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6話(必中と絶倫の楔)

   6話(必中と絶倫の楔)



           1

 スパイ衛星の気球を撃墜から、数時間後……。

 未明……。


 オベルク州/ゼロント要塞

 外務室にて、マルクス隊長……。


 「た、隊長殿⁉ ホントに、よろしいのですか⁉ 亀裂が入るおそれだって、否定できないですよ!」

 「アラカルタ外務長⁉ 君のおっしゃることも、ごもっともだ。でもね、これはね、れっきとした、領空侵犯だ。即【すなわ】ち、国際法違反だね。秩序を乱している事実がある以上、見過ごすことはね、できないよ」

 「し、しかし……」

 「臆【おく】することはない。あくまで、礼儀を正すだけだよ。綽然【しゃくぜん】とした態度でね、対応することとする……ただ、それだけだよ」

 「しょ、承知いたしました」


 アラカルタ外務長、レヴィアルト公国にある、プロバクト要塞に通信を繋ぐ……。

「…………(目を閉じている)。あっ、朝早くに、申し訳ございません。こちら、マスターロング王国の者です。至急、ハァイウェール外務長に、取り次ぎをね、お願いできないでしょうか? うん……うん……うん……はい、そちらでね、結構です」

 「…………」

 と、マルクス隊長、強い眼力をして、腕を組んでいる……。

 「はい、お疲れさまです。これより、お話ししたく存じます」

『マルクス隊長、お願いします』

 「ああ、ありがとう」

 マルクス隊長、アラカルタ外務長から通信を受け取り……。

「やあ、ハァイウェール外務長⁉ 一昨年【おととし】の暮れの国際パーティー以来かな?」

 「はい、その節は、とてもお世話になりました」

 「さあ、世間話はね、これくらいにして……早速ね、本題に入らせていただこう。本日、貴国のものと思われる、すごく不思議な浮遊物をね、察知した。そちらについて、詳しく、お聞かせいただけないだろうか?」

 「ああっ⁉ 気象探知機のことでしょうか⁉ どうやら、風に流されてしまったみたいですね? 大変ね、ご迷惑をおかけしました」

 「うん、そうかい⁉ それにしても、すごく不思議だね。どうして、事前にね、ご報告がね、なかったのかな?」

 「も、申し訳ない。こちらも、すごく立て込んでいまして……異常に気づくのがね、遅れてしまったのです。これより、担当の者にね、ご連絡をいたします」

 「…………そうかい…………? それでは、単刀直入にね、申し上げよう。気象探知機にしてはね、随分と高価な代物だったのだがね、高性能カメラに、高性能盗聴器……気象探知機というのはね、外見だけに過ぎない。実体はね、スパイ衛星気球だろう」

 「な、何をおっしゃっているのですか⁉ こちらには、ご理解しかねます」

 「証拠はね、実証済みなの」

 「実証済みって……ま、まさか、撃ち落としたんですか⁉ いやはや、武力行使とはね……両国間にとって、由々しき事態ですよ!」

 「どうやら、貴国とは、思想というものにね、すごく大きな隔【へだ】たりが存在しているみたいだね。先ほどから、どこか話がね、嚙み合わない……。常識で考えると、得体の知れない異物をね、国内に侵入をさせる、愚か者はいない……」

 「だからといって、事前にご報告がないというのはね、貴国にも、問題があると思わないのですか⁉」

 「いい加減にしな!」

 『た、隊長……』

 「思想が違うのはね、致し方ないので、目を瞑【つむ】ろう。しかし、一大陸の一大国がね、人道に反するこのような愚考、事の重大さがね、分かっていないのかね⁉ これはね、れっきとした、国際問題だよ!」

 「ぼ、僕に言われましても、これはね、上層部の指示なのです。上官のご命令にはね、逆らえないのです。おそらく、反逆罪で、処刑されるでしょう」

 「それはね、そちらの都合だろ⁉ 貴国の問題にね、本国を巻き込まないでもらえるかなぁ……⁉ そうかい⁉ 上層部のご命令かい⁉ どうやら、思想は思想でも、とんでもない思想みたいだね。……。ようやく、理解できたよ。どうして、あの方がね、亡命をなさったのかをね……」

 「どうして、その名がね、出てくるのですか⁉」

 「おそらく、貴国にとってはね、すごく悩ましいピースだと思うのだけれど……。僕個人としてはね、帝国に情報提供をしても構わないのだけれどね」

 「よ、弱みに付け入るつもりですか⁉」

 「いえ、こちらにはね、そのような意思はない。どのように思うのかはね、貴国次第だよ。今回についてはね、こちらも手を引こう。幸いね、非常事態にはなっていないからね。うん、そうだね。貴殿のおっしゃっている上層部に伝えておきな! 王国の主権を脅【おびや】かし、マスターロングの民を危険に晒すのであれば、反攻・迎撃も辞さないとね」

