癖と俺たち
「ミキオってさ、嘘をつく時鼻がヒクヒクするよね」
カズが突然言った。
「え?なんだよいきなり…」
「癖のことだよ。ミキオのことを見てりゃすぐ分かるよ」
カズはなぜか自信満々である。
「そ、そうなのか…」
ミキオが鼻を押さえる。
「じゃあ、俺はどんな癖があるの?」
タクローが聞いた。
「タクローはね、嬉しい時に姿勢良くなりがち」
カズはタクローの背中辺りを指さして言った。
「あぁ、確かに」
ミキオが声を上げる。
「え?俺、そんなに姿勢良くなってたか?」
タクローが変な声を上げる。
「うん。そりゃもう不自然なぐらいに」
カズが笑いを堪えながら言う。
「お、おい、笑うなよ」
タクローが慌てる。
「じゃあ、カズの癖を俺が当ててやろうか」
ミキオがカズの顔を覗き込むように言った。
「俺の癖?一体なんだ?」
カズが興味津々で聞いてきた。
「カズは、人の悪口を言う癖がある」
ミキオははっきり断言した。
「…え?」
カズはそのまま固まる。
「確かにカズっていつも誰かしらの悪口言ってるよね。こないだだってーーー」
「やめろやめろやめろ!」
タクローの言葉を遮るようにカズが叫ぶ。
「ーーーはい、私の負けです」
カズが白旗をあげた。
「カズって早く謝りがちだよね」
ミキオが笑いながら言った。




