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7話(漆黒のリフレイン)

   7話(漆黒のリフレイン)



           1

 レイバー州/王都レイバー


 ―早朝、ナギト宅。

 「……う、ううぅぅー……あ、朝……? い、痛ぇ⁉ あっ、頭、痛ぇ⁉ くううぅぅー……これはさ、完全に二日酔いだなぁ……。いや、三日酔いって言った方が正しいかな? エマール達に、超悪ぃことしちまったなぁー……。とりあえず、状況をさ、聞いておくか……?」

 どうやら、ナギト、丸一日、寝込んでいたようだ……。


 ……そして。

 ドドドドドド……!

「うん、何だよ⁉ こんな、朝早くからさ⁉」

 ドドドドドド……!

「う、うるせぇな! わ、分かったよ! 出ればいいんだろ⁉」


 ―(ウイーン)[扉の開く音(ロックを解除)]。

「は、はい⁉ どちら様っすか⁉」

 「こんな、早朝にね、申し訳ない。僕たちはね、王国軍の者だ」

 「はあっ⁉ 王国軍……⁉ な、何か、事件でもあったんすか⁉」

 「ああ、とても残忍な事件だよ。昨夜はね、ホントにね、大変だったよ」

 「ああぁぁー……そうなんすね。お疲れさまっす」

 「ごほんっ! さあ、小芝居はね、そろそろ、終わりにしてもらって……」

 「はいっ⁉」

 「隊長殿、お願いします!」

 ⦅うん、そうだね。入念に確認をしないとね⦆

 「ええ……⁉」

 「お初にお目にかかるよ。僕はね、王都レイバーを拠点としている、レギスター・ウラゲリーと言う。本日はね、あなたにね、逮捕状が出ているので、参らせていただいた次第だよ」

 「はあっ⁉ た、逮捕状……俺に……すか⁉ いや、ちょっと待ってくれよ! 何かの間違いでしょ⁉」

 「まあ、無理もないよね。すごく不測の事態だからね」

 「でしょ⁉」

 「うん、トリックの準備が完了していないみたいだからね」

 「あ、あのさ、先ほどから、何を言ってるんすか⁉ これだと、まるで俺が……」

 「いい加減、自覚しなさい。あなたにね、逮捕状が発行されているんだよ」

 「だから、俺がさ、何をしたって言うんだよ⁉」

 「もういい! 時間がないので、後はね、要塞の方でね、伺うことにしよう」

 「はああぁぁー……(固)」

 「ナギト・バロドン! カーメリアおよびウェールノ連続放火事件、アイラ門魔獣強襲事件、カルノ・テキーラ殺人事件の容疑で、貴殿を逮捕する!」

 「はあっ⁉ 放火、強襲、殺人……一体さ、何のことだよ⁉」

 「はああぁぁー……いずれも、昨夜に起きていることだよ。記憶喪失なんて、ありえないでしょ⁉」

 「い、いや、俺はさ、一日中、寝込んでたんだよ! ずっと、自宅にさ、いたんだよ!」

 「ほおぉー……そうかい? ちなみに、それを証明できる方はね、いるのかな?」

 「だから、寝込んでたのに、どうやって、証明するんだよ! 俺の証言にさ、噓偽りはねぇよ!」

 「やれやれ、話にならないな。君たち、彼をね、連行するんだ」

 「「承知しました」」

 レギスター隊長、ナギトに手錠をかけ……のち、兵士二名によって、連行されていく……。

 「ちょっと待てよ! こんなのさ、何かの間違いだよ! 俺がさ、何をやったってんだよ!」

 『ふううぅぅー……。ホント、すごく残念だよ。まさか、天命騎士さんをね、逮捕することになるなんてね……』

 レギスター隊長、悲痛な表情を浮かべながら、すごく重々しく呟【つぶや】く……。



           2

 そして、大急ぎで王都に戻り、ギルドに駆け込む、レーヴォン達一同……。

 「サキナさん……改めてね、お聞きするわ。これはね、ホントのことなのかしら?」

 「何かの手違いなんじゃないの⁉」

 「いえ、今朝ね、彼の家から、遺体が発見されたの。焼死体としてね」

 「そ、そんな……。で、でもね、昨日ね、僕たち、交代でね、ナギトさんに体調の確認のため、すごく周期的にね、連絡をとっていたんですよ!」

 「うん、そうだよ! 大体、体調不良の彼にね、あれほどのこと計画がね、できる訳がないでしょう!」

 「ええ、もちろん、私だってね、あなた達のことも、そして、彼のことも、すごく信頼しているの。そんなことはね、日ごろの行いを見ていればね、すごく造作もないことだよ」

 「だったら、どうして⁉」

 「でもね、証拠がない以上はね、私も、どうすることができないの」

 「大体ね、証拠がないのはね、逆も然【しか】りでしょう? 彼をね、外で見た人だって、いないですよね?」


 ⦅いや、証拠ならさ、あるじゃない?⦆

 「「「⁉」」」


 バンクスホームのバンクスとサエッタがやって来た……。


 「昨夜ね、彼……駆けつけていたじゃない?」

 「…………(険)」

 「あのね、ナギトのことをね、信頼できないの。すごく長い付き合いじゃない?」

 「だったら、殺人をしても、構わないの⁉」

 「いえ、そんなこと、誰もね、言っていないでしょ⁉ ねぇ、エマールからもね、何とか言ってよ!」

 「…………(険)」

 「エ、エマール……」

 「エマールさん……」

 「どうやら、決まりみたいだね」

 「バ、バンクスさん⁉ 本気【ほんき】でね、おっしゃっているのですか⁉ 大体、あの時の彼はね、にせも……」

 「レーヴォン君⁉」

 『エ、エマールさん……どうして……⁉』

 『残念だけれど、証拠としてはね、すごく微細よ』

 『うぅー……』

 「いい加減にしてよ! 私たちの事情も知らないで、好き勝手にね、言わないで!」

 と、吠えるように訴えるマリカ!