 「う……うぅ……。……。承知いたしました」

 「うん、それではね、失礼させてもらうよ。こちらも、すごく忙しいのでね」


 マルクス隊長、通信機をきる……。


 「た、隊長⁉ そのような発言はね、控えるべきかと……」

 「いや、公国にとって、あの方はね、機密事項を所持しているという現実がある……おそらく、今回の行動も、その一環だろうね」

 「スパイ気球が、ですか⁉」

 「あの方の内情を探るという目的があるとみて、間違いないだろうね。しかし、現状として、それが限界だろうね」

 「な、なるほど……」

 「公国としても、王国と帝国の双方を相手にするのはね、賢明な判断とは言えないだろう。加えて、大陸諸国の目だってあるんだ」

 「そうですね。それ相応の抑止力はね、働いているということですね」

 「しかし、上層部……処刑……すごく引っ掛かるよね」

 「ええ、何か、お気になる点がね、おありなんですか⁉」

 「ああ、国際法のルールとして、国家体制について、他国が触れることはできない……。考えていたことはね、あるにはあったのだけれど、王国と同じ体制なのだろうか……まさか⁉」

 「それ……すごく興味深いですね⁉」

 「もしかして、過去に起きた、帝国との戦争も……」

 「隊長……」

 「……そうだね。世界は、思っているより、ねじれているのかもしれないね」



           2

 兵士一同、手榴砲により、海上で撃ち落とした、気球の残骸を回収中……。

 エディトル士官、波止場で待機中……。

 ……しばらく、マルクス隊長が合流。

「エディトル士官⁉ お手間ととらせてしまって、申し訳ないね」

 「あっ、いえ、とんでもございませんよ。王国にとって、由々しき事態なのです。我々はね、たとえ、敵対することになってもね、王国のためなら、真実を追求いたしますよ」

 「うん、それはね、すごく頼もしいかぎりだね」

 「マルクス隊長⁉ ご報告を申し上げます。」

 「おや、何かな?」

 「はい、スパイ気球について、続報がございますので、ご報告をしておきますね」

 「……⁉ どうやら、あまり芳【かんば】しくないみたいだね」

 「はい……。しかし、これもね、任務であります。調査結果をね、お伝えします」

 「うん、よろしく頼むよ」


 エディトル士官、海上より、回収した、スパイ気球の残骸について、マルクス隊長に結果を報告する……。


 「はい、以上がね、現在の調査結果です。ひきつづき、解明をつづけさせていただきますが……」

 「そうだね。よろしくお願いをするよ」

 「ええ、任せてください」

 「しかし、まさかの事態だね。五十二個……これだけの数で、気象探知機などというウソをよくもまあ、堂々と発言できたね。ある意味、すごく感心するよ」

 「はい、公国にとっても、不測の事態だったのでしょう」

 「間違いないよね。まさか、撃ち落とされるなんて、思ってもみなかったんだろうね」

 「ホントに、困ったものです」

 「……そうだね。でもね、真実としてはね、すごく断交レベルの事態だね」

 「はい、そうですね」

 「生物兵器という名の風船爆弾……多くの気球を飛ばした背景には、おそらく、そのような意図があったと判断できるよね」

 「はい、おそらく、攪乱することが狙いにあったのでしょうね。四つの中から、信管が発見されましたので……」

 「違いないね。紛れ込ませることによって、あの方のスキをつく……そうはいっても、このような姑息な手法が、あの方にね、通用するとは思えないんだけどね」

 「まあ、あちらも、あの方の存在はね、すごく脅威なのでしょう。あの手この手で抹殺方法を模索しているのでしょう」

 「うーん……しかし、これはね、すごく参ったね」

 「はい、敵の行動を知ってしまった以上……これまでのような、友好な関係はできないですね」

 「うん、どうやら、国際法の見直しが必要みたいだね」


 バンクス隊長とエディトル士官、すごく複雑な表情を浮かべながら、未明の波止場で、話し合っていた……。




           3

 ……そして。

 夜の闇に包まれたカーメリア……。


 「さあ、早く、外にね、避難するんだ⁉」「うわあー、何、これ⁉」「氷の次はさ、炎かよ⁉」「ああぁぁー……⁉」「ママ、すごくおっかないよ(泣)」「大丈夫だよ」(住民)

 炎に包まれたカーメリア教会……。

 そして、教会から、一目散に逃げる住民たち……。

 「ニューイさん⁉ これでね、全員かな⁉」

 「いえ、まだ、教区長さんが……⁉」

 「な、何だって⁉」

 ※ ニューイ(カーメリア教会に仕えているシスターである)


 ⦅責任長さん⁉⦆

 と、レーヴォン達、駆けつける……! 大声の主はエマール!

