。

ポーズも可愛い。

明らかに父が勝手に撮影したステージ写真をデフォルメしたもの。


麗奈「……ちょっと待って。

 いや、待て待て待て待て!!!!!」


父、腕を組みドヤ顔。


「いやぁ〜売れると思ってさぁ〜。

 ほら、うちの店、今ノッてるじゃん?」


祖母「ちょうど抱き枕に良い生地があってねえ」

母「試作品の手触りがよくて、私もほしいくらい」


麗奈「アンタたち、なんで家族総出で犯罪みたいなことするの!?

 許可、取ったの!?

 私の!?

 せめて私の許可!!」


父は“してやったり”の表情のまま。


「大丈夫大丈夫、親子だからノー問題。

 ほら、波田司令長官にも送っといた!」


麗奈「送ったの!?」


◆波田司令長官&遥広報官、まさかの大絶賛


その後、戦隊ヒロインプロジェクト本部で電話会議。


遥広報官「麗奈ちゃん、あの抱き枕……可愛いねえ〜」

波田司令長官「いやぁ、よくできてるじゃねぇか。

 ……許可? そんなもん後から考えるもんだよ」


麗奈「後からじゃなくて先に考えて!?!?」


司令長官「まぁ作っちまったモンはしゃーねぇ。」


遥広報官「枕カバーは子どもたち喜びそうだし……

 可愛いから良いと思いますよ、ふふっ」


麗奈「味方がいない!!」


◆飛ぶように売れる“等身大麗奈”


抱き枕は店頭に並んだ瞬間から爆売れ。

常連のおばちゃんが二つ抱えてレジ(そろばん)へ、

ファンの男性が三つ持って列に並び、

祖母が「孫の写真だよ〜」と得意気に包む。


そして──


抱き枕、発売初日で完売。


父「いやー予想以上だな! 第二ロット作るか?」


麗奈「絶対やめろ!!!!!」


結局、抱き枕は麗奈の猛抗議により“初回限定1ロットのみ”。

おかげで後日、オークションサイトで高値がつき、

レアグッズ化した。


◆唯一残った“枕カバー”


抱き枕は禁止されたが、枕カバーは残った。

子どもたちが嬉々として買っていき、

SNSでは


「娘の枕が麗奈ちゃんになりました!」

「息子が麗奈枕で毎晩寝てます!」


など投稿が増加。


麗奈(頭を抱えながら)

「もう……どうにでもなれ……」


◆エピローグ


大宮ふとん店、謎の黄金期へ


こうして大宮ふとん店は、

杜撰営業ながらも過去最高益を更新し、

在庫は空っぽ、店は行列、

SNSは「#上尾のふとん店」がトレンド入り。


麗奈はステージで今日も叫ぶ。


「大宮ふとん店、来なくていいからーー!!!」


観客「オーーー!!!!」


麗奈「……来なくていいのに……

 本当に来ちゃってるじゃん……!」


こうして、麗奈と大宮ふとん店の伝説は

今日も更新され続けるのであった。

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