レトロゲームと俺たち
ミキオ達は佐藤駄菓子屋に行ってみることにした。
理由は分からないが、何となく行ってみたい感じになったからだ。
佐藤駄菓子屋は、前に行った所と変わらない場所で建っていた。
「なんか…来てしまったな」
ミキオがそう言うと、
「なんかな」
とカズも言った。
「あんたら、何をしてるんだ?」
店の方から声がした。
「うぉ、いた!」
ミキオが驚いた。
「いや、そりゃいるでしょ」
タクローがツッコんだ。
佐藤駄菓子屋の店主・佐藤久代は3人に向かって手招きをしている。
「行くしかないな…」
ミキオ達は店の中に入っていった。
「君たち、また来たのかい」
久代はミキオ達を歓迎した。
「なんか気になってしまって…」
タクローが苦笑いする。
「そうかい。商売人にとっちゃ願ったり叶ったりだよ」
久代が笑う。
すると、ミキオが店先の方を見て、
「あれって何ですか?」
と久代に聞いた。
「あぁ、あれは10円玉を弾いてゴールを目指すゲームだよ。『レトロゲーム』ってやつ」
「へぇ。やってみたいな」
ミキオがゲームの前に立って、10円玉を入れた。
「そのレバーでお金を弾いて操作するんだよ」
久代はゲームに付いているレバーを指さした。
「これか。よし」
ミキオはレバーを引っ張った。
それと同時に10円玉が勢い良く押し出されるが、勢いが強すぎたのか、穴に落ちてしまった。
「うぁ~、難しい」
「ははは!そう簡単にうまくいかないさ」
久代が笑う。
「よし、もう1回!」
ミキオがまた10円玉を入れる。
それから3時間。
「ミキオ、帰るぞ」
タクローが声をかけると、
「もうちょっとだから…」
とミキオが止める。
「もうすっかりゲームの虜だね」
久代が満足気に笑った。