 「おおー……みなさん⁉ お疲れさまでした」

 「いえ、今はね、それどころではありませんわ。一体全体ね、どういうことなのでありますかしら⁉」

 「いえ、僕にも、詳細まではね、分かりません。ですが、一連の寒波が収まった直後、今度はね、突然、すごく異臭がしました。確認したところ、炎が舞っていることに気がつきました……」

 「そうでございましたのね。……。マリカ、あなたはね、消火をね、急いで!」

 「ええ、私一人で⁉」

 「早くなさい!」

 「ああぁぁー……もおおおぉぉぉうううぅぅぅ……しょうがないな‼」

 マリカ、消火にあたるため、エマールと別行動へ……。

 「ねぇ、エマールさん⁉ 僕もね、マリカさんのお手伝いをしますよ」

 「いいえ、レーヴォン君、あなたはね、ここになさい!」

 「いえ、そんな、マリカさんのおっしゃっていたように、一人だとね、全焼してしまいますよ!」

 「あのね、新人である、あなたにね、そのような危険な指令がね、できる訳ないでしょ⁉」

 「で、でも……」


 ⦅ご心配なく! 消火にはね、僕たちがね、当たらせてもらうよ⦆

 「「⁉」」

 「やあっ⁉ エマールさん、レーヴォン君、任務……ご苦労さまだね」

 「バンクスさん……それに、サエッタさんも……どうして、こんなところにね、いらっしゃいますの⁉」

 「エマールさん、すごく動揺してるよね? あなたがね、連絡をくれたじゃない⁉」

 「ああ、そうだったわね」

 「うん、無理もない。下山後、突然の事態だったからね。すごく自然な反応でしょ⁉ その連絡を聞いて、サキナさんにね、詳細を尋ねて、駆けつけた次第だよ」

 「ええ、ありがとう。感謝いたしますわ」

 「よろしくお願いします!」

 「さあ、サエッタ君、行くよ!」

 「はい、リーダー、お供するよ!」

 バンクスとサエッタ、消火活動のため、マリカに合流へ……。


 「えっとね……。責任長さん、すごく肝心なことをね、忘れていましたわ。住民の方々はね、全員ね、ご無事でございますの⁉」

 「ああ、全員ね、大丈夫だよ」

 「ええ、ひとまず、一安心ですわね」

 「……ああぁぁー……」

 「うん、ニューイさん、どうしたのかな?」

 「いえ、責任長さん、教区長のこと、忘れていらっしゃいませんか?」

 「ああっ⁉ そうだった……!」

 「ええ、まだ、教会内にね、いらっしゃいますの⁉」

 「は、はい……ごめんなさい! すごくタイミングが悪くて……ああぁぁー、すごく混乱をしているよ!」

 「責任長さん、落ち着きなさいまして!」

 「よーし! ここはね、僕が……」

 「レーヴォン君、先ほどもね、申し上げたでしょ⁉」

 「だったら、このまま、放っておくということですか⁉ そんなのね、すごくありえないですよ!」

 「レーヴォン君⁉」

 「うぅ⁉」

 「あのね、私【わたし】をね、悪魔にしないで。誰も、そのようなことはね、言っていないでしょ⁉」

 「……でも⁉」

 「いいこと⁉ 話はね、最後まで聞きなさい!」

 「はい、ごめんなさい。すごく先走りしてしまいました」

 「…………(目を閉じる)。あのね、救助には、私【わたし】がね、向かうわ。レーヴォン君にはね、住民の方々の心のケアをね、お願いをするわ」

 「で、でもね、そんなの誰でも……」

 「言葉をね、慎みなさい!」

 「あっ、はい⁉」

 「よろしくて。精神的なケアもね、天命騎士として、すごく重要な任務よ。あなたも、お気持ちはね、すごく理解できるのだけれど、今はね、冷静な対応がね、求められているのよ」

 「は、はい……。生意気を言って、ごめんなさい」

 「レーヴォン君……自己卑下はね、認めないわよ」

 「あっ、はい、そうですね。言葉に気をつけます」

 「それじゃあね、こうど……」


 ⦅ふふっ、その判断はさ、あまり賢明とは言えねぇな!⦆


 「「⁉」」


 と、ナギトが復帰!