 「それはね、私たちのセリフだよ! それがね、人殺しのホームの言うセリフなの。加害者の分際でね、すごく偉そうじゃない⁉ とても被害者のあったホームに言える、発言とは思えないよね」

 「ナギトがやったって、確固たる証拠はね、あるの」

 「あのね、マリカちゃん……証拠があるから、連行されたんでしょ。今さら、聞くまでもないでしょ」

 「サエッタちゃん……」

 「すごく見損なったよ。連係プレイだって、すごく完璧でね、すごく楽しみだったのに……」

 「…………うぅ…………」

 とても憤【いきどお】っている様子のマリカ……。

 「それだけじゃないよ。放火という、一歩、事態が悪化すれば、被害者がね、出ていたかもしれない……それに加えて、魔獣と結託しているとも、判断することができた……正直ね、看過できないよ」

 「おそらく、エマールさん達だって、同じでしょ⁉ さすがにね、庇えきれないでしょ⁉」

 「ええ、バンクスさんのおっしゃっている通りでございますわね」

 「エ、エマール、ウソでしょ⁉ ナギトのこと、切り捨てるの⁉」

 「辞さないでしょうね」

 「ひ、ひどいよ! すごくひどいよ!」

 マリカ、この場から、立ち去っていく……!

 「マ、マリカさん⁉」

 「レーヴォン君⁉ 放っておきなさい!」

 「で、でも……」

 「うん、エマールさん達も、すごく気の毒だね。裏切り者がね、現れたのだからね」

 「私だって、こんな言い方はね、したくないけど、少なくとも、彼とはね、仕事はできないから。メメルホームからも、すごく厳しい処分を下してよね」

 「ええ、分かっているわ」

 「それじゃあ、僕たちはね、これでね、失礼するよ」

 「王都ギルドのレッテルに……傷をつけないでよね」


 バンクスホームの二人、この場を立ち去る……。


 「……。エマールさん⁉」

 「分かっているわ。ひとまず、ホームに戻るまで、口を閉ざしなさい」

 「……は、はい………(悲)」

 「サキナさん⁉ どのような、処罰もね、受けるわ。これはね、私【わたし】の監督不行き届きよ。レーヴォン君とマリカのことはね、守ってあげて」

 「⁉ エマールさん⁉」

 「……そうだね。エマールさんがね、そのようにおっしゃるのなら……」

 「サキナさん⁉ ウソですよね⁉ ヤダ、そんなのヤダ……!」

 「ひとまず、メメルホームのレイバー州での活動をね、しばらく停止することにします!」

 「ええ、了解したわ」

 「あ、あれ……⁉ すごく寛大な処置……」


 メメルホームから、犯罪者が判明するという衝撃的な結末……。

 レーヴォンとエマールは、すごく呆然とした様子をして、しばらく、その場から、動くことができなかった……。

 ―そして、メメルホームに戻り……。



           3

 ギルド/六階メメルホーム

 「ねぇ、エマールさん⁉ これから、どうするおつもりですか?」

 「レーヴォン君⁉ あなたはね、何も、気に病む必要はね、ないのよ。おそらく、ナギトがね、自宅で寝込んでいたとうのはね、ホントのことでしょう。自宅なのですから、恰好の標的には、すごく最適でしょうね」

