バレンタインと俺たち②
お昼休みになった。
あれから立花はミキオにチョコを渡せずにいた。
いざ渡すとなると、なかなか勇気が出ない。
いつもは気が強い立花だが、こういう時になるとなかなか緊張してしまう。
なんでだろう。
友達のプレゼントは、こんなに緊張しないのに。
と思っていると、あっという間に放課後になってしまった。
この間に渡せなければ、来年まで待たなくてはいけない。
立花は、ミキオ達を探した。
すると、ミキオ達を見つけた。
「ちょっと、台東君!」
立花は叫んだ。
「え、な、何?」
ミキオは呆気に取られた様子で慌てふためいた。
「ゲ、委員長だぞ」
「ミキオ、お前なんかしたんじゃないの?」
タクローとカズがいぶかしむ。
「え、俺は最近は何もやってねぇよ!」
ミキオは必死に言い訳をする。
「いや、いいから来て!」
立花はミキオの手を引っ張った。
「うわ、な、何すんだよ!」
ミキオはまだ怯えている。
立花は人気のないところへミキオを連れていった。
「橘、一体何の用だよ?」
やっと解放されたミキオはまだ疑いの目を向けている。
「ち、ちょっと渡すものがあって」
立花は紙袋に手をかける。
そこから手作りのチョコを取り出すと、ミキオに差し出した。
「はい、これ、バレンタインのチョコ。台東君にあげる」