 「よおっー⁉ どうやら、俺がダウンしちまってた間にさ、とんでもねぇ事態になっちまってたみてぇだな」

 「ナ、ナギト⁉」

 「病み上がりでね、大丈夫なんですか⁉」

 「うん、ご心配にはさ、及ばねぇよ。身体の中のものをさ、全部出して、凍結風呂にさ、入って来た」

 「「…………(汗)」」

 「ナ、ナギトさん……(呆)」

 「ものすごくクレイジーね……(呆)」

 「何たって、超人道に反する行為……そんな事態が起きちまってる状況下でさ、休んでるひまはさ、ねぇだろ⁉」

 「ええ、おっしゃっている通りなのだけれど……」

 「話は終わりだ。救助には、俺がさ、行くよ」

 「ナギト、何をバカなことを言って……」

 「エマール⁉ お前なら、ホントはさ、分かってるんだろ⁉ レーヴォンを一人にするのは、超リスキーだってことがさ」

 「うぅー⁉」

 「民間人の保護をさ、新人一人に任せるのはさ、超気が引けるだろ⁉」

 「私【わたし】の心情をね、お見通しということね」

 「ああ、俺たち、何年の付き合いだと思っているんだ! ああ、えっと……責任長さんとシスターさんっすよね⁉」

 「はい、責任長のベルウォルクスと申します」

 「カーメリア教会に仕えている、ニューイと申し上げます」

 「ああ、これはさ、ご丁寧に! 天命騎士のナギトだ! 教区長さんのことは、俺にさ、任せておきな」

 「はい、よろしくお願いします」

 「どうか、お願いいたします」

 「よし、決まりだな。レーヴォン、エマール、住民のケアはさ、頼んだぞ!」

 「ええ、少し解せないのだけれど、了解よ」

 「お任せください。ナギトさんも、お気をつけて」

 「ああー」


 ナギト、燃えさかる教会内へ……レーヴォンとエマール、住民のケアへ……各々、向かうことに……。


 その後、王都から派遣された王国軍も駆けつけ、消火活動にあたる……。

 そして、ナギトによって、マルクレム教区長は、無事に救助され保護される……。

 そして、鎮火後……。



           4

 完全に焼け落ちたカーメリア教会……。

 「どうやら、間に合わなかったみたいね」

 「うん、申し訳ない。最善をね、尽くしたんだけど、予想以上にね、火の手が早くてね……。教区長さん、ホントにね、申し訳ない」

 と、バンクス、マルクレム教区長に平謝り……。

 「や、やめてください! そんな滅相もない……命があるだけでも、すごくありがたいのです。したがって、どうか、顔をね、お上げください」

 「リ、リーダー……」

 「それにしても、どうして、このような事態にね……」

 と、疑問を隠せないマリカ……。


 一方、教会周辺を調査中のレーヴォン、ナギト、エマール……。

 「しかし、火元はね、何なのでしょうか⁉」

 「ああ、まったくだ。自然発生はさ、とても考えにくい……」

 「シスターさんの火で……いえ、そのようなこと、すごくありえないわね?」

 「ああ、それはさ、俺も同感だな」

 「はい、それですと、完全に事故になりますよね」

 「まあ、それもなんだけど、一シスターの火属性魔法でさ、これほどの炎を呼び起こすのはさ、超不可能に近いぜ」

 「ええ、間違いないわね」

 「ということは……考えたくはありませんが、何者かによる、放火ということですか⁉」

 「ああ、そう考えるのがさ、賢明だろうな」

 「ええ、その件についてはね、私【わたし】もね、ナギトの見解に同意よ」

 「ひ、ひどい……すごくひどい……(悲)。ねぇねぇ、どうして、そのようなことをね、平気でできるんですか⁉」

 「レーヴォン君……」

 「まあ、理解できる訳ねぇよな。俺だってさ、超憤慨してるもん。もっとも、そんな奴の気持ちができねぇから、犯行が起きちまってるんだけどな」

 「ええっ⁉ どういうことですか⁉」

 「あのね、すごく分かりやすく詳細をね、ご説明をすると、私【わたし】たちと同じ、思考の持ち主ばかりなら、このような事件はね、発生しないということよ。そのような、裏付けよ」