 「ええ、エマールさん⁉ それじゃあ、やっぱり、ナギトさんは……」

 「ええ、おそらく、シロでしょうね」

 「つまり、あれですか⁉ ナギトさんはね、濡れ衣を着せられたということですか⁉」

 「そうね。そのように、解釈をしてもらってね、構わないわよ」


 ⦅それって、ホントなの⁉⦆

 「「⁉」」


 ―(ウイーン)[扉の開く音]。


 「マ、マリカさん⁉」

 「ねぇねぇ、エマール⁉ それはね、ホントのことなの⁉」

 「ええ、少なくとも、私【わたし】はね、そのように、捉【とら】えているわよ」

 「だったら……どうして、さっきね、言ってくれないの?」

 「言える訳ないでしょ⁉ マリカ、時と場所をね、考えなさい! あなたの気持ちはね、すごく分かるのだけれど、あの取り乱し方はね、あまり感心しないわね」

 「だ、だって……」

 「まあ、反省をしているのでしたら、私【わたし】からはね、何も言うことはね、ないわ」

 「エマール……。レーヴォン君、ごめんね。すごくみっともないところを見せちゃったよね」

 「いいえ、気にしないでください。ナギトさんとね、僕より、すごく付き合いが長いのですから、致し方ないと思いますよ」

 「レーヴォン君……ありがとね」

 ……。

 「ねぇ、エマール⁉ やっぱり、何者かの仕業によって、ナギトはね、嵌められたと解釈していいんだよね?」

 「ええ、そうよ。変装して、姿を晒【さら】したのも、目撃証言が目的でしょうね」

 「でもね、現状だと、私たちにできることはね、何もないよ」

 「そうですね。活動停止状態ですしね」

 「ええ、少なくとも、証言ができて、罪が晴れるまではね……」

 「手がかり……ないんですよね?」

 「いえ、まだ、諦めるのはね、すごく時期早々よ」

 「「ええっ⁉」」

 「ホントですか⁉」

 「…………(呑)」

 「あのね、焼死体についてなのだけれど、私【わたし】たちはね、ナギトと連絡をとっていたわよね?」

 「うん、そうだね」

 「何かね、おかしな点でもありましたか?」

 「ええ、あるのよ。仮に、変装していた黒幕がね、ナギトだったとする……よく考えてごらんなさい。その時、ナギトはね、カーメリアにいたということになるでしょう」

 「ああっ⁉ そういうことだね! 少なくとも、その時間帯にはね、王都にはいなかった……ということになるね!」

 「ええ、焼死体の経過から、殺されたのはね、昨夜から今朝の時間帯だと想定をされているわ」

 「うん、少なくとも、アリバイとしては、すごく説得力があるよね」

 「そして、もうひとつの可能性について、仮にナギトがね、カルノ君を殺害したとする……それですと、カーメリアに駆けつけるのはね、不可能なのよ」

 「うん、その通りだね」

 「うん、今度はね、カーメリア不在のアリバイが成立する訳ですね」

 「そして、何より、今回の計画には、すごく用意周到な段取りがあるように思えてね、私【わたし】はならないのよ」

 「そ、そうだね。ナギトがいたら、実行できなかったことだもんね」

 「その理屈ですと、すごく前から、計画がなされていたということになりますよ!」

 「ええ、そういうことなのよ」

 「だったら、王国軍の方々はね、捜査不足だってことじゃない⁉」

 「はい、僕も、そう思います」

 「おそらく、これも、計画の範疇【はんちゅう】なのでしょうね」

 「「ええっ⁉」」

 「どういうことなの⁉」

 「にわかにね、信じ難いですが……」

 「ご承知のように、来月にはね、王国生誕祭がね、控えているわ。無論、王国軍の大半はね、そちらに割かれているでしょう。そう、ギルドと軍の連携がね、すごく手薄になるのよ。捜査だって、すごく抽象的になるでしょうね」

 「確かに、すごく信憑性【しんぴょうせい】が高そうですね」

 「でもね、だったら、誰が……そんなこと⁉」

 「そうね。ひとまず、サキナさんにね、ご相談しましょう」



           4

 ギルド/一階エントランス

 「なるほどね……すごく辻褄【つじつま】が合うよね」

 「はい、そういうことなので、ここ数日の調査をね、お願いできないかしら?」

 「そうだね。私も、すごく不可解な事件だとはね、思っていたから、これはね、再調査をした方がよさそうだね」

 「サキナさん……お願い、ナギトはね、無実だよ。それだけはね、紛れもない事実なの。だから……」


 ⦅ちょっと、聞き捨てならないよ⦆

 「「「「⁉」」」」


 サエッタが、ものすごい剣幕でやって来た……。

 「サエッタちゃん……(睨)」

 「マリカちゃん⁉ それはね、ありえないんじゃない⁉ どうして、そこまで、庇うの?」

 「そんなの決まってるじゃない⁉ 私たちのね、すごく大切な仲間だからだよ」

 「マリカさん……」

 「うふふっ」

 「なるほどね……だったら、メメルホーム揃って、犯罪者だね」

 「サエッタちゃん……すごく卑怯者だね」

 「何ですって……⁉ ……そうだね。私はね、訴えることにするよ。不当な思いをしたとね」

 「クッ⁉」

 「すごく狂ってるよ……」

 「……(怒)。あのね、サエッタさん、いいかげ……」


 ⦅やれやれ、仲間同士でね、内輪揉めかい⁉ それは、すごく穏やかじゃないよね?⦆

 「「「「「⁉」」」」」

「やっほー⁉ メメルホームの諸君、それに、バンクスホームのサエッタさん……すごく久しぶりだね」

 「イ、イヴェータ(男性)さん⁉ どうして、あなたがね、こちらにいらっしゃいますの⁉ 確か、ダウルーの方にね、お伺いをしていたのではなくて」

 「うん、サキナさんに、頼まれてね、至急ね、戻ってきたの」

 「あら、そうでしたのね」

 「どうやら、この上ないタイミングみたいだね」

 「「「「「ええっ⁉」」」」」



           5

「あのね、ナギトさんがね、連行されたと聞いたんだけど、それはね、ホントなのかな?」

 「うん、ホントだよ。私たちの言い分も、聞き入れてくれなくてさ、すごく一方的にね!」

 「サエッタちゃん……いい加減にしなよ。どこまで、私をさ、失望させるの!」

 「……(怒)。被害者面はね、もうやめようよ……。それはね、悪魔の得意技だよ」

 「何ですって……(怒)」

 「ごほん! あのさ、さっきも言ったけどさ、内輪揉めはね、俺の話を聞いてからにしてくれない?」

 「イヴェータさん……確証を得ていますのね」

 「うん、そうだね。おそらく、これはね、冤罪だね」

 「ホ、ホント⁉」

 「やりましたね、マリカさん……すごく朗報ですね」

 「ほおーう……冤罪……ね。聞かせてもらおうじゃない?」

 「…………(目を閉じる)。あのね、まずはね、温泉郷からの依頼についてだけど、サキナさんにね、過去の帳簿をね、調査してもらった結果、依頼発行日がね、新人入所日の前日だということがね、判明したの」

