役決めと俺たち②
赤神高校の文化祭で、ミキオ達のクラスはシンデレラを上演することになった。
今日はその役決めを行っていた。
「じゃあ、まずシンデレラ役なんですが…」
立花がそう言うと、
「はい、中尾さんが良いと思います」
と男子生徒が手を挙げた。
「え?私?」
中尾が言った。
「おぉ、いいな!」
「中尾さんのドレス姿見たい!」
男子が一気に盛り上がった。
女子はそんな男子を冷ややかな目で見ていた。
「あ、でも、シンデレラってイジメられるんだよな?」
ある男子生徒が言った。
「イジメられている中尾さんを見るのは、辛いよ…」
ある男子生徒は、泣きそうな顔で言った。
女子の視線がどんどん鋭くなっていく。
「だ、大丈夫だよ。劇だから耐えられるよ」
中尾は苦笑いで言った。
「いや、中尾さんをイジメさせる訳にはいけない!」
男子生徒から口々に声が上がる。
女子の視線がどんどん冷たくなってくる。
「なんかとんでもないことになってきたな」
ミキオが笑いながら言った。
「ホントだね」
カズが言った。
すると、タクローが立ち上がった。
「中尾が嫌なら、橘でいいんじゃないか?」
とタクローは言った。
「まぁ、橘なら…」
「本当は中尾さんが良いけど…」
男子生徒はようやく大人しくなった。
「よ、良かったね…」
中尾が苦笑いで言った。
「ちょっと、私ならいいってどういうこと?」
立花がツッコンだ。
「色々とね…」
男子生徒が言った。
「じゃあ、王子様は誰がいいと思いますか?」
不服そうに立花が聞いた。
「そうだな、橘だし、ミキオぐらいでいいんじゃない?」
男子生徒がミキオを推薦した。
「え?俺?」
ミキオが立ち上がった。
「え?ミキオくん?」
立花の顔が赤くなる。
「ま、まぁ、やってもいいけど…」
ミキオがうつむきながら言った。
「じゃあ、決まりだな」
「ちょっと待って!誰が他にいない?」
立花は声を上げた。
「なんだ?ミキオじゃ駄目なのか?」
三輪が聞いた。
「いや、そういう訳じゃないけど…」
立花が否定した。
「じゃあ、決まりだな」
こうしてシンデレラは立花、王子様はミキオに決まった。
立花は恥ずかしさで倒れそうだった。




