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嫉妬と俺たち
「ミキオくん、ちょっといい?」
中尾がミキオに声をかけた。
「な、中尾さん、な、何?」
ミキオは寝ていたが、中尾の一言で飛び起きた。
「これを三輪くんに渡してほしいの」
中尾は封筒に入った手紙みたいな物をミキオに差し出した。
「え?これを三輪に?」
ミキオは驚いた。
「うん、よろしくね」
三輪は笑顔を見せると、自分の席に戻っていった。
ミキオは、中尾から預かった手紙を眺める。
実に可愛い封筒である。
中尾が三輪にね。
そう思うと、三輪に嫉妬してきた。
なんでお前なんだよ。
とりあえず三輪に渡すことにした。
「え?中尾さんが?」
三輪は驚いた。
「ほら」
ミキオは手紙を三輪に渡した。
「どれどれ・・・」
三輪は早速手紙を確認した。
「え?『教科書貸して』?」
ミキオは三輪の方を見る。
「その時の三輪の顔、今でも覚えてるよ」
ミキオは笑いながらタクローとカズに話した。
「あんまりそんな風に言わない方がいいよ」
カズが言った。
「カズ、これがミキオなんだよ・・・」
タクローはミキオの肩を叩いた。