 「「「「ええっ⁉」」」」

 「サキナさん、それはね、ホントなのかしら⁉」

 「うん、ギルドの帳簿はね、すごく正確なんだよ。一部の関係者のみにしか、公開できないしね」

 「それだけじゃない。依頼発行日の二日前に、カルノ君がね、温泉郷を訪れていたことがね、地元民の証言によって、判明しているの」

 「へえぇー……そうなんだ……」

 と、ニヤリとするマリカ……。

 「…………」

 と、表情が硬直するサエッタ……。

 「おそらく、今回の事件はね、すごく緻密に計画されていた可能性が濃厚だと、俺個人としてはね、想定しているよ」

 「はい、ギルドの依頼発行日……視察と捉えることもできる温泉郷の観光……後押しするように、軍とギルドの分散タイミング……すごく恐ろしいほどに、タイミングが良すぎます。少なくとも、僕はね、そのように推測します!」

 「レーヴォン君⁉ それだけではないわよ。覚えているかしら? 彼の取った……すごく不可解な行動……」

 「ええ、すごく不可解な行動……?」

 「……そうだね。言われてみれば、すごく無理があるよね」

 「ええ、マリカさん……何ですか⁉」

 「あのね、部屋を間違えたでしょ」

 「ああ、そういえば、そうでしたね。確か、遅刻をしたから、でしたよね?」

 「うん、そうだね。少なくとも、遅刻をしたくらいで、部屋を間違える訳がないんだよね?」

 「……あまり、深くはね、考えていなかったことですね……」

 「部屋を間違えることはあっても、階層をね、間違えるなんて、普通はね、すごく不自然なのよ。私たちのホームはね、六階……対して、バンクスホームはね、二階だよ。階段でだって、移動できる距離だよ。遅刻の悪化を招くような行為、極めて、不自然だね」

 「確かに、すごく不可解なことが多いですよね?」

 「どうやら、真実がね、すごく鮮明になってきたみたいだね」

 「ええ、すごく光明がね、照らされていますわ」

 「おそらく、部屋を訪れたのは、異変に気がついていないのかを確認するためだろうね。それに加えて、新人歓迎会の合同に繋げることも見越してね……」

 「なるほど、つまり、ナギトはね、駒として利用された訳だね。酔わせちゃえば、すごく記憶が曖昧になって、尚且つ、目撃証言をすり替えることもできるもんね」

 「ねぇ、サエッタちゃん⁉ すごく被害者面してたよね……。正確にはね、私たちがね、被害者なんだけど……。バンクスホームこそ、活動停止しなよ」

 マリカ、これまでの鬱憤【うっぷん】もあってか、マリカに[すごく大人気【おとなげ】ない?]仕返し……。

 「何よ、マリカちゃん……すごく肝心なことをね、忘れてるよ。カルノ君はね、殺害されているんだけど……人殺しであることに変わらないよね?」

 「チッ!」


 ⦅ああ、例の焼死体のことかい⁉⦆

 「⁉」(イヴェータとサキナを除く)

 「ア、アキルドさん⁉」

 「あら、どちら様⁉」

 「レーヴォン君、超久しぶりだね。いやあぁ、すごくお気の毒なことだ⁉」

 「あの、そんなひとごとみたいに……僕たちにとってはね、ホーム存亡の危機なんですから」

 「ああ、それはさ、分かってる! 何でも、すごく大変なことになってるみたいだな。でもさ、どうやら、杞憂【きゆう】に終わると思うよ」

 「ええっ⁉ ホントですか⁉」

 「ああー……えっと……」

 「どのように、反応をしたら、よろしいのかしらね」

 「ああ、そちらのお嬢さん方はさ、初対面だったな。はじめまして、レイバー通信社で記者をしている、アキルド・ロバンスと言います。そちらの天命騎士さんに、頼まれて、先ほどまで、例の焼死体について、聞き込みに回ってたんだよ」

 「あら、そうでしたのね。ごきげんよう。天命騎士のエマール・タピナスと申し上げますわ。以後お見知りおきをなさいませ」

 「同じく、天命騎士のマリカ・ウェバー・サレストです」

 「まあ、ひとまず、自己紹介も済んだということで、イヴェータさん、よろしいかな?」

 「うん、すごく隈【くま】なく頼むよ」

 「あのね、鑑識の結果、あの焼死体はね、彼の者ではなかったよ」

 「ええっ⁉」(イヴェータとサキナを除く)

