鍋と俺たち
「寒いな~」
ミキオは寒さに震えるような仕草をした。
「本当に寒いな」
カズも寒そうにしている。
「なんかこう、すぐに暖まる料理ってないのかよ」
ミキオが震えながら言った。
「だったら、鍋がいいんじゃない?」
タクローが提案する。
「鍋か…。いいね」
ミキオが笑顔を見せる。
「どんな鍋がいいかな?」
タクローが2人に呼びかける。
「キムチ鍋とかいいんじゃない?辛いから汗もかくし」
カズが提案する。
「キムチ鍋か…いいね」
タクローが同意する。
「え、俺は嫌だ…」
ミキオが否定する。
「だって、俺、辛いの苦手だし…。」
「あ、忘れてた」
タクローが頭を抱える。
「じゃあ、寄せ鍋とかはどう?」
カズが提案する。
「寄せ鍋って、ちょっとありきたりだな~」
ミキオがまたしても否定する。
「じゃあ、ミキオは何がいいんだよ?」
タクローが聞く。
「すき焼きとか」
ミキオが真顔で言った。
「すき焼きィ?」
「高くて作れないよ」
2人から否定された。
「いいだろ!すき焼き美味いだろ!」
「ミキオは肉が食いたいだけだろ!」
「肉はみんな食いたいだろ!」
3人はその後も議論を交わし続けた。
結局その日は肉まんを食べて帰った。




