中華料理屋と俺たち③
「お待たせしました。チャーハン3つです」
秦野はミキオ達のテーブルにチャーハンを運ぶ。
「ありがとうございます」
ミキオがお礼を言う。
秦野は3人に気づいていない様子だ。
秦野は厨房に戻っていく。
「気がついていないみたいだな」
カズがひそひそ声で話す。
「そうみたいだな」
タクローが同調する。
「まぁ、チャーハン食べようぜ。冷めちゃうよ」
ミキオが促す。
3人はチャーハンにレンゲを入れ、チャーハンをすくって口に運ぶ。
「…うまい」
誰もがうまいと認める味だった。
「すごいパラパラだし、味もちょうどいいよ」
ミキオが感動していると、
「ホントだ。こんなチャーハン食べたことない」
カズも同調した。
「さすが、恩華楼だな」
タクローはしみじみ言った。
厨房では、秦野が次のお客様の注文した料理を作っていた。
相変わらずの手際の良さで、どんどん料理を作っていく。
目に止まらぬ早さで、料理が作られていく。
「…ごちそうさま」
ミキオ達の皿はあっという間に空になった。
3人は入口に向かった。
「秦野に声かけてく?」
カズがミキオに聞く。
「…いや、秦野、忙しそうだしいいよ」
ミキオがそう言うと、3人はその場を後にした。
秦野は相変わらずの速さで料理を作っていた。