 「おそらく、軍の方も、すごく多忙みたいだから、何か、手違いがあったみたいだね」

 「ああ、鑑識結果より、早く報告をするという、すごくとんでもない先走りがあったみたいだね」

 「サ、サキナさん⁉ それはね、ホントなのかしら?」

 「うん、どうやら、ホントみたいだね」

 「それじゃあ、ナギトさんは……」

 「残念だけど、それによって、彼の疑いがね、完全に晴れたということにはならないの。少なくとも、事件が解決するまではね」

 「そ、そんな……」

 「それでも、少なくとも、殺人容疑はね、誤認逮捕であることはね、証明できた……後はね、事件の真相だね」

 「フッフッフッ! さあ、サエッタちゃん……すごく偉そうなことを言ってたよね? 今回の落とし前、どのように、つけてもらおうかなぁ……?」

 「しょうがないじゃない。私だって、真【ま】に受けるしかなかったんだから」

 「でもね、聞かされたことだけで、人のホームの者をね、犯人呼ばわり、自身の目でね、確かめた訳でもないのに、明らかに、天命騎士としての任務をさ、放棄してるよね?」

 「……そうだね。私って、すごく最低だよね」

 「まあ、開き直るのはね、すごく往生際が悪いけど、濡れ衣を着せられてね、すごく不愉快なの」

 「マリカ⁉ やめなさいよ!」

 「ねぇ、サエッタちゃん? 協力……してくれるよね?」

 「ええ……」

 「……そうだね。ナギトが、無事に釈放されて、私たちにね、土下座をするの」

 「マ、マリカさん……」

 『オイっ⁉ 大丈夫なの⁉ ギルド同士、揉めるのはさ、超まずくない?』

 『いえ、アキルドさん、おそらくね、いらない心配だと思いますよ』

 『そ、そうかい⁉』

 (うーん……そうだね。イヴェータホームとしても、捜索方法を検討しないとね)

 「うふっ! さすがはね、マリカちゃん……最低限のマナーは、すごく心得【こころえ】ているよね。……了解。協力というかたちで、バンクスホームはね、懺悔【ざんげ】をするよ」

 「うん、よろしくね」

 マリカとサエッタ、握手を交わす……。

 「ふうぅー……やれやれ、ひとまず、一息といったところかしらね」

 「はい、そうですね」


 『サキナさん⁉ ひとまず、俺たちのホームでもさ、調査にあたってみるよ。彼ら、レイバー州でね、活動できないんでしょ?』

 『うん、少なくとも、解決まではね』

 『それじゃあ、決まりだね』


 (まあ、ひとまず、俺も、できる範囲でね、取材をしてみるか?)


 ひとまず、各々の方針は決まった……。



           6

 ギルド/メメルホーム(六階)[レーヴォン/マリカ]

 「ねぇねぇ、マリカさん⁉ 僕はね、黒幕はね、カルノさんだと見ています」

 「ふふっ。レーヴォン君、すごく奇遇だね。私もね、すごく同感だよ」

 「あのね、近年の知能魔獣の知能向上の逓増【ていぞう】……僕はね、人の手によるものだとね、睨んでいます」

 「確かに、仮説としては、すごく現実的だね。現状、彼はね、行方不明……いくら、知能魔獣といっても、向上するには、すごく強力なものが必要不可欠だよね。……。うん、そうだね。彼が、魔獣と結託していると仮定したら、これまでの事件性の数々はね、すごく合点がいくよね」

 「うーん…………」

 レーヴォン、不安そうな表情を浮かべる……。

 「どうしたの? 心配ごとなら、相談に乗るよ」

 「あぁー……はぁい……。あのね、どうして、魔獣はね、ギルドに依頼をね、要請したのでしょうか? 黙っていれば、警戒だってされないのに……どうして……自ら、墓穴を掘るようなことをしたのでしょうか?」

 「おそらく、信憑性【しんぴょうせい】を高めるためだろうね」

 「ええ、それはね、どういうことですか⁉」

 「あのね、これはね、私の推測なんだけど、天命騎士が関与することによって、既成事実を生み出すことができる……すごくリアルにね」

 「ちょっと待ってくださいよ……(汗)。その理屈ですと、ぼ、僕が、計画にね、か、加担……」

 「レ、レーヴォン君……⁉」

 「ウソだ……そんなのウソだ……。ウソだあああああぁぁぁぁぁー……‼」

 と、レーヴォン、頭を抱えながら、叫ぶ……‼

 パチィン!

「えっ⁉」

 マリカ、レーヴォンにビンタを放つ……!