 「ああっ、はい! 僕の反応はね、すごく自然な反応だったんですね。すごく安心しました」


 その後、しばらく、周辺の調査をつづけ……。

 「オイ⁉ レーヴォン、エマール、こっちに来てくれねぇか⁉」

 「何よ⁉ そんなにね、大声を出して……」

 「ナギトさん……」

 「この外壁をさ、見てみな!」

 「…………(じー)」

 「うわあぁ⁉ すごく黒焦げちゃっていますね」

 「なるほどね……ええ、理解したわ」

 「うんっ⁉ どうしたんですか⁉」

 「あのさ、ここがさ、火元だよ」

 「ええっ⁉ ホントですか⁉ どうして、そんなことがね、分かるんですか⁉」

 「すごくシンプルなことよ。ねぇ、レーヴォン君⁉ 焼け落ちていない、周辺の外壁とね、比較をしてみてくれないかしら?」

 「ええ、周辺の外壁……ですか⁉」

 レーヴォン、周辺の外壁を見比べる……すると。

「⁉ あっ、ホントだ! 燃焼具合がね、全く違う……。えっとね、どういうことですか⁉」

 「「ガクッ!」」

 「あのさ、つまり、こういうことだよ。焼け跡のひどいところほど、長時間に渡ってさ、火に曝【さら】されていたってことだよ」

 「ああっ⁉」

 「ええ、自ずと、答えが見えてくるわよね」

 「はい、何者かによる、放火ということですね⁉」


 ……そして、火元にメメルホームのメンバーとベルウォルクス責任長が集結をして。

 なお、バンクスホームの二人は、教会関係者の事情聴取にあたっている模様……。


 「し、信じられない。まさか、そのようなことが……」

 「はい、責任長さん……すごく目を疑いたくなる光景でしょうが、これがね、真実ですわ」

 「いや、真実が分かってね、すごく安心したよ」

 「さあ、後はさ、誰の仕業【しわざ】つうことだよな」

 「そんなの決まってるよ! あの黒装束の男だよ!」

 「うん、黒装束の男⁉」

 「あのね、マリカ、いくらなんでも、すごく安易すぎるでしょ⁉」

 「ええ、どうしてなの⁉ すごくあからさまにね、怪しかったじゃない」

 「はい、僕もね、マリカさんの意見に賛成です。あれはね、犯行声明以外の何物でもありません」

 「ええ、二人のおっしゃりたいことはね、すごく理解できるのだけれど、天命騎士としての判断を下す際ね、証拠もなく、断定をするのはね……」

 「でもね、動機はね、確定でしょ⁉」

 「うーん……(曇)」

 「どうやら、色々、あったみてぇだな」

 「あ、あの、一連の寒波騒動と同じということですか⁉」

 「いえ、それについてはね、時期早々かと存じ上げますわ」

 「そうですか……」


 タッタッタッタッタッ……!

 ⦅た、大変です!⦆

 シスターの一人が、ものすごい勢いで、マルクレム教区長の元に駆けつけて来た……!


 「うん、どうしたの⁉」

 「何があったのかね⁉」

 「ウ、ウェールノが……」

 「ええっ⁉」

 「か、火事です!」

 「な、何だって⁉」

 『リーダー⁉』

 『ウソでしょ⁉ 総攻撃なの⁉』



           5

 カーメリア教会の放火事件と時を同じくして……。


 レイバー州/ウェールノ(カーメリアから北方面にある都市)


 タバォーク鍛冶屋から、大きな火の手が上がる……!

 「う、うわあぁー⁉ か、火事だ!」「えっ⁉ どうして、どうして……⁉」「こんな街はずれの鍛冶屋を襲撃しても、大した金品はね、手に入らないぞ!」(住民)

 現在の状況確認のため、周辺に群がる住民たち……。


 「さあ、店主さん⁉ こちらですわ」

 「ああ、ご足労すまない」

 マチルダ、鍛冶屋の店主を退避させる……。

 「さあ、店内の避難はね、全て完了をしたわ。ストラス、ダフィネ、消火を開始なさい!」

 「「了解」」


 ストラスとダフィネ、消火を始める……。

 「まったく、この人手が足りない時にね、何だって、このような事件がね、起きちゃうのかなぁ⁉」

 「うん、そうだね。どうやら、カーメリアでも、同様の放火事件が発生しているらしいし……何か、すごくきな臭いよね」

 「まあ、だからこそ、俺たちがさ、ここにいるんだけどね」


 レイバー州/カーメリア

 消火後……。

 メメルホーム、バンクスホームと合流をして……。

 「ええ、そうだったの⁉」

 「へぇー……マチルダさん達がね……」

 「でもね、すごく助かっちゃったよ。ここから、ウェールノまで行くとなると、早く見積もっても、二時間はね、かかっちゃうからね」

 「うん、エマールさん、とてもすごいよ!」

 「ああ、天命騎士にとって、すごく洞察力は重要だからね」

 「いいえ、私【わたし】ではなくて、マリカのご判断でありますのよ」

 「ええ、私⁉」

 「ええ、二次被害のおそれをね、すごく警戒をしていたでしょう? したがって、連絡の際、一部始終ね、お話をすることができたわ」

 「わ、私はね、ただ……すごく気がかりだったから、それほどの貢献はね、正直……ね」

 「いえ、マリカさん⁉ そこはね、謙遜をなさるところではございませんよ。たとえ、先見の明【せんけんのめい】ではないとしてもね、ウェールノの方々にとってはね、あなたは、命の恩人なのです。事件の鉄則として、早期発見はね、すごく重要な要素なのです。素直にね、受け取ってくださいよ」

 「まさか、新人君にフォローをされるとはね……」

 「マリカ⁉ メメルホームのルールをね、忘れたの⁉」

 「ええっ⁉」

 「個人の意見をね、尊重すること……それに、あまり行き過ぎると、差別になるわよ」

 「ああ……そうだね。了解……。でもね、すごく厳しくない?」

 「いえ、敢えてね、厳しくしているのよ。人という生き物はね、言葉でお伝えをするより、身体にね、染み込ませる方がね、すごく効率的にね、認識をすることができるのよ。これもね、メメル様の意向よ」

