中華料理屋と俺たち②
「色々メニューあるんだな」
ミキオがメニューを見ながら言った。
「んー、まずはチャーハンだろ」
カズが言う。
「そうだな。チャーハン頼むか」
ミキオはチャーハンを注文した。
「はい、チャーハン3つ!」
店の厨房で威勢のいい声が響く。
その声はミキオ達と同じ学校に通う、秦野俊之のものだった。
秦野は元々この恩華楼の常連で、いつかはここで働きたいと考えていた。
そして、1ヶ月前。
秦野はついにその夢を叶えたのである。
まだ、バイトだが。
その秦野が、ミキオのチャーハンを今から調理する。
「なぁ、あれってさ…」
タクローが指さす。
「B組の秦野だよな?」
「確かに。ここでバイトしてんのかな?」
ミキオが厨房を覗きこむ。
「まさか秦野がここで働いているとはな」
「なるべく気づかれないように、応援してやらないとな」
ミキオ達はそっと秦野を見守ることにした。
秦野は、チャーハンの仕上げに取りかかっていた。
タレを入れ、一気にご飯を炒めあげる。
その手際の良さは素晴らしいの一言だった。
こうしてあっという間に3つのチャーハンを作り上げた。
秦野は、そのチャーハンをミキオのテーブルに運ぶ。
そのテーブルにミキオ達がいるとも知らずに。




