第三話
転生してから一週間程経った頃だろうか。だいぶ慣れてきた。まぁそれもここの一部屋限定というだけだが。
ここから出たい、、
最近はそのことばかり考えている。外を確認したくてしょうがないのだ。シスターに懸命にジェスチャーをしても遊んでいるようにしか見えないよな、と思いため息をついてしまう。
ただなんとか補助を使ってだが立てるようになってはいるし、ハイハイもできる。そろそろ解放してくれてもいいじゃないか
そんなことを考えていると、シスターがやってきて
「今日はお外に出てみよっか~!いい天気ですし!!」
おお!待ちに待った外だ。どうなっているんだろうか。やはり異世界ならではの世界だろうか。
そんな期待を持ち、レイラと一緒にシスターに抱き抱えられながら外へ出るリードは外の景色を見た瞬間思わず息を飲んだ。
外は田舎と変わらぬ山々が連なっているが、ただ何かが違うのだ。雰囲気、、いや何かが充満しているようで心地がいい。
おおぉ、、ほんとにまったくちがうじゃないか!!元いた世界ではないことは確実だな、、
想定はしていた。ただ百聞は一見に如かずならぬ、百考は一見に如かずだろうか。やはり気分が上がってしまう。この一時は死んで転生したことも、家族のことも、これからのことも全部忘れてワクワクだけがリードの心を満たしていた。
現代よりは発展はしていないな。車があるわけではないし、、馬車かな?
うん、後から考えよう。
さすがにたくさんの情報が頭に入り込みすぎて諦めから出た思考により一先ずシャットアウトした。いや、それよりも1番気になることがあった。
これはなんなんだ?この体の中にある充足感みたいなものは?部屋にいる時も微かではあったが感じていたけど、、外にでたら一層感じるんだな。他の人は何か、、、
そう考えチラリとシスターをみるが特に感じでいるはずもなく呑気に
「すごいねぇ~!」
などと言っている始末。
そうだレイラは!レイラなら僕と同じ境遇だし赤ちゃんとはいえ何か変化があるんじゃないか??
シスターの次にレイラの方を見てみるがこちらも楽しそうにしているだけ、、
んん??僕がおかしいのか?いや、さすがにそんなことはないよな、、元の世界とこの世界に相違が?だから僕だけが気づける違和感とかって感じか?
そんな考察を頭の中で延々と繰り返しているとシスターがゆっくりとリードとレイラを降ろして言う。
「じゃあ遊びましょうね~、2人は仲良いんだからもうっ!」
なんかこのシスター結構アホか?と思いつつ、ニコニコしているので怒る気も失せる。それに他の子供はいないのかと探してみるが見当たらない。
どこかに出かけてる?普通、赤ちゃんがいたら気になるものじゃないか?僕に妹や弟ができた時なんてずっと気になってしょうがなかったものだ。
そんな思いに耽っていると、レイラがこちらをじっと見てくる。んん?とこちらも何があったのかと見つめ返すと、ニコニコと満面の笑みでレイラは返すものだから思わず笑ってしまう。
そんなリードの心境も知らずただただ、2人の微笑ましい様子を見てシスターはまたニコニコと眺め続けているのだった。