 「……そうだったよね。返す言葉がね、見つかんないよ」

 「はい、この際、新人・ベテランはね、なしにしましょう。僕はね、先輩方のフォローをね、常日頃から、意識をしていますので……」

 「うん、この件について、僕もね、エマールさんの意見にね、同意するよ」

 「はい、私も……メメル様のところ程じゃないけど、一応ね、バンクスルームでも、個人の意見はね、すごく尊重しているからね」

 「もっとも、人権侵害はね、一発アウトだけどね」

 「はい、おっしゃる通りですわね」

 「そうだね。すごく基本中の基本だよね」

 「はい、そうですね」

 …………。

 「あれっ⁉ そういえば、彼の姿がね、見えないんだけど、どこにいるの?」

 「ああっ⁉ まさか、体調がね、悪化しちゃったんじゃない。病み上がりでしょ」

 「……えっと……そうですわね……(目を閉じている)」

 「あうぅ……私……(苦/照)」

 「うーん……(ジト目/呆)」

 『なるほど……それはね、すごく驚きだよね……(目を閉じている)』

 「ええっ⁉ リーダー⁉ どういうことなの⁉」

 「あのね、つまり、こういうことだよ」

 バンクス、サエッタに事情を説明する……。

 「へぇー……。……。な、何ですって⁉」

 「ねっ、すごくありないでしょ⁉ 私【わたし】たちもね、想定外でしたもの」

 「いやあー……すごく熱血漢だとはね、思っていたけど、まさか、静止を振り切って、現場に急行するなんてね……」

 「でもね、ある意味ね、ナギトらしいでしょ⁉」

 「あはは、確かに……」

 「まあ、間に合うのかはね、置いておくとして、現実としてね、エリアを跨【また】いだ……それも同時刻にね、発生をしている、所謂、連続放火事件という事実はね、渦中として、現実にね、存在をしている事実、今一度、再認識をしていただく必要性はあるわね」

 「ああ、少なくとも、すごく用意周到な犯行だということだけは、間違いないよね」

 (ま、魔獣はね……ホントに関係ないの……?)


 レイバー州/ウェールノ


 消火活動中のストラスとダフィネ……。

 ストラス、マチルダと無線で会話中……。

 「あのさ、まだ、到着しないの⁉」

 「ええ、先ほどから、アイラ門にはね、連絡を取っているのだけれど、全く繋がらないのよ」

 「オイ、オイ……勘弁してくれよ。ただでさえ、人手不足だっていうのに……」

 「ねぇ、ストラス、落ち着いて⁉ 応援については、私【わたし】の方でね、模索をしてみるわ」

 「あ、ああー……マチルダさんが言うなら、俺からはさ、何もないよ」

 「ええ、申し訳ないわね」

 「じゃあ、後はね、頼むよ」

 「ええ、あなた達もね、注意を怠らないようにね」

 プトゥ!

 「ねぇねぇ、マチルダさん、何ですって⁉」

 「ああ、各々さ、役割分担だよ」

 「そっか……うん、了解! 私【あたし】の力をね、見せてあげるよ!」

 「ダ、ダフィネ……すごく独特な世界観の持ち主だよね(苦笑)」


           6

 レイバー州/アイラ門(南のレイバー州と北のアルカナ州を分ける……所謂、関所)


 ウェールノの放火前……。


 見張りをしている、門番兵士二名……。

 「それにしても、例の局地的寒波……どうなったんですかね?」

 「まあ、直に、連絡が入ってくるだろう。うん、僕の予想だと、人為的な要因がさ、すごく高そうだけどね」

 「確かに、スタンダードですもんね」


 ―(ウイーン)[扉の開く音]。

 「あっ、門番長⁉ お疲れさまです」

 「どうかなさいましたか⁉ お顔が優【すぐ】れないご様子ですが……」

 「ああ、先ほど、ウェールノの責任長さんから、ご連絡があってね……。なんでも、放火事件があったらしい……」

 「「⁉」」

 「ええっ⁉」

 「ほ、放火ですか⁉」

 「ああ、王都の天命騎士さんがね、救助にあたっているそうだが、どうやら、人手が足りないらしくてね……。君たち、現場にね、急行をしてくれないかな?」

 「は、はい……もちろん、そのつもりですが……」

 「どうしたの⁉ 気がかりなことでもね、あるのかな?」

 「はい! 現在、大半の王国軍はね、手が離せない状態ですよね?」

 「うん、そうだね」

 「アイラ門の管理はね、大丈夫なんですか⁉」

 「いや、こちらについては、アルカナ方面にね、応援を要請しているよ。したがって、君たちがね、気に病む必要はね、皆無だよ」

 「は、はい……そうでございましたか……」

 「すごく助かります!」

 「ああ、そういう訳だ。至急ね、現場にね、急行してくれ!」

 「了解です!」

 「承知しました!」


 門番兵士二名、準備を始め……そして!

 「うん、それじゃあね、よろしく頼むよ」

 「「イエス・サー!」」


 と、その時……。


 ガルルルルルゥ……。


 「「「⁉」」」

 「うん、何だ⁉ 今の唸【うな】るような声は……⁉」

 「はっ⁉」

 「ウ、ウソだ⁉」


 魔獣(魔犬)が、五匹襲来……!