 「自己卑下はね、許さないよ!」

 「えぇー……」

 「あのね、遅かれ早かれ、緊急クエストとして、自動受諾されていたと思うよ」

 「ホ、ホントですか……⁉」

 「事実、寒波騒動もね、同様の手口だよ」

 「そ、そうなんですか⁉」

 「まあ、事前にね、ギルドに報告がいくように、タイミングを計【はか】ってね。したがって、君がね、責任を感じることじゃないの。そもそも、王都限定にしなかったのはね、私たちだよ」

 「あぁー……」

 「ねっ⁉」

 「…………(目を閉じる)。取り乱してしまって、ホント、ごめんなさい」


 ―(ウイーン)[扉の開く音]。


 「はあー……はあー……はあー……」

 「ど、どうしたの、エマール⁉」

 「何か、事件ですか⁉」

 「いえ、違うの⁉ ごめんなさい。すごく迂闊【うかつ】だったわ」

 「「ええ……」」


 レーヴォンとマリカ、エマールから事情を聞き……。


 「はあっ⁉ 裏切り者……⁉」

 「ええ、どうやら、私【わたし】がね、ナギトをクビにしたというウワサがね、王都内で囁【ささや】かれているのよ」

 「ええ、どういうことなの⁉」

 「どうやら、私【わたし】がね、ゼロント要塞で、ナギトと面会をしたこところがね、目撃されているの」

 「何、それ⁉ エマール、私たちと一緒にいたじゃない⁉」

 「マリカさん、落ち着いてください! おそらく、ナギトさんと同じ手口でしょう」

 「へ、変装ってこと⁉」

 「はい、おそらく、陰謀だと思われます」

 「そうかい⁉ 自身の野望のためなら、すごく陰湿な妨害だって、辞さないということだね。やってくれるじゃない(静/怒)」

 「ごめんね。嵌められてしまって……」

 「エマールがね、謝ることなんてないよ」

 「はい、僕もね、同感です」

 「ええ、お気遣いね、感謝するわ」

 「「ふふっ(苦笑)」」

 「まったく、地雷だらけだね」

 「はい、ホントですね」



           7

 ギルド/一階(エントランス【受付内】)

 「はい、こちら、天命騎士協会・王都レイバー支部でございます。至急、隊長さんにね、ご報告をお願いいたします」

 「はい、かしこまりました。少々お待ちください」

 「ええ、よろしくお願いします」

 (うーん……そうだね。おそらく、要塞側もね、すごく焦りを隠せないはず……無論、実質、現行犯逮捕のようなものでしょうから。しかし、それはね、規則というかたちだけ……実のところ、詳細はね、後日、浮上してくる訳で、間欠泉のように、時間差攻撃でね。その度【たび】、対応に追われるだろうね……。やっぱり、この絶妙とも言えるタイミング……調査そのものが、すごく突貫工事のようなレベルに、なってしまうのだから、それらを見越して、カードを切ってきたと考えるのが、すごく妥当だろうね。うん……すごく筋も通る訳だしね)

 ……そして。

 「やあ、サキナさん⁉ しばらく、だね⁉」

 「ええ、マルクス隊長さんも、お元気そうで何よりです」

 「うん、聞くまでもないが、一応ね、聞かせてもらっても構わないかな?」

 「うふふ……はい。規則ですもんね。それでは……」


 サキナ、マルクス隊長に、ナギト逮捕までに至る、全体の経緯【いきさつ】について、具体的に、詳細を報告する……。


 「なるほど……やっぱり、そういうことか……」

 「どうやら、エマールと名乗る人物が、面会にいらっしゃったのは、事実みたいですね」

 「ああ、全くもって、その通りだよ。でもね、時間と立地条件をね、考慮すると、すごく不可解な点が多くてね、我々も、すごく手を焼いていたんだよ」

 「……ですよね⁉ 証拠材料が、すごく乏しいですもんね」

 「まあ、正直ね、すごく途方に暮れていたの。でもね、サキナさんのおかげでね、ようやく、氷解したよ」

 「はい、お役になれたのでしたら、ギルドマスター冥利【みょうり】に尽きます」

 「ああ、あなたも、すごく大変だったね。仕事を増やしてしまったことを、この場を借りてね、お詫びさせてもらうよ」

 「ご丁寧に感謝を申し上げます」

 「でもね、レギスター隊長をね、白い目で見ないでほしいの。彼もまた、すごくご多忙の中、捜査に協力をしてくれたのでね」

 「はい、それはね、ご理解の上ですので、どうぞ、ご心配なく」

 「うん、経緯【いきさつ】を、改めてね、再確認をすることができたということでね、ようやく、次の段階にね、進むことができるよ」

 「そ、そうですか……⁉」

 「ああ、ひとまず、彼に対しての追及はね、これより、施錠解除だよ」

 「ふうぅー……ご理解いただきありがとうございます」

 「しかし、彼の釈放はね、現状できない……それについてはね、譲歩をお願いしたい」

 「はい、私も、そちらの状況はね、ご理解していますので、追求することはいたしませんので、どうかご安心ください」

 「ああ、すまない。しかし……そうだね。すごく恩着せがましいお願いになってしまうかもしれないが、今回の事件の真相をね、お願いしたい」

 「はい、お構いなく」

 「ありがとう。なお、これはね、軍からの正式な依頼なので、報酬もこちらから、ご用意しよう」

 「はい、しかと受け取りました」


 —そして、サキナ、エマールを呼び出し……。


「サキナさん、ごめんね。あなたにも、すごく不快な思いをさせてしまって……」

 「いえいえ、サキナさんがね、謝ることではないでしょう。全ての元凶はね、黒幕なのですから……こちらこそ、ご報告していただいてね、すごく感謝をしている限りよ」

 「でもね、すごく困ったよね。現状、手掛かりがね、全くないの」

 「ええ、これもね、計算のうちでしょう。逃走・潜伏のセオリーからして、自ら、事を起こすのはね、名乗り出るようなものでしょうから……。おそらく、しばらくはね、静止状態がつづくと想定されるわね」

