ホワイトデーと俺たち①
今日は3月13日。
ミキオは何かを忘れているような気がしていた。
なんだろう。
結構最近起こった出来事のような気がする。
一体何だろう。
やっと思い出した。
明日はホワイトデーだ。
そういえば、バレンタインに六花にチョコレートをもらった気がする。
いや、確かにもらった。
義理だというのは分かっている。
でも、もらった以上は返さなくてはいけない。
それがホワイトデーだから。
しかし。
ミキオはその事をすっかり忘れてしまっていた。
だからホワイトデーは明日だというのに、何もお返しを買っていなかった。
どうしよう。
ミキオの中で焦りが生まれた。
「と、いう訳でさ、ホワイトデーに何を返せばいいか分からなくてさ…」
ミキオがタクローとカズに相談を持ちかけた。
「あ、もしかしてバレンタインにもらったって人?」
カズがニヤケながら言った。
こいつに相談しても茶化されるだけだな。
ミキオはタクローの方を見た。
「うーん、あんまり考えたことないけど、クッキーとかいいんじゃない?」
タクローが意見を出す。
やっぱりそうなるか。
実はミキオもクッキーを渡そうと考えていた。
「よし、クッキーを渡そうかな」
「うん、そうした方がいいよ」
ミキオの決断にタクローが同意する。
「なぁミキオ、俺がクッキー選んでやろうか?」
カズはまだ顔がニヤついている。
「お前は変なの選びそうだから、俺が1人で選ぶ」
ミキオはバッグを持って、教室を出た。
「見事にフラレたね」
タクローがカズに言う。
「相手にされなかった…」
カズがうなだれた。