 「門番長⁉ こ、これは……⁉」

 「ああ、分かってる! よりによって、このタイミングで……⁉」

 「例の知能魔獣なんじゃないですか⁉」

 「ええ、それって、温泉郷で出没したっていう……⁉」

 「コラッ⁉ 君たち、言葉をね、慎みなさい!」

 「「は、はい……!」」


 魔獣に足止めを強いられる……。

 次第に、距離を縮められ……。

 「門番長⁉ いかがなさいますか⁉」

 「僕たち、ウェールノに急行ですか……それとも……」

 「バカ! 考えるまでもないだろう! 無論、魔獣の処理を優先する……」

 「し、しかし……そんなことをしていると、あちらの影響が甚大に……」

 「君たち⁉ 自分たちの立場をね、分かっているのか⁉ いいかい⁉ ここをね、突破されると、魔獣の群れがね、アルカナ方面に流出することになる……彼らには、すごく申し訳ないが、喰いとめてもらうしかない! 我々はね、こちらを優先するんだ⁉」

 「は、はい……」

 「致し方ないですよね⁉」

 ガルルルルルゥ……。

 「さあ、いくぞ! 魔獣どもを、アルカナ州にね、絶対に入れてはならない!」

 「「イエス・サー!」」


 バァン……ガァン……ザァクッ……ドオォッ……!

 ダアァン……シュッ……バァッサ……ドウウゥゥ……!

 ジュウウゥゥ……シュパアァーン……ダアアァァーン……!


