調理実習と俺たち
赤神高校で調理実習が行われることになった。
ミキオ達3人と、三輪と六花が同じ班になった。
今日は生姜焼きと卵焼き、味噌汁などを作る予定である。
「いい?ふざけたらダメだからね!刃物とか火がある所でふざけたらダメだからね!」
六花はミキオ達に厳しく言い聞かせている。
「なんか俺たちがふざけるみたいじゃないかよ」
ミキオが口を尖らせた。
「いや、お前はふざけるだろ」
三輪がミキオの脇腹を肘で小突いた。
「いや、ふざけねーし」
ミキオも三輪の脇腹を肘で小突いた。
「三輪、俺もミキオがふざけないかしっかり見張ってるからな」
「俺もしっかり見張ってるからな」
タクローとカズが悪ノリした。
「ふざけんな!」
ミキオがタクローとカズを小突く真似をした。
「よし、こんなものでいいかな」
ミキオはフライパンを置いた。
「お、かなり綺麗に出来てんじゃん」
三輪がフライパンをのぞきこむ。
「ホントだ。ミキオにしては上手くできてる」
タクローも褒める。
「『にしては』が余計だ。『にしては』が」
ミキオが卵焼きをお皿に移す。
「ちょっと、ふざけてないで料理作ってよ!」
六花が注意する。
「あ、やべ」
タクロー達が自分の持ち場につく。
いよいよ試食の時間。
班のみんながミキオの作った卵焼きに手を伸ばす。
「うん、美味い!」
「ミキオにしては美味い!」
「だから『にしては』は余計だ」
ミキオがツッコむ。
「この生姜焼き、六花が作ったの?」
カズが六花に聞く。
「そう、食べて」
六花が自信たっぷりに勧める。
「美味い」
「ホントだ、美味い」
「良かった」
六花が息をつく。
「六花って料理上手いんだな」
ミキオが呟くと、
「あ、い、い、い、いや、そ、そんなことないわよ」
と六花が慌てた。
「何慌ててんだ?六花にしてはおかしいぞ」
三輪が言うと、
「『にしては』は余計よ!」
と六花が怒った。
「余計じゃないだろ…」
と三輪はしょんぼりした。




