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16音*.♪❀♪*゜ 四季守りの祝いの儀

『新入生首席、カミノ マイナ。二年生首席、イノア•フィティ•ノーヴァレンスト。三年生首席、カミノ ヒヅキ。この三名が各学年の代表者ですニャ』


名前を呼ばれた順に生徒たちは、一歩前に出……洗練された所作でお辞儀をする。

その度に、紙吹雪が舞い上がり拍手が轟いた。


『最後に、特別枠。新入生、ギノルヴァ•ガーウィック』


一礼をする彼からは、微かに人間の気配が混じっている。


(ハーフヴァンパイア。……にしては、ヴァンパイアの気配が強い。ヴァンパイアの血を濃く引いたのね……)


ギノルヴァは、ヴァンパイアと人間の間に生まれた、ハーフヴァンパイアだ。


人間とヴァンパイアが手を取り合うことを方針の一つとしているこの学園にとって、彼はまさにその象徴である。


その為、首席ではない彼も今回の儀式に抜擢された。


二つの種族の架け橋になる存在を、わざわざ選ばない理由がない。


それにギノルヴァは、学科の中では一応優秀な生徒の部類に入っていたようだ。


『以上が四季守りの祝いの儀を行う、選ばれた四名だニャ!それでは、始めるニャー』


────四人が円になり、杖をかざす。

ポゥ……と淡く光だし、生徒たちは呪文を紡ぎ始めた。


『『『『四季を守りし精霊よ。盟約に基づき、我らに栄光なる加護を与えよ』』』』


巨大な魔法陣が床に現れ、杖の光に呼応するように……眩い輝きを放つ。


『『『『授けよう』』』』


光を纏い現れた四人の精霊たちは、麗しい声で応えた。


天を仰ぎ見る程の大きさに、儀式を見守っていた生徒たちは声を漏らす。


『我が名は、春を司りし精霊マナフィノーレ。贈る祝福は、魔力の増幅と安定』


柔らかな春のように、優しい声がホールを包む。

淡い桜色の髪は紅へとグラデーションを描き、花びらのように流れる。

真っ赤な果実色の瞳は、にこやかに微笑んだ。


『我が名は、夏を司りし精霊ソルディア。贈る祝福は、身体能力の強化』


落ち着いた力強い声が空間を支配する。

燃える赤髪に、太陽のような金の瞳。

無表情ながらも、口元だけは……ほのかに笑みを帯びていた。


『我が名は、秋を司りし精霊ノイレミュイ。贈る祝福は、記憶力の定着と集中力の向上』


雅やかな品のある声が響き渡る。

鮮やかなオレンジの髪は、秋の移ろいのように……下に流れるにつれ、赤へと変わっていく。

そして、聡明さを感じる茜さす瞳の中には紫も混じり、まるで夕陽と夕暮れのようだ。


『我が名は、冬を司りし精霊ナシェレ。贈る祝福は、己の身に眠る才能の覚醒』


冷たく透き通るような声が、ホール全体に届く。

白銀の世界を思わせる白い髪に、魅せられるような紫の瞳。表情からは何も読み取れず、まるで人形めいていた。


『『『『盟約の基、汝らに我らの祝福を』』』』


それぞれの精霊力が空中に集まる。

混ざり合い、一つの光の球へと姿を変えていく。


そして、中心で弾けた。


────刹那、空から煌めく光の粒子が、ホール全体に降り注いだ。


加護を受けた生徒全員の体は、淡く光り輝き、やがて……吸収していくように、体の中へと静かに消えていく。


(あとは、学園の盟約を強めれば終わり……あれ?)


儀式の半分を終えたことに、ホッとしたのも束の間。

ふと気づくと、一部の生徒が顔面蒼白になっているのが、壇上から見てとれた。


(まずい……このままだと、倒れる生徒が)


四人の高位精霊の出現に、気を当てられたのだろう。

その場にいるだけで、畏怖を覚えてしまうような強い霊圧を、長く浴びすぎたようだ。

顔色から見て……これ以上は、耐えられないことは明らかだった。


(儀式に参加している時点で、このホールから抜けだすことは────不可能。儀式を終えない限り、この空間自体が契約の場となる)


心配そうに眉根を寄せているミリアーナと何か指示を出しているスイに、マイナも確信する。


本来、高位の精霊の気を浴びたとしても……ヴァンパイアなら、そこまで体調を崩すことはない。


なぜなら。


ヴァンパイアにとって唯一、畏怖の対象になり得るのは────真祖のみだからだ。


始まりの祖である真祖は、絶対的な存在。


ヴァンパイアにとって真祖は────神なのだ。


(やっぱり……お兄様たちも予想外のアクシデント。これはさすがに……誤算。おそらく影響を受けているのは、一部のセカンドヴァンパイアだけ。ハーフヴァンパイアは、大丈夫みたい)


魔力が弱いせいなのか、元人間だからなのかは分からないが……このまま倒れると何年も目を醒さない可能性もある。


最悪、一生もあり得るのだ。


(早く儀式を終わらせなきゃ)


マイナは一度、目を閉じると……感覚を研ぎ澄ませる。そしてさらに、精密に調整された魔力を魔法陣へと注ぎ込んだ。


選ばれた四人の生徒が、口を揃えて言い放つ。


『『『『汝らとの結びつきを強めるため。今一度、我らに誓いたまえ』』』』


強まる輝きに、魔法陣も変化する。


『『『『誓おう。未来永劫この学園を護り続けると』』』』


作り物めいた美貌を持つ四人の精霊は、そう誓いの言葉を告げると、一人一人姿を消した────。




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