 「確かに、相手の立場からして、すごく賢明な判断を下しているよね」

 「ええ、仮にね、仕掛けてくるとしたら、これまでとはね、比べ物にならないほどの事件を起こすでしょうね」

 「ま、まさか……テロ行為⁉」

 「ええ、またはね、ジェノサイド……でしょうね」

 「ど、どうして……そのようなこと……⁉」

 「仮に、はじめはね、私怨による犯行だったとしても、それはね、悪魔に浸食される前の話よ。悪魔に浸食された可能性が高い現状……もはや、見境なんて存在しない。自身の強さを世に知らしめる……それだけのことなのよ。それに、私【わたし】たちの介入でね、抹殺者を失敗している現状……こちらも、それ相応の準備で臨まなきゃいけないでしょうね」

 「つまるところ、カーメリアとウェールノに恨まれる人物がいたということ……」

 「ええ、その可能性が、すごく高いでしょうね。焦点を絞ると、カーメリア教会とウェールノにある鍛冶屋……おそらく、ホントの狙いはそこでしょうね」

 「そのために、寒波なんて利用して……」

 「ええ、攪乱と分散が、主な目的でしょうね」

 「……(目を閉じている)。……そうだね。そうと決まれば、対象者の強化を……」

 「いえ、サキナさん⁉ それはね、必要ないわ」

 「ええ、どうして……⁉」

 「あら、先ほどの私【わたし】の申し上げたことをね、お忘れかしら?」

 「ええ……」

 「あのね、もう一度ね、申し上げるわよ。相手はね、悪魔に変貌した、ブラックリストよ。おそらく、カーメリアとウェールノにね、総攻撃を仕掛けてくると想定ができるわ」

 「……⁉ そ、そうだったよね? でもね、すごく不条理だよね。保護をして、さらに大きな保護が必要になるなんてね……」

 「まあ、悪魔を相手にしている以上は、避けて通ることのできない道ね。だからといって、躊躇【ちゅうちょ】をする訳にはいかない……民間人の命がかかっているのですから、当然よね?」

 「うん、そうだね」

 「もっとも、悪魔になる恐れのある人格者をね、見極めて、芽を摘む……私【わたし】たちに必要なことはね、実際のところ、そこなのよ。無論、すごく難しいことなのですけどね」

 「……そうだね。未然に防ぐという観点からいっても、すごく的を射た答えだね」

 「ねぇ、悪魔の出没場所に、心当たりはね、あるの?」

 「ええ、幸いなことですけど、目星はね、ついているわ」

 「ホ、ホント⁉」

 「ええ、時間との勝負よ」



           8

 ギルド/六階メメルホーム[レーヴォン/エマール/マリカ]


