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節分と俺たち
「今日は節分かー」
ミキオが豆が入った升を持ちながら言った。
今日は節分。
タクローの家で一緒に豆まきをしようと約束したのだ。
「ミキオさん、カズさん、ゆっくりしていって下さいね」
タクローの妹・さくらがミキオとカズに升を渡す。
「おー、さくらちゃんありがとう」
ミキオはさくらにお礼を言った。
「ふふ、どういたしまして」
さくらが笑ってテーブルに座った。
「よし、早速まいていくか」
ミキオが発破をかける。
ミキオ達は、玄関前に並んだ。
「鬼は外!」
タクローの掛け声と共に、豆をまいていく。
「福は内!」
またしても一斉に豆をまく。
「皆さん、ほんとにご苦労さまでした」
タクローが労う。
「これ、まいた豆ってどうすんだ?」
ミキオが聞く。
「それは、もちろん食べるよ」
タクローが言う。
「え!お前、地面にまいた豆をさくらちゃんに食べさせようってのか!」
「なんで、さくらなんだよ…」
タクローが呆れていると、
「ミキオさん、私は洗って食べますから平気ですよ」
とさくらが笑顔で言った。
「さくらちゃん、良かったね」
ミキオが言った。
タクローは、「なんだこのやり取り?」と思った。




