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5-1音*.♪❀♪*゜ 世界の主

春夏秋冬。4つの季節が同時に存在する空間には、それぞれの巫女が光に包まれていた。


東西南北の位置に浮かんでいた巫女達は、大きな湖の水面へと降り立つ。その瞬間────巫女を包んでいた光は弾け、粒となり消えていく。


東を守護する、春と水を司る桜の巫女マイナ────。


南を守護する、夏と火を司る陽の巫女ココイ────。


西を守護する、秋と風を司る月の巫女ツムギ────。


北を守護する、冬と地を司る雪の巫女アマネ────。


4人の少女達は世界に選ばれた巫女であり、Mudiaのメンバーでもあった。


少女達が立っている湖の水面には、綺麗な青空が映しだされている。流れていく雲までもが鮮明に映しだされていた。まるで鏡のようだ。


(ここは、神域────世界の主に呼ばれたのね)


マイナはすぐに状況を察すると湖に視線を向けた。


4人の巫女の足元には、それぞれの神紋が大きく描かれ、浮かんでいる。


桜の巫女であるマイナの足元には、桜真珠に光り輝く桜の花の神紋。


陽の巫女であるココイの足元には、金に光り輝く太陽の神紋。


月の巫女であるツムギの足元には、銀に光り輝く三日月の神紋。


雪の巫女であるアマネの足元には、青銀に光り輝く六花の神紋。


その上に立っている少女達の後ろには、鳥居もたたずんでいる。


マイナは両手に蝶の形をした真っ赤な宝石を、魔法で出す。ずっしりとした美しい蝶の宝石は、どこか輝きを失っているような気がした……。


(綺麗だけど……やっぱり、第六真祖に吸収されていた影響かな……?)


本来の輝きと違う宝石に少し考え込む。輝きが失った原因はいくつか思い当たるが、血晶石に関しては真祖のみに存在する為、情報が少なく一般的に公開されていない。


もし危険な状態なら第一真祖であるレイフィスが何か言うはずだと考え、とりあえず大丈夫だと思い直した。


(ラティーナ様に渡せば……戻る、よね?)


ふと、両脇から慣れ親しんだ気配を感じ視線を上げると、よく知る人物が光の中から現れた。


『ユウ、ヨウ』


光の球体から現れたユウとヨウは、マイナの両隣に降り立つ。そして、湖の中心を見つめ……目を細めた。


『ここは世界の神域だね。夢を繋げられたか……』

『……ユウ』


ヨウは顔を動かさず、視線だけでユウを見る。

意味ありげな表情で見るヨウとは違って、ユウは動じることなく、淡々と呟く。


『招待されたからには、行こう』


手を差し出すユウの左手にマイナは右手を重ね、水面を歩き出す。繋がれた手からは、優しい温もりが伝わってくる。


(不思議……。夢なのに温かい……)


他の巫女達の側にも神々が現れ、共に湖の中心へと向かう。


四季の中心にある湖の真ん中には、白いガゼボが建っている。美しいデザインが施されているガゼボは壮麗だ。四季の花々が飾られている。


ガゼボの中心には、真っ白な兎を抱えた青年が立っていた。流れる水のような青銀の髪は風に揺られ、朝日を浴びた森のような緑の瞳は優しさに満ちている。


美しい容姿をした優しい顔立ちの青年は、この世界の(あるじ)であり、そのもの。


────世界の(ぬし)


それがこの青年の姿をした精霊なのだ。


世界の主は自ら招待した巫女達が、ガゼボに来たことに気づき笑む。


『お疲れ様。いつもありがとう。君達のおかげで世界のバランスが保たれている。世界の主として、心から感謝を』


優しい笑顔で歓迎する青年の肩には小鳥がとまり、近くには真っ白な狐や狼が座っている。小さなハムスターやリスは、それぞれ鹿とライオンに寄りかかりながら、木の実を齧っていた。


『それが────レッドダイヤモンドだね』


世界の主は、マイナの手の中にある赤いダイヤモンドに視線を向ける。


『はい、主様』


マイナは宝石に視線を移す。すると、世界の主に抱えられていた白兎がぴょんっと腕から飛び出し、マイナの元へと駆け寄ってきた。そして足元で止まると、まんまるの瞳で見上げてくる。


(わぁぁぁぁ、かわいー!!!)


つぶらな瞳で見てくる白兎にマイナは微笑む。


真っ白な毛は羽毛のように柔らかそうで、ふわっとしている。自分の使い魔と似たさわり心地を想像し、マイナは瞳を輝かせた。


すると突然、白兎は大きく飛び跳ねるとマイナの胸へと目掛けて飛んでくる。


『えっ!?』


マイナは慌てて抱きとめると白兎は腕に収まった。


(ふぁぁぁ……ふわっふわ!!わたあめみたい……)


あまりのさわり心地にマイナは頬を染める。

それを見た白兎はどこか満足そうだった。




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