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10-3音*.♪❀♪*゜ 真神学園

微睡を帯びた瞳は、優しやさを滲ませ……ユヅキはそっと微笑んだ。その瞳には、ユキに抱きしめられ楽しそうに笑うマイナが映る。


「マイナの魔法は特別。それにおれたちもいる。……だから大丈夫」


簡潔に……必要な部分だけを伝えるユヅキは、淡々と話す。けれど、柔らかい声音は温かく……どこか安心感があった。


ヒヅキはそれに同意すると、マイナに視線を向けた。


「そうだな。誰もマイナの魔法からは逃れられない。おそらく、桜歌皇国に入った時点で敵は無に等しい。為す術もないだろう。それに、スイにぃの頭脳からも脱せれないはずだ。敵自ら、罠にかかりに行くものだからな」


ヒヅキは、ふっと小さく笑みをこぼすと……目を細める。


「ユキにぃも、侮れないよな……ああ見えてもう既に、いろいろ仕掛けてるはずだ。さすが、スイにぃの右腕」


この先の展開が読めているんだろうヒヅキは、どこか楽しそうだ。

それを見たミヅキは、意味ありげに口角を上げる。


「そういうヒヅキも三人と同じく、とっくに準備万端なんでしょ?もう出迎えている頃合いかな?」

「まぁな」


コテンと小首を傾げたミヅキに、ヒヅキもまた────意味ありげな笑みを浮かべた。




「そもそもこの国って、どれぐらいの広さなの?」


周りに視線を移すと、離れた先にもビルや建造物が続いている。それだけでもかなりの規模だと分かった。


「桜歌皇国は、ドラゴン54億体分。魔界の小国と同じレベルだな。魔界にしては、小国の中でも小さい方だが」


さらりとヒヅキが答えると、ミヅキは振り向いた。


「54億!?」


珍しく声を上げて驚いているミヅキに、ヒヅキは淡々と話す。


「これだけの規模は、魔外国初だろうな。本来、魔外国は大体ドラゴン(翼長100m × 幅40mとして計算) 、250〜2,500体分の国土が多い」

「そうだね。一般的に、小島や村相当の広さだよね」

「大きくても、せいぜい125万体ぐらいの面積だな。人間界でいうなら小国〜中規模国家、日本にすれば都道府県クラスの大きさ。……魔外国は、人間界や異界に作られた魔族の国だからな」

「それゆえ、どの国も国土が小さい。その方が護りやすいから」

「ああ」


静かに風が吹き、二人の紅い髪を揺らす。前に掛かるサイドの髪に触れると、ミヅキは右耳の後ろへと掛けた。


「だけど……魔界の小国に当たるこの国は、人間界の国土ランキング一位の国よりも断然大きい。人間にしてみれば、大国に等しいよね」

「そうだな。魔界は小国といえど、国土の面積があまりにも広い。だからこそ……こんな規模の創造を一瞬にだなんて、普通は有り得ない。マイナは、天才どころかその域を超えている。もはや真祖である、お祖父様たち並み以上だ……」

「そうだね。これだけの規模なら、複数の建築魔導士が休まず力を合わせたとしても、一日以上はかかる。いや……建築魔導師に関わらず、凄腕天才魔導師でさえ数時間。第一真祖であるお祖父様も、早くて30分ぐらいかな」


ミヅキはざっと計算する。二人の考えは同じようで、ヒヅキはどこか憂いを帯びた瞳をしていた。


「おそらくな。細かいところまでイメージし創造する。技術も魔力量も半端ねぇーな。マイナが望めば、桜歌皇国にいる人間の情報なんて一瞬だぞ。位置も会話も……なんなら強制的にこの国から追い出すことだってな」

「だからお祖母様は、マイナに創らせたんだね……この国と馴染みやすいように」

「……ああ」


一呼吸置いてから答えるヒヅキに、ミヅキは目を細める。


「それって……狙われる可能性が高いじゃないか!もし、マイナに何かあったら僕たちは……そいつらを許さない……!!もう二度と……っ……生も死も安楽など与えやしない」


いつも温厚なミヅキには似合わずその瞳は……仄暗く冷たさが宿っていた。


「安心しろ。俺たちは、マイナの兄であり騎士だぞ。マイナには、心身ともに傷一つだってつけさせねーよ。もちろん、お前たちにもな」


ポンっとヒヅキはミヅキの頭を撫でると、安心させるように微笑む。


「ヒヅキ……ああ、そうだね」


ミヅキも釣られるように、緩やかな笑みを浮かべた。




。❀·̩͙꙳。。❀·̩͙꙳。。❀·̩͙꙳。。❀·̩͙꙳。。❀·̩͙꙳。。❀·̩͙꙳。。❀·̩͙꙳。




「にしても、ミーナ様も無茶を言うわよねー。3日で新しい結界を開発しろなんて……どんな優れた魔法使いでも、そんなポンポン一日に複数の禁術を、ゼロから編み出すのは至難の業よ。せめて……残りの2日も、マイナがいてくれたら、秒で終わったのに……」


