冷え切った朝
朝、俺はいつもと同じように起床した。俺は毎日同じ時刻に起きる。例え日曜であろうとも。習慣は怖い物だ。起きた俺は部屋の中がまるで冷凍庫のように寒くなっていて驚いた。吐く息が白い。「なんだ?エアコンの故障か?」と思ったがきちんと付いていた。これが異変の始まりとこの時は気付かなかった。
準備をして家を出ると外は寒く人は誰もいなかった。空がまるで鶯谷色のようだった。駅に向かうと閉まっていて電車は動いていなかった。慌てた俺はスマホを見た。時刻は0:00分だった。「そんなバカな!」と俺は思わず叫んだ。
怖くなった俺は家に戻る。すると扉が半開きになっていた。俺は恐る恐る中へ入ると誰もいない。代わりに部屋の中にさっきまで無かった物があった。それは鏡だった。大きな鏡がゆっくりと回転していた。「なんだ、これは?」俺は鏡に近づいた。すると、鏡に俺が写った。その時、鏡の中の俺が俺の腕を掴んだ。そしてそのまま俺を鏡の中へと引き摺り込もうとした。俺は抵抗したがすごい力に贖う事が出来ず鏡の中へと吸い込まれた。
次に俺が意識を取り戻した時、俺はベッドの上だった。外は明るく、時計は朝を差して動いていた。「普段通りの朝だ。夢だったのか」と安心したその瞬間、俺は手に違和感を感じた。それはさっき吸い込まれた時に掴まれた腕の感触と鏡の冷たさが残っていたからだった。