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第七話

今日はレイラと実験をすることに決めた。それは昨日の恐怖から学んだことだ。自衛手段を持たなければいつ何時、理不尽に殺されてもおかしくない。リードはそう確信した。

ここは日本ではないし元の世界でもない。あの世界にはあった法律、それを守る施設、倫理が限りなく揃えられていた。だがこの世界はどうか?もちろんこの世界だってあるだろうが、比べるまでもなくまだ発展しきれていない。


 やっぱり魔物や魔法が発展を遅らせている?でもそれだけ魔法は発展しているということ?あー、でもこの世界がどれだけ続いてることも重要だな。この世界の進み具合が気になるな、、、


 やはりこの手の考察はキリがない。疑問を浮かべ解消するために他の疑問を解消しなければならない。なんとも途方もない作業だ。異世界なのであり得ないパターンだってあるかもしれない。しかし辞めるわけにもいかない。これはリードの命に関わる出来事なのだ。


 思考を止めたら負け。あの世界みたいにボーッと生きていたら遅かれ早かれ確実に死ぬ。


 リードは日頃から自分にそう言い聞かせている。


 まぁとりあえずレイラと実験だ。魔法は危ないから、やらないとして一歩手前の所を行こう。


 リードがしようとしていることはひとまず魔力の感知をすることだ。シスターから少し聞いた話では魔力が魔法の要とのこと。魔法を使うものにとって生命線ということになる。


 なるほど、、やらない手はないな。


 命に関わる話なのだ。どれだけ無駄なことでも自分の最大限、やれることはやる。理解を深めておくことに越したことはない。


 と言っても魔力をみる、、、難しい話だな。どことなく感じ取れてはいるんだよなぁ。魔力を体の中で急速に回すとかはどうだろう、、うーんなんか怖いな。


 レイラがピクリとも動かず深く思考しているリードを不思議そうに見つめている。

あまりに集中しているようでチョンチョンと肩を叩いても頬をつついても反応がない。


 「リード~、リード~」


 構ってほしいのか、リードの名前を連呼している。さすがのリードもハッと気づいたのか


 「なーに?レイラ」


 と返して、ほったらかしにしていたことに多少の罪悪感を感じながらも誤魔化した。


 「大丈夫?」


 「うん、大丈夫だよ。ねぇレイラ」


 「なーに?」


 「レイラは魔力とか感じる?」


 「うーん、、」


 レイラは必死に魔力を感じようとしているのか、目を瞑りむむむ、、と唸り声を上げている。


 癒されるな、、これだけで魔法の実験をしてよかった。

 

 「わからない、、」


 少し悲しそうにしているけど当たり前だからね?気にする方がおかしい。僕らまだ4歳弱だよ?遊びでいいんだよ。って言っても純粋だしなぁ。なんて言ったらいいんだろうか、、あ、弟に使ってた技を思いだした。


 「え!なんかあそこに光ってる虫いた!!」


 話題逸らしである。リードはこれを弟に使い何度も危機を乗り越えてきたのだ。レイラは見事にリードの術中に嵌った。


 「どこどこ?」


 「ん?あれー?どこいったんだろ?」


 今日はこのくらいで実験は終わりにしよう。魔法の次は剣とかか?

 

また魔力の話に戻っても敵わないので別の話に移ることにした。レイラが虫を探している間に適当な棒を2本見繕い、レイラに渡す。そしてリードは棒を使い木に向かって振るう。


 「どう?剣!!」


 もう1本をレイラに渡すともう虫はいいようで喜んでもらってくれた。


 「わぁ!ありがとう!」


 そんな純粋な返答にまたもリードの良心は抉り抜かれる。

 レイラはそう言い、僕と同じように木に棒を振るう。


 ん?


 リードはそんな疑問を抱き、また自分で棒を振るう。それに続きレイラも振るう。


 なんか綺麗だな。


 リードはレイラの振るう棒を交換することにした。


 「レイラ、棒を交換しない?」


 「いいよ!はい!」


 快く交換してくれた棒を同じように振るう。


 ん?棒のせいじゃない、、?


 そこでレイラが振るうのをみてみる。


 やっぱり何か綺麗なんだよな、、初めて体育の時間で剣道部の人の打ち込みを見てすごいってなった感じなんだよな。


 リードは自分とレイラのあまりの差に戸惑いを隠しきれていなかった。レイラは楽しそうに振っているが、途中で中断してリードに話しかける。


 「どうしたの?遊ぼ?」


 リードはハッとしたように慌てて


 「そうだね!次は・・・」


そう言いつつもレイラを騙した時に感じた罪悪感とは別のチクリと刺された何かに、違和感を感じていた。

 

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