グスン……とうっすら涙を浮かべたユキは、マイナを抱く腕に力がこもった。


「そうだね。マイナは僕たち兄妹の中で、一番魔法が得意だから、魔法開発もお手のものだしね。初日は、瞬く間に終わったよ」


ふわっと優しい手つきでスイに頭を撫でられ、マイナは心地よさそうに目を閉じる。


「頼りの綱のスイにぃも最終日には、別のお仕事でいなくなっちゃうし……」

「ごめんね、悪かったよ……。でも、僕がいなくてもユキならできるでしょ?まぁ……あの量は少し、えげつなかったけど……信じてたよ、ユキなら大丈夫だって」


申し訳なさそうに眉を下げるスイは、困ったように微笑んだ。


「少し……?スイにぃ……。あの量じゃなきゃその言葉、素直に嬉しかったわ」


部屋を埋め尽くすほどの紙の束を、少しと言えるスイ……普段の仕事量はその倍だと窺える。


なんでも卒なくこなすスイにとっては、普通のことなのだろう。


その時のことを思い出しているのか、ユキの瞳はどこか虚ろだった。


「お兄様、ごめんね。本当は、私も最後まで一緒に創るはずだったのに……まさか、休日にお仕事が入っちゃっうなんて……」


初日の夜──── 本来、休みだった二日目と三日目に急遽、アイドルの仕事が入ったと、マネージャーの夜宵から伝えられた。その為、初日しか手伝えず……泣く泣く抜けざるを得なくなってしまったのだ。


「いいのよ!マイナは悪くないわ!!スイにぃもね!!それもこれも、よいよいや国のせいよっ!お肌の恨みは、恐ろしいんだから!あんなタイミング良く、急にお仕事を入れるなんて信じらんないっ!!」


ユキの目は据わり、ブラックモードへと変わる。


(……夜宵、大丈夫かな?)


マイナはユキの腕の中で、こっそり……マネージャーの危機を心配するのだった。


「そんなに大変だったのか?」


ショウの頭に、はてなマークが浮かぶ。


「禁術レベルの結界だからね。耐久性に、悩まされたよ」

「耐久性?」

「異空間にあるとはいえ、ハンターに絶対見つからないとは限らないからね〜。一応、見つからないように魔法はかけてあるけど、他の種族や魔王クラスの魔族に狙われても大丈夫なように、禁術レベルの結界や守護魔法が、複数重ねがけされているの。しかもすごいんだよ!強度も史上最高!真祖でもそうそう簡単に破れないんだから!」


スイの説明に、マイナが加えて補足すると、ショウは納得したように、学園を見る。


「なるほどなぁ。それで、ユキは嘆いていたのか。終わらないって」


その光景が目に浮かび、マイナは苦笑した。


「それにしてもだ……本当にこの外観見ると、まるで魔界と同じだな」


ショウの声に、みんなの視線が校門へと向かう。


学園の前に生徒が一人、また一人と増える。


魔法に長けている者は自分で転移し、まだ上手く扱えない者は魔道具や転移門などを使って、学園に通うのだ。


マイナたち兄妹と同じように、魔法に優れた者は魔法陣すら発動せずに無詠唱で、瞬時に学園まで移動した者もいた。


転移の上級魔法である、瞬間移動だ────。


「あの子達……強いわね」

「そうかー?」


ユキの言葉に、ショウは首を傾げながら頭を掻いた。


「あの魔力の形……隠してはいるみたいだけど、魔力の質も量も……」

「だが、俺達の方が強い。何かあれば、対処すれば良いだけだ。そうだろう?」


ユキは軽く目を細めたが、ヒヅキがそう断言すると、ユキも肯定する。


「えぇ。そうね、私達には隠し通せていないし、害になることはまずないでしょうね。でも一応注意した方がいいわ。学園の為にも……ね」

「そうだね。みんなには学園の目に、なってもらいたいからね」


ユキの考えにスイも同意し、みんなも頷いた。




ふわり、ふわり────桜が舞い踊る。


絶え間なく降り注ぐ花びらは、まるでフラワーシャワーのようだ。


これから始まる新たな生活に、学園が歓迎してるかのようだった。


「お兄様!記念写真撮ろう!」


マイナがそう微笑むと、みんな賛同する。


「そうだね」

「おー、いいな」

「撮りましょ♪撮りましょ〜♪」

「…………ん」


スイ、ショウ、ユキ、ユヅキは、柔らかな微笑みを浮かべる。


そしてユキが、真っ白なコウモリを召喚すると、スマホを渡した。


「どこで撮る?」

「やっぱり、看板の横じゃない?」

「だね」


ユヅキの言葉にユキが返すと、スイも頷く。


看板には、年度と【第一回 真神学園 祝 入学式】と、大きく書かれていた。


「よし!かっこいーポーズでもするか」

「それは、いらない」


ユキとショウのやり取りに、自然と笑みが溢れる。

スイとミヅキは苦笑し、ヒヅキはため息を吐いた。


『では、撮りますよー!』


コウモリは人型へと変わり、カメラを構える。


『ハイ、チーズ』


────カシャリ。


いくつか撮ってもらった写真は、どれも綺麗に写っていた。


みんなが微笑んでいる、記念写真はどれも幸せそうだ。


後で両親も合流し、もう一度みんなで写真を撮る。


素敵な思い出が、また一つ刻まれた日だった────。




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