 と、アイラ門の兵士、魔獣の群れと、激しく交戦中……。



           7

 レイバー州/ウェールノ


 そして、アイラ門の戦況が、マチルダ達に耳に入る……。

 消火活動中のストラスとダフィネ……。

 「な、何だよ⁉ 魔獣だって……」

 「うん、そうみたいだね」

 「し、しかし、すごくタイミングが良すぎやしないか⁉」

 「うん、私【あたし】も、すごく都合が良すぎるような気がする……」

 「ま、まさか……複数人の可能性がさ、すごく高いよね」

 「うん、そうだね」


 ⦅どうやら、超お困りなみてぇだな⦆

 「「⁉」」

 「ねぇ、ストラス⁉ 今ね、何か、言った⁉」

 「いや、俺はね、何も言ってないよ」

 「「うん……⁉(見つめ合う)」


 そして、

 「「ええっ⁉」」

 「ナギト君⁉」

 「どうして、あんたがさ、ここにいるんだよ⁉ 確かさ、メメルホームって、カーメリアにいたよね⁉」

 「ストラス⁉ すごく論点がね、ずれてるよ。ナギト君って、確かね、すごく具合が悪かったよね⁉ ほら、二日酔いでね……」

 「ああっ、ホントだ!」

 「ああーっ⁉ 今はさ、そんなこと、どうでもいいだろ⁉ ほら、早く延焼する前に、消火しちまうぞ!」

 「う、うん……それもそうだね」

 「ホント、すごくタフだよね。私【あたし】だったら、途中でね、すごくダウンしてるよ」

 ……。

 救助にあたっているマチルダ……。

 「やれやれ、彼にはね、すごく驚かせてくれるわね。しかし……アイラ門に、魔獣の群れね……。これですと、筋書きがある台本みたいよね。…………(怪)」


 そして、ナギトが駆けつけてくれたことにより、鍛冶屋の火災が、周囲に広がる前に消火することができた……。

 幸いなことに、被害者はゼロだった……。


 なお、バンクスホームの二人は、住民の安全を確認後、手薄の王都に戻っていった……。

 一方、レーヴォン達(ナギトを除く)は、カーメリアで一夜を過ごすことにした……。


 ―そして、一夜が明け……。



           8

 レイバー州/カーメリア

 「いやはや、みなさま方には、ホントにね、お世話になりました」

 「いえ、責任長さん、ご謙遜なさらないでくださいまし。私【わたし】たちはね、すごく当然なことをね、果たしただけですわ」

 『ねぇねぇ、マリカさん⁉ 結局、ナギトさん、戻って来ませんでしたね』

 『うん、そうだね。朝方ね、連絡があったよ。すごく疲れたから、王都に戻るってね』

 『あははぁ……すごくナギトさんらしいですね(苦笑)』

 『まあ、すごく疲れたというよりはね、ぶり返しただけでしょ』

 『確かに、病み上がりでしたもんね』

 ……。


 レイバー州/セルフィス街道

 「しかし、昨日だけでさ、色々あったよね」

 「ええ、カーメリアとウェールノの連続放火事件……極めつきはね、アイラ門近郊の魔獣出没騒動……どうしたものなのかしらね」

 「はい、でもね、すごく混迷を極めちゃいましたね」

 「……そうだね。教会に怨恨があるものだとね、思っていたけれど、ウェールノの場合、被害にあったのは、鍛冶屋らしいしね」

 「……そうね。関係者というより、特定の人物を狙った犯行とみて、間違いなさそうね。無論、怨恨によるものだと仮定をしたらですけどね」

 「…………(憂)」

 「あら、レーヴォン君⁉ どうしたのかしら⁉」

 「すごく強張【こわば】ってるよ」

 「ああ、ごめんなさい。アイラ門に出没した、魔獣について、すごく気がかりだったので……」

 「ああー……知能魔獣のことね。ひとまず、その件についてはね、サキナさんにね、ご報告をしておくわ」

 「は、はい……よろしくお願いします」

 「ねぇ、エマール⁉ ホントに、歩いて帰るの? 日が暮れちゃうよ」

 「日が暮れる訳ないでしょ⁉」

 「まあ、それはね、冗談として……ねぇねぇ、馬車をね、呼ぼうよ!」

 「ふふっ」

 「そうね。しょうがないわね」

 「やった!」


 プープープー……。

 「うん、電話⁉」

 「ええ、誰かしらね」

 「すごくよく聞こえますね」

 「まあ、街道だからね」

 「はい、もしもし。あら、サキナさん、どうしたの? ……ええ。……ええ。⁉ ウソでしょ⁉ それはね、ホントなの⁉」

 「エマール、どうしたの⁉」

 「何だか、よくない知らせみたいですね」



           9

 レイバー州/王都レイバー

 「おはようございます」

 「ああ、おはよう」

 「よいしょぉーっと!」


 レイバー通信社にて……。

 「ああ、そうだ! ねぇねぇ、アキルド君⁉ 前回の温泉郷の特集記事、すごく大好評だよ!」

 「マ、マジっすか⁉」

 「ああ、売り上げもね、すごく順調だしね。これはね、重版もね、すごく現実的だよ」

 「ああ、そうですか⁉ それはね、すごく粘ったかいがね、あったというものですよ!」

 「うん、これからもね、頼むよ。当通信社の次期エース!」

 「はい、お任せください!」

 ……。

 「ああ、そうだ! 温泉郷といえば……。ねぇねぇ、アキルド君⁉ そういえば、温泉郷でね、天命騎士さんとご一緒してたみたいだね」

 「あっ、はい! 実のところ、スクープはね、彼らのおかげでもあるんですよ」

 「……そっか……うぅーん……(曇)」

 「おやっ⁉ 編集部長⁉ 彼らがね、どうかしたんですか⁉」

 「ああ、その彼らのことなんだけど、実はね、もうひとつのスクープになるかもしれないんだよね」

 「はあぁいっ⁉ それはね、一体全体ね、どういうことですか⁉」

 「あのね、僕もね、先ほどね、お聞きしたばかりなんだけど、その彼らがね……」


 編集部長、アキルドに[???が???]されたことについて話す……。


 「はあぁ⁉ な、何だってええぇぇー……⁉」



           ⒑

 レイバー州/セルフィス街道

 「そ、そんな、エマールさん……ウ、ウソですよね⁉」

 「…………(口を閉ざす)」

 「ねぇ、エマールさん……何とか、言ってくださいよ! ねぇ、てば⁉」

 「レーヴォン君、落ち着きなって! エマールだって、すごく混乱しているんだから」

 「……そうね。にわかにね、信じ難いのだけれど、事実としてね、残ってしまっている以上はね、私【わたし】の口からは、何も言えないわね」

 「そ、そんな……⁉」

 と、レーヴォン、その場にしゃがみ込んでしまう……。


 ……数分前。

 エマール、サキナから、衝撃のひとことが放たれる……。

 「エマールさん、落ち着いて聞きなさい。今朝、王国軍によって、一人の天命騎士さんがね、逮捕されたの」

 「ええっ⁉」

 「ふううぅぅー……。あのね、その天命騎士さんの詳細はね、メメルホーム所属の天命騎士……ナギト・バロドンだよ」

 「あぁー……(硬)」

 「現在ね、家宅捜査にはいっているの。彼はね、ゼロント要塞にね、連行されたと、報告があったの」

 「……う……ああ……ど……」


 「ねぇ、おかしくないですか⁉」

 「うん、そうだよ! レーヴォン君の言うとおりだよ! ナギトはね、さっきまで、私たちと一緒にね、いたんだよ! アリバイとしてはね、すごく充分だよ!」

 「いえ、そうじゃないわ。ねぇ、エマール⁉ ナギトの性格・言動・特徴をね、今一度、思い出してみてもらえないかしら?」

 「ええ、今さら……すぎるでしょ⁉」

 「いいから! すごく違和感がね、あったはずよ」

 「エ、エマールさん……」

 「…………(考)。……ああっ⁉」

 「どうやら、思い当たるところがあったご様子ね。そうよ。ナギトはね、すごく好奇心が旺盛な人物よ。でもね、あの時の彼はね、山頂のことを聞いてもね、なにひとつ、触れることがね、なかったわ。加えて、黒装束という謎の人物のことがあったことも踏まえてね」

 「も、もう……ダメなの⁉」

 「…………。ナギトさん…………(硬)」


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