 エマール、サキナと交わしたやり取りをレーヴォンとマリカに話す……。


 「うん、それはね、すごく大変な事態になったよね」

 「はい、そうですね」

 「ええ、でもね、私【わたし】たちの取るべき行動はね、決まっているわ。悪魔と化した黒幕の処刑よ」

 「でもね、エマール……私たち、何もできないよ」

 「あら、どうしてなの?」

 「だって、活動停止処分を受けてるんだよ。動きたくても、動けない状態なんだよ」

 「はい、残念ですが、他のホームの方々にね、お願いをする以外に……」

 「あらあら、二人共、すごく肝心なところがね、抜け落ちているわね」

 「「ええっ⁉」」

 「あのね、レイバー州に関してはね、活動できない……その意味がね、分かるでしょ⁉」

 「「⁉」」

 「ええ、まさか、悪魔の出処【でどころ】がね、判明したの⁉」

 「ねぇ、レーヴォン君⁉ おそらく、あなたがね、当初、想定をしていた通りだったのよ」

 「ええ、僕が……ですか⁉」

 「ええ、知能魔獣と結託しているわ」

 「くっ⁉ す、すごく最悪じゃないですか⁉」

 「うん、活動はね、できるみたいだけど、知能魔獣を相手にするの⁉」

 「ええ、そういうことになるわね。そして、未然に防ぐカギはね、レーヴォン君の嗅覚がね、握っているわ」

 「ええ、僕の……ですか⁉」

 「ええ、レーヴォン君⁉ あなた、すごく興味深いことをおっしゃっていたわよね?」

 「うんっ⁉ 僕……何かね、申し上げていましたっけ⁉」

 「ええ、温泉郷の事件の際、故郷の臭いと同じだとね、おっしゃっていたそうじゃない?」

 「ええ、でも……あれって、僕の見当違いだったんですよね⁉」

 「うん、確かね、知能と本能の違いがあったはずだよ」

 「ええ、そこがね、すごく盲点だったのよ!」

 「エ、エマールさん……⁉」

 「ねぇ、レーヴォン君⁉ 嗅覚といっても、魔獣を直接、嗅いだ訳ではないのよね?」

 「は、はぁい……確かに、そうですね。どちらかと言えば、すごく無意識ですね」

 「やっぱり……そうよね」

 「エ、エマール、どういうこと⁉ 私にも分かるようにさ、説明してよ!」

 「ええ、もちろんよ。あのね、無意識ということはね、無論、タイミングを選ばないわよね?」

 「ああっ⁉ なるほど、そういうことですか⁉ 僕の臭った魔獣がね、相手にしていた魔獣とは限らない……そういうことですよね⁉」

 「うふふっ。ご名答」

 「た、確かに……その理屈だと、ロラム州に、知能魔獣が出没していても、不思議じゃないよね?」

 「マリカ……知能魔獣についても、すごく重要なポイントなのだけれど、最重要ポイントはね、悪魔が帯同をしているということよ」

 「あ……あぁ……」

 「確かに、エマールの言う通りだね。……。ねぇ、レーヴォン君⁉ 君の故郷って、確か、平原のあるって言ってたよね?」

 「うん、それはね、そうですけど……」

 「近くに山岳地帯はね、ないのかな?」

 「あ、ありますけど……ええっ、まさか⁉」

 「エマール……どうやら、決まりみたいだね」

 「ええ、レーヴォン君⁉ 後はね、あなたの覚悟だけよ」

 「は、はいっ……⁉」

 「あのね、今回の捜索についてはね、フライン支部の天命騎士さんに、お願いをする予定よ。でもね、あなたがね、捜索をご希望なのでしたら……」

 「ええ、僕がね、よろしいのですか⁉」

 「ええ、結構よ」

 「うん、地元の方だし、問題ないよね。それに、すごく心配だよね?」

 「エマールさん……マリカさん……ありがとうございます!」

 と、レーヴォン、エマールとマリカに頭を下げる……!

 「おほんっ! それでは、レーヴォン君にね、お願いをいたしますわ。悪魔および悪魔と屈託をしている知能魔獣の捜索・処刑……よろしくお願いするわ」

 「はい、承知しました……って、あれ⁉ エマールさんとマリカさんはね、来ないんですか⁉」

 「ええ、私【わたし】たちはね、ギルドにね、待機をしておくわ」

 「……そうだね。さすがに、停止範囲外だとしても、停止処分を受けているホームがね、全員、不在というのはね……すごくまずいでしょ⁉」

 「で、ですが⁉ 新人だけで、捜索というのは、さすがにね……すごくダメですよ!」

 「ええ、レーヴォン君のおっしゃっていることはね、すごくごもっともね。先輩として、すごくダメなことよね」

 「でしょ⁉ したがって、どち……」

 「ねぇ、レーヴォン君⁉ すごく肝心なことをね、忘れているわよ」

 「ええ、すごく肝心なこと……⁉」

 「ええ、単独行動をね、容認した覚えはないわよ」

 「えぇー……あぁー……(パクパク)」

 「うん、そうだね。レーヴォン君、相変わらず、すごく先走りすぎだよ」

 「これから、ある方にね、同行をお願いするわ」

 「は、はい……承知しました。あのね、そのある方というのは……」

 「そうね。それはね……」



           9

 レーヴォンとナギトが、温泉郷の依頼のため、訪問中のタイミング時……。


 王国軍事飛行艇(高速飛行軍艦【マルカット】)

 ダイギル島(王国の名称)に向けて、飛行中……。


 艦内……。

 「メルティア大隊長⁉ およそ一時間で、到着予定ですが……何か、必要なものはね、ございますか?」

 「いや、不必要なものはね、置いていこう。あくまで、不戦条約に向けた会談でもある……争いごとはね、回避したいからね」

 「はい、かしこまりました」

 (さあ、果たして、今回こそ、上手くまとめることはね、できるのかなぁ……)


 甲板……。

 一人の凛とした女性が、風に吹かれながら……。

 「会談……帝国との会談はね、幾度となく、行われてきたわ。しかし、平行線のまま……。すごく困ったものね。公国同様……悩みは尽きないわね。もっとも、帝国と公国の衝突もね、絶えないのですから、致し方ないというのはね、あるのでしょうけど……。もしかして、私【わたし】の見落としもね、すごく考慮をするべきなのかしら? ……そうね。国際秩序の乱れから来ているのでしたら、再検討も止むを得ないのかもしれないわね。でもね、採択となると、おそらく、調印式も……」


 ⦅メメル様⁉⦆


 「あら、エミリー⁉ ごきげんよう。今日は、空気がすごくおいしいわね」

 「はい、そうですね」

 「しかし、エミリー……あまり、感心しないわよ。あなたはね、メイドといっても、隠密メイドよ。あまり表立った行動はね、控えなさい」

 「ええ、おっしゃる通りですね。失礼しました。しかし、メメル様も、自重してくださいね。私……すごく心配です」

 「ええ、肝に銘じるわ。帝国と公国の切り札ですものね。まあ、私【わたし】の敵には、ならないのでしょうけどね」

 「ふふっ、そうですね。それでは、失礼いたします」


 「……。さあ、これからがね、本番よ。気を引き締めてね、参りましょう」


 《キャラクター紹介》

 (主要人物/ヒロイン)

 メメル・アゥル・レヴィアルト

 一六五㎝/五二㎏ 女性・十七歳

 一人称は『わたし』 言葉遣いは女性語

 レヴィアルト公国出身(レヴィアルト公国の第一公女……である)[王国に亡命……]



                             STORY 